『ようこそ! たんぽぽ書店へ(4)三人の新しいページ』(市宮早記/ポプラキミノベル)

ポプラキミノベル

鞭展開度:★★★☆☆
鈍感スゴイ(真顔):★★★★

日々は続く:★★★★★

夏休み明けの新学期、今度はせっかく由樹も図書委員になったのに、一緒に図書委員になった桜まりかが、なにかと間に入ってきて、なかなか梨久と話せない。
もやもやしたまま、泊まりがけの自然体験学習へ。
班行動から抜け出そうとした由樹をひきとめようとしたまりかは、思わず、由樹が作家であることをみんなに言ってしまう。
一方亜樹は、いろいろあぶなっかしい梨久を、ほうっておけない。
そんななか、文化祭もやってきて──

はじめは、人と関わるのがこわくて、一人でいた梨久。
だけど今は、由樹と亜樹がいて、友だちもいる。
あたたかい感動がおしよせてくる、胸キュンストーリー第4巻!

とうとう迎えました、たんぽぽ書店最終巻。

いろいろと恐れてた事態が起こりますが( ̄▽ ̄;)、友達と向き合うことをやめない梨久ちゃんはやっぱり強いのです。

しかしそうした非常事態よりも、日常の中で梨久ちゃんが1巻の頃から成長していて感慨深かったです。ひとつひとつが、愛おしい日常の1ページ。

ここでおしまいなのは寂しいですが、ここでひとつ区切りをつけるのもまた『たんぽぽ書店』らしいと思いました。こうしてお別れした後も、梨久ちゃん達のあたたかな日々は続いていくんだろうと。

 

以下ネタバレあり↓

 

 

 

ちなみに恐れてた事態とは主に桜まりかちゃんのことですかね~( ̄▽ ̄;) いずれあぁいう女の子が出てきそうだなとは思っていました。ていうか前巻で既にいましたね。

1巻で梨久ちゃんに結構ストレートめに悪意をぶつけてきた子達とは違い、まりかちゃんは巧みです( ̄▽ ̄;) あー攻撃してるなーとは分かりますけども。

……梨久ちゃんは攻撃されてるとは分かってなさげでしたが……www 通じてなさ過ぎてオモロかったです。電気タイプの技地面タイプには効かない的な(※ポケモン理論)

 

気付いていたのは亜樹君ぐらいでしたねぇ。。。男の子はなおさらそういうのに疎いイメージですが亜樹君はかなり聡いです。

まりかちゃんの「私より梨久ちゃんの方がかわいいと思わない?」といううわぁ……な攻撃に対する亜樹君のただ一言「そうだな」がカッコ良過ぎました。亜樹君海外でやっていけそう感、ある(真顔)。

 

まりかちゃんの攻撃はあまり梨久ちゃんに貫通していませんでしたが、それでも、梨久ちゃんなりにモヤモヤはしております。

でもそれまりかちゃんに対してではないんですよね。ただ由樹君とゆっくり話す時間がないことへの寂しさというような。あんまりヤキモチという感じでもなさそうでしたが(笑)、由樹君!!!! 脈あるかもしれないよ!!!!!

 

……いや、でも……やっぱまりかちゃんに嫌な気持ちにならない梨久ちゃん、スゴ過ぎん……⁉⁉

書店にまで押し入ってくる感じ、聖域を踏み荒らされるようで私だったら絶対に嫌です。あと本屋の仕事をやるのにワンピースはドン引いてます(真顔)。

 

ただそうしたまりかちゃんの遠回しな攻撃に対する捉え方が、本当に各キャラクターが”動いてる”なぁと感じたといいますか。

梨久ちゃんのモヤモヤはまりかちゃんではなく由樹君との時間が取れない、ということに向かい。

由樹君は小説家だとバラされたこと以上に、自分の小説が好きだとウソを吐かれたことに怒り、傷付いて。

亜樹君は梨久に対する攻撃にしれっと助け船を出すくらいにはまりかちゃんを見抜いているし、嫌っているけれど、梨久ちゃんにまりかちゃんの意図をあまり教えたりはしない。

 

ストーリーを作るにあたって展開の矛盾よりもキャラクターの矛盾を失くすべし~、的なことを聞いたことがあるんですが、多分、こういうのがそうなんだろうなぁ……と何か感動しておりました。

梨久ちゃん達、1人1人が生き生きして見えますよね。

 

由樹君については、

「おれが書いたもの……好きだって、言って」

がとても印象的でした。

セリフだけで見ればすごく自分本位……というか、少なくとも日本人はこんな風に愛を乞うのがとても苦手だと思います。まぁ日本人云々とでっかい括りを抜きにしても、由樹君は、特に。

梨久ちゃんの言葉なら信じられる、というのは、1巻を見ればまさに。梨久ちゃんも傷だらけになりながらも彼に”好き”を伝えてくれてました。

それにすごく、このセリフは告白のようだなぁと。シンプルな「好き」よりも、剥き出しで、痛々しくて、由樹君らしくて。

 

亜樹君の方は、由樹君が気になる(恋愛的にとは言い難い)梨久に対して、やっぱり痛そうでした。……夏祭りの時の由樹君も相当痛そうだったけど……!!!

