『あやかし専門縁切り屋 鏡の守り手とすずめの式神』(雨宮いろり/角川ビーンズ文庫)

角川ビーンズ文庫

鞭展開度:★★☆☆☆
オーガニック(←?):★★★★★
飯テロ度:★★★★☆

【あらすじ】
訳あって大叔母の家に引っ越してきたひよりは、ある日家の竹やぶで式神の青磁を見つける。 縁切り屋を営んでいるという彼を手伝うことになったひよりだがそれは亡き曽祖父にまつわる因縁に繋がっていき……!?

面白かったー!!!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾

私にしては珍しいジャンルに手を出したんだけど(現代モノなところや妖が出てくるけど妖退治の話じゃないらしい、お店のお話もあんまり読まないなぁ)、チャレンジしてみてよかった!!何だか目が離せないぞこの物語!!!

最近「人ってこうだよね」「誰だってこうだよね」と考える機会が増えたので、このお話はとても共感できるところがたくさんあって楽しかったです。

設定がいろいろと面白いんだよなコレが!!!

 

 

以下ネタバレあり↓

 

何だか無性にタイトルに惹き込まれ、表紙イラストにも魅せられて買った今作。

先程も書いたように、私は現代モノはあまり読まないし、妖が出てくる話はどちらかというとバトってるのが見たいし人外の人とは違うゾッとするような残虐性を愛しているし(※このあたり完全に糸森環作品の影響Death)、お店系のお話もあんまり手に取らない。

お店系をあんまり読まないのって、主人公こそ変わらないものの短編小説っぽいからなんですよね。ひとつのお話を1冊かけてガッツリ読み込みたい私は、どうも短編小説が苦手で( ̄▽ ̄;) だからお店系あんまり読まないんだなぁと、今書きながら思います。

 

……とそれはともかく、なのであやかし縁切り屋(勝手にそう略します)、果たして私に合うんやろうか……⁉︎⁉︎ とチャレンジ精神で読んでみたワケですが。

 

めちゃくちゃ面白かったー……!!!!!!

 

ひよりと青磁の、急ごしらえの主従らしくあんまり主従っぽくないところとか。青磁の縁切り屋のお仕事と、それをやる理由とか。数々の人や、人外との出会いとか。

それこそ『縁』のもたらす不思議なお話でした。……タイトルは『縁切り』なのになぁ(笑)

 

短編小説苦手問題もスッキリ解決!!!

確かにいくつものお仕事をこなすシーンはあるけれども、それらはあくまでひとつの要素というか、そういった出会いを経てひよりと青磁の心の変化を描いている印象。……章ごとにお仕事する感じじゃなかった!!!

 

確かに前述した通り私は人外の残虐性を求める特殊性癖をお持ちなんだけど(※それぐらいの自覚はある)、青磁を始めとした精霊や妖、土地神のみなさんいい具合にキャラが立ってるんだよねー!!! しかししつこ過ぎずわざとらしさもなく自然にそこに在るという感じ。

その『自然さ』がとてもしっくりときて、残虐性がなくてもとても楽しめたというか!!!(ホント何言ってるんだ私)

何だかどのキャラクターにも『等身大』というものを感じてすんなり受け入れられるんですよね。とってもオーガニックな作品(`・ω・´)

……あ、でも石蕗と五百旗頭さんはヒエッてなるところあったな?www 五百旗頭さんは特にお気に入りです。ナイスミドル、最高。←

 

青磁がすずめという設定なのも新鮮で面白かったなぁ。人の姿を取る人外で元はすずめって間違いなく生まれて初めて遭遇した……!!!www

糸切りばさみが武器ってのも格好良過ぎる。表紙イラストでもめちゃくちゃ映えてるね(`・ω・´)(※インスタやってない奴)

丁寧な喋り方のまま尊大な態度なのがまたかわいい(笑)。元はもっと粗野だけど七生やひよりの為に丁寧にしてるって聞いたら愛しさが増すなぁ……!!!

 

縁切り屋をやって得たいものが『舌』っていうのがまたグッとくるよなぁ……!!!

何かもっと壮大なものを求めてるのかと思ってた。でも青磁にとってはそれが何よりも欲しいものなんだよなぁ……_:(´ཀ`」 ∠):

舌切りすずめを彷彿とさせるなって思ってたらまさしくそのおとぎ話の権能。青磁の設定には私のアガるものが詰まり過ぎている(真顔)。

 

七生はかわいい人だったなぁー!!!www

焼き芋の食リポがあまりにも幸せそうで笑いました。「全くもう俺は天才だな?」とか、自己肯定感の塊かッ!!!www

喋り方から溢れる呑気さが本当にかわいらしくてたまらない。さては相当な人たらし、式神たらしだったとお見受けする。

「ありゃ」が口癖なのは遺伝なんですかね……?(笑)

