鞭展開度:★★★★★
最早サスペンス:★★★★★
ままならない気持ち:★★★★★
【あらすじ】
電子犯罪捜査局を標的とした一連の事件の首謀者とされたAI「トスティ」。しかしその開発者は世界のどこにも実在しない人物だった。開発者の正体を探すエチカとハロルド。ハッカーから足を洗ったビガも本格的に捜査に加わるが、一向に足取りを掴むことができない。そんな中、アミクスを狙った殺傷事件が発生。その手口は、かつてハロルドの恩師ソゾンが惨殺された「ペテルブルクの悲劇」と酷似していて……。第27回電撃小説大賞《大賞》受賞の本格SFクライムドラマ、波乱の第4弾!
思いがけず女子ズの表紙イラスト。かわいーい!!!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ エチカって意外と背が高いのね。
……というのはさておき(笑)、ようやっと読めたこちらの4巻。とうとうペテルブルクの悪夢に迫るということで、めちゃくちゃ目が離せない展開でした。……普通に夜更かししたよね……!!!
二転三転と確信を裏切られるので楽しくて仕方なかったです(`・ω・´)
以下ネタバレあり↓
序章の序盤を読んでめちゃくちゃ思ったこととしては、
これは犯人同じ目に遭わせていいんじゃないか???(真顔)
……というような感じでして。←
3巻までは限りなくエチカ寄りの考えで、ハロルドに人を殺してほしくない、アミクスがその一線を越えるのは人が人を殺すのとは違う意味で取り返しがつかないことな気がする、という感じだったんですが。
いざソゾンが惨殺されるシーンを見せられると私は何も分かってなかったなと。。。
アミクスであるハロルドはソゾンが惨殺された記憶をいつまでも保有している。くり返し頭の中で再生ができてしまう。その隅々まで憶えている。そんなのその時の気持ちが薄れようがないよなと納得してしまいました。
その後のダリヤ始め残された家族の描写がまた生々しく痛々しい。ハロルドの秘密を隠蔽することを選んだエチカの時といい、人間の心が崩れやすい、壊れやすいことを熟知した描写のように思います。だからこそ読んでてずっと苦しかった。
けれどスラスラ読めてしまうのが菊石マジックというか……!!!
淡々と事実を述べる刑事モノらしい文章に見せかけて、表現がしれっと感情に寄り添ったようなものになったりするのも魅力的です。……犯罪の怖さをガッツリ伝えつつもね……‼(震)
多分シュビンかナポロフが犯人だろうなーと思いながら読んでたらシュビンであることが分かって、かと思えばナポロフで、
……いやソゾンを殺したのだけシュビンでもナポロフではなかったと誰が思う!?!?!?(汗)
それは本当に本当に想定外で、あの電索のシーンは鳥肌立ったし息止まったし手で口覆って笑うしかなかった……!!! いやもう予想外過ぎると人間は笑ってしまう。。。
チラッと思ったのが、エチカがハロルドの復讐――否、『償い』を止めることができなかったら、ハロルドは少なくともソゾン殺害の犯人ではない人間を殺してしまっていたんだなと。もちろんそれが何よりではないんだけれど、止められてよかったんだな。。。
エチカもハロルドも、お互い相手に対して”相棒”とは違う価値を――執着を自覚せざるを得ないところまできていて、エチカは自分のエゴだと苦しんでいたし、ハロルドもずっと苦しんでいて犯人を手にかけることを望んでいたのに、止めてくるエチカを撃つことはできない。
どちらの苦しみも分かってしまって、読んでるこっちも苦しかった。本当に、1つの選択で最悪の未来になりかねない緊張感が満ちていて。
でも、そんな2人の苦しみにあたたかさを見出してもいた。
挿絵を先に読む派の私はエチカがハロルドを抱き寄せているイラストを見て「もしや殺ったか……?(真顔)」とか思っていたことをここにお詫びします。マジでごめん2人とも。
「わたしが代わりに、きみを許さないでおくから」とハロルドの心を大事に預かってくれるエチカがハロルドにいてくれてよかった、と心から思いました。エチカはハロルドへの解像度がどんどん上がっていく。。。( ̄▽ ̄)
今回ナポロフは特に許せなかったものの、本人による種明かしや電索での彼のルーツを見ると、点と点が線になるような納得感もなくはなく。。。……いや許せないものは許せないんだけどね!?!?
ただ、このナポロフも母親をあんな風に殺されているワケで、その母親を殺した犯人にも何かそこまでの異常行為をするルーツが存在する。。。そんなことをまざまざと実感させられたようでもありました。人による心の負の連鎖は本当になかなか止まらないのだと。
人ではないとはいえ、ハロルドの”償い”をひとまずは止められたエチカも、ひとまずは電動のこぎりを手放せたハロルドも本当にえらい。2人の頭なでたくなります。いらないか~( ̄▽ ̄)
ハロルドとソゾン、ダリヤの幸せな日々は本当にあたたかくて、やり取りがこれまた面白くて本当に大好きでした。ハロルドとソゾンの会話はどこか今のエチカとハロルドの会話と似ているような……www
挿絵でダリヤは初登場ですね✨ 酔っぱらって酒瓶ふり上げてますが野崎先生イラストなだけあってそんな顔も天使(笑)。ソゾンも素敵でした。ダリヤを見下ろす目が優しい。。。
ハロルドがビガの贈ったマフラーを巻いたところでエチカがモヤってたのがニンマリしちゃいました(笑)。……と、とうとうエチカが……!!!
今までビガがハロルドにきゃあきゃあしててもめっちゃ他人事だったからなぁ……www ……あれコレ今までが気にしなさ過ぎだったのか?(真顔)
来月には5巻も出るワケですが、さらに大きな敵と相対していくことになりそうで楽しみです✨ 表紙イラストが久しぶりにバディ揃うのも感慨深い……!!! そしてエチカがドレス姿なのが最高です(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
ハロルドがどんな風に褒めちぎってくれるのが楽しみにしつつ(笑)、次巻を待ちたいと思います(`・ω・´)
余談。
第4章扉絵、初見で「ハロルドそれ何持ってるん???」てなったワシ。(※小型電動ノコギリ初めて見た)