「あいつじゃなくておれにしとけば?」などにも点と点が結びつかない梨久ちゃんに無垢な残酷さを少々感じたりも。

亜樹君は言葉よりも行動が如実に梨久ちゃんが好きだって言ってますねぇ……(ニマニマ)。

 

個人的にこの4巻、まりかちゃんにお灸を据える回な気がしなくもありません(笑)。

亜樹君にズバッと言われてしょげちゃうのかなぁ~と思っていたら、由樹君の地雷を自ら踏みに行くスタイル。……お、おぉう……(汗)。

とはいえ、そこで「怒らせちゃった」「私何やってるんだろ」と反省できたのは、彼女にとっていいことだったんじゃないかなぁと。そうした気持ちを否定せずに大事な『猫の本』を貸してくれる梨久ちゃんもいたワケですしね。

由樹君に「ごめんなさい」をできたのは、彼女自身の勇気と誠意だと思っています。よかった、よかった。

……何だか由樹君亜樹君の1番のライバルは彼女な気がしてきましたが……www そういう展開、好きなのでウェルカムです(`・ω・´) 由樹君に対する気持ちも整理がついたんでしょうか。吹っ切れたのかもしれないし、まだ少し胸が痛いからこその強がりが少しあることもあるのかな、と考えていました。……めっちゃ吹っ切れてそうな気がするけど……www

 

あと挿絵見て地味に思ったのは下でのふたつ結びのかわいいのってこういうのか……という(笑)。髪をくるんと一回転させてるみたいな。髪質も相まってめちゃくちゃかわいかったです。単なるふたつ結びはかなり地味な印象がありまして(現に学生時代自分がやってた)。

 

由樹君は小説家であることが不本意な形でバラされてしまいましたが、何とか自分のやりたいことに踏み出せたようで本当によかったです。あの眠り姫面白そう……!!! 私的にはめっちゃ好みでございます👍

あと図書委員って内向的な人が多いイメージがあったのでそこで劇やるって大変じゃない……⁉⁉ と思っていましたが、外向的(多分)な亜樹君まりかちゃんがいてくれてよかったです( ̄▽ ̄)

 

……や~、これで終わりなんですね『たんぽぽ書店』……!!!

少しずつ梨久ちゃんの周りがにぎやかになってきてて本当に楽しく感慨深かったです。……私なら柚ちゃん美咲ちゃんポジションがいい……www あの2人のやり取りにめっちゃ救われてました。

由奈ちゃんは……恋模様が今回も甘酸っぺぇ……(。-_-。) 『たんぽぽ書店』で1番かわいいのは由奈ちゃんかもしれません(真顔)。

由樹君亜樹君から始まり梨久ちゃんと同じく本が好きな由奈ちゃん、そこから柚ちゃん美咲ちゃん、さらには自然体験学習でいろんな子とも話し。……思いがけずまりかちゃんとも本当に友達になったような(笑)。

友達は多ければいいとは思っていませんが、楽しい友達が少しずつ増えていく様は見ていて微笑ましかったです。何だかこっちまでうれしくなるというような。

 

これからも梨久ちゃん達が、このあたたかな日々を続けていけますように。壁にぶつかっても彼女達ならきっと大丈夫でしょう。

恋はどうなるんでしょうか? 何となく、この『たんぽぽ書店』は三角関係のお話というより、3人のお話という感じがしていたので、この最終巻でそれが白黒ハッキリ決まらなかったのはすごく”らしい”なぁと思います。……梨久ちゃんがそういうのを分かるのはまだまだ先になりそうですしね(笑)。にしても由樹君も亜樹君も分かりやす過ぎて微笑ましいが過ぎる( ̄▽ ̄)

 

大事な人の気持ちをうんと考えて、できる限りのことをしようと考える梨久ちゃんのことです。例えこの先、誰かの好意に応えられなかったとしても、きっと相手にとってはいい失恋だった、になると思っています。

 

さてさて、私が集めている現在シリーズ刊行中の児童書がまたひとつ終わりを迎えました。これを機に新たな物語に出会いに行ってみてもいいのかな?ww 市宮先生、新作を準備中とのことでそちらも非常に楽しみです。

あたたかなお話をありがとうございました。

 

余談。
菅井兄弟が突然現れた時の柚ちゃんの顔芸、最高過ぎんか……www

 

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