 

ひよりの自分は優しいんじゃない、ただの臆病者なんだって仄暗さがこれまたたまんなかったなぁ……!!!(※また特殊性癖を発動させているワイ)

正直大叔母のもとに引っ越してきたのってご両親が亡くなったんだろうか……とか非常に物騒なこと考えていたんですがまったく違いました。……うん、よかった。

 

そしてだからこそ、この『逃げてきた』というのがすごく等身大に映るというか。

 

ひよりの場合は土御門のせいでクラスが嫌な空気になって、みんなの悪意の針のむしろにされて逃げ出してきたわけだけど。

……ひよりみたいな思いをする子も、それで逃げ出す子も、間違いなく現実にもいて。

そういうのを掬い出すあやかし縁切り屋を、私は好きにならずにはいられなかった。

 

すごく逃げるだとか失敗だとか向いてないだとか、そういったものを理解して「そうだよね」とうなずいてくれる作品だなと思った。そういったものを馬鹿にしない。「そりゃそうだよ」と笑ってうなずいてくれるような。

弱いのを認めてくれて、「こういう行き方もあったりするんだよ」と押しつけずに、気軽に教えてくれるような。

……と、私が勝手に感じたことに過ぎないんだけれど(笑)、そういった自分と当たり前に友達になってくれるような、そんな作品に感じたりして。

私自身、最近自分の弱さをかなり理解して、やっとそんな自分を認められるようになったから、余計にそんな風に感じたのかなぁ。。。とにかく、そういうのを感じられてあやかし縁切り屋を大好きにならずにはいられなかった。

 

ひよりの

「それを知ってどうするかは私が決めるの、あなたが決めることじゃない!」

ってセリフが大好き過ぎる……!!!

ほわほわひよりちゃん、ここに来て激おこでございます。カッコえぇなー!!

……まぁ彼女の場合、本当は自分を無知なままにする青磁ではなく逃げ出してしまって今も弱いままの自分に怒ってるんじゃないのかなと思いますが。

 

そんなひよりの得た術が陰陽師になることではなく鏡の守り手という自分の気質と素質を存分に活かした道に進むことであるのがまた私があやかし縁切り屋を大好きな所以といいますか!!!!!!(笑)

自分を大事にできるとても良い答えだったんじゃないかと思います。あとまる顔気にしてるのかわえぇなひよりちゃんwww

 

今回は主従としての絆を強めるというよりは、ひよりと青磁がそれぞれにいろんな出会いから影響を受けながら自分の弱さを認める話だったのかなと思います。

だから是非続きを出してもらって彼らのその後の在り方や成長や変化を見届けたいな〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(角川に念を飛ばす)。

青磁の照れとそれにのほほんと笑うひよりというナイスコンビのやり取りが大好き過ぎる。もっと見たい👍

 

ひよりが初めて契約したのは青磁だけど、ひよりが自分の意志で契約した初めての式神は寧なんだよね。青磁がちょっと寧にむくれてるのはたまらんし。

霧生と薫の(元)夫婦もたまらんよなぁ……!!! めちゃくちゃ主役になれそうな2人をしれっと描いてるのが何か好きですwww 薫は既に霧生を尻に敷いておられる( ̄▽ ̄)

小関姉妹も何だかかわいらしいのよ〜www 是非また出てきてほしいなぁ。赤べこ白べこ式神とかかわい過ぎるし。

五百旗頭さんは言わずもがな私の推しなので……!!!www お狐の姿も挿絵で拝見したいし。

石蕗、品がないのは認めるんかいwwwww

百の、泣いてないのに泣いてる描写はグッときたなぁ。。。

杉山小夜子、すごく好きです。「向こうが勝手にこっちのキャパ決めつけてくるのって、ちょっと腹立たない?」元気が湧いてくるセリフです。

薫が青磁にズバズバ言って青磁がぐうの音も出ないのが面白過ぎてwwwww そしてその後に開かれる「置いてかれた側」による悪口大会……( ̄▽ ̄)

あとこの話ほんっっっっっと飯テロなんよな……めっちゃ腹減ってくる……特にたけのこご飯がヤバかった……(遠い目)

すみれさんめっちゃ好きなので人間2人と式神2人(単位合ってんのか?www)の共同生活見せてくだせぇ……!!!

ひよりと青磁が恋愛感情をお互いに持つのか……は謎だけど(ひよりんめっちゃ笑いながらないない言うとったな……www)この距離感というか歩み寄るゆっくりペースを愛してる(`・ω・´)

挿絵イラストのサッパリめな感じがすごい好きなんだよなぁ……!!!

 

……と、いった具合にあまりにも『好き』が溢れ過ぎとるあやかし縁切り屋。ホント続刊待っとるからな……!!!

 

余談。
ひよりの制服デザイン好き過ぎる。

 

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