『リーリエ国騎士団とシンデレラの弓音 -綺羅星の覚悟-』(瑚池ことり/集英社オレンジ文庫)

集英社オレンジ文庫

鞭展開度:★★☆☆☆
誰もが成長途中:★★★★★
騎士の誇り:★★★★☆

【あらすじ】
〈戦争〉にかわり〈戦闘競技会〉が、国々の命運を決するようになり三百年。「出来そこない」のニナは弓の才能を見出され、リーリエ国騎士団の団員となった。年に一度の祭典・西方地域杯で、ニナは怪我の後遺症に苦しむ女騎士と出会う。そんな中で迎えた初戦、リヒトは勝負を捨ててニナを守る。守られるばかりでなく、騎士として対等になりたいと悩むニナだが…?

『令嬢鑑定士と画廊の悪魔』『恋と悪魔と黙示録』、と続いてこちらを読み返しておりました( ̄▽ ̄) ……う~ん、西洋ファンタジーが続きますな!www

記念すべき2巻よりサブタイトルがつくワケなんだけど、毎回すごく素敵なサブタイトルで(もちろんタイトルも素敵‼)この『綺羅星の覚悟』にもウットリです(。-_-。) 読む前にウットリし、読み終えてよりその意味が染み渡るというか。

変わりたい少女の苦悩と覚悟はまだまだ続くんですね。

 

以下ネタバレあり↓

 

 

 

今回は特に「リヒトお前………………………………」とならざるを得ないというか(苦笑)。

1巻から思っていたことだけど、本当にリヒトは未熟なヒーローですね( ̄▽ ̄;) めちゃくちゃ手がかかります。「騎士やめちまえ」と言われてもしょうがないやらかしでした。

 

しかもそれを悪びれることなく「俺がニナを優先するのは当然でしょ」みたいに言えてしまうんですからこちらとしても頭を抱える始末(笑)。堂々と惚気を口に出す時点で「す、すごいなコイツ……」と絶句していましたが、これは。

 

しかしここで「それは何か違う気がする」「自分は騎士として認められたい」という思いになるニナが本当に格好いい。

リヒトに弓の才を見出されて、誰かの為に戦えて、しかも恋をもらえて。そんなリヒトに心底感謝しているし、本当に大好きだし。

そんな気持ちもあるけれど、浮かれることはできない。こんなに良くしてもらっているのに、感謝しているのに、うれしいのに。それでも、やっぱり騎士として見てもらいたい。嫌われるかもしれない、それがこわくても。

そういう、自信がない故の自分の心への疑いや、1人の女の子としての怯えといった人間くささ、試合で見捨てられる存在になりたい、という彼女なりの騎士の誉れが混ざり合って。これが本当に、ニナの魅力なんだなと思いました。

そして1度はリヒトに話せたものの受け入れてもらえず、今度はゼンメル団長の部屋の扉を叩くというのがナイスアイディア。それでいて、いわゆる私情も交えた相談に真摯に耳を傾けるゼンメル団長が本当にいい長だなと。リヒトへの一喝も格好いい(笑)。

 

そうしてリヒトという〈盾〉を振り切って戦ったニナも本当に格好よかった。ここにきてやっと、リヒトも騎士としてニナを認める、ニナよりも騎士団の勝利を優先するという覚悟が決まってきたというワケで。

行動で騎士の覚悟を示したニナは格好よかったし、その後のキントハイト国との戦いもすごく胸アツだった。

ゼンメルの言うように、2人とも「調整途中」なワケで。

 

ニナはこれからどんどん成長していくし、リヒトも騎士として男として成長の余地がじゅーーーーーぶんにある一方で(笑)。

実はロルフも、そうした成長途中にあるんだなと。

それほど描写は多くなかったけど、庇護すべき小さな妹が同士となったことで、やっぱりロルフの中にも変化があったんだな。

前回は、ニナを騎士として認めることができて。

今回は、イザークとの1対1だけに集中するんじゃなくて、連携にも力を注いだ。

これから彼がどう変わるのかも、密かに楽しみなところなんだな。

……まぁでも、競技場から1歩出たらもう過保護な兄なワケで……www

 

ロルフとニナの兄妹の感じがホントに好きだから、このあたりニヤけちゃうなぁ~(笑)。

食堂での手伝いでロルフへ食事を持っていってやり取りするのが密かな楽しみ、ってニナ、本当にかわいいが過ぎる……(。-_-。)

あとロルフはニナに言われたら絶対断らないんだねwww ニナは気付いてないけどあとの団員はみんな察しているのである……( ̄▽ ̄) お腹苦しくならないか心配になるけど、その分鍛練を怠ることはないだろうから太るのではって心配は無用ですかね(笑)。

……そして確かにリヒトとのやり取りよりよっぽど付き合ってそう……どころか夫婦感がスゴイという……www リヒトは八つ当たりが無自覚なのがコワ過ぎる(真顔)。

 

家族といえば、ベアトリスとリヒトの姉弟関係もすごい好きなんだよな~(笑)。

1巻の時からニナが「恋人なのでは」って勘違いしちゃうくらい仲がいい。リヒトはベアトリスに恋愛相談してるくらいだし……www

でもこの2人は、”仲のいい姉弟”でいる時間がロルフ・ニナ兄妹より長いからか、いい意味で普通の家族だなぁって思う。どこぞの兄妹みたいに夫婦感はないのである……www

個人的にはベアトリスがリヒトのニナへの下心や今までのニナには口が裂けても言えない女遍歴をグサグサ刺してるところが大好きですwww あ、姉だなって感じがするあの容赦のなさ( ̄▽ ̄)

 

フォルビナはすごく不思議な立ち位置の新キャラだったなぁと。。。

全体では、実はニナとはさほど言葉を交わしてはいない。どっちかというと、フォルビナから一方的に頼んだり敵意を向けたり。最後の自分の過去や気持ちを吐露するところでも、ほぼ一方的に語って終わってるんです。ニナはあまり喋ることができず、決してこの2人の間に絆が芽生えたとは言い難い。

それでもお互い、苦悩の中にある自分と相手を重ね合わせて、どこか他人事ではない気持ちでいる。

その奇妙なつながりが印象的でした。ニナが黙って指輪を受け取ったあたりも、何かリアルというか。そこで気の利いた何かを言ってフォルビナの心を開かせるワケではない。

フォルビナに伝えることなく、でも彼女の思いを騎士の誇りとしてそっと胸にしまい込む。

 

ニナのことだから、てっきり指輪は捨てないでとっておくんじゃないかと思っていたんだけど、手放すんだよね。

でも噴水に沈めたあの行為は”捨てた”のとは違うような気がしている。思いは捨てずにニナの胸に留めている気がする。

 

”綺羅星の覚悟”って、きっと主にニナのことを指しているんだと思うけど、フォルビナやエベロの思いや、リヒトやロルフ。競技場に立つ騎士達すべてを尊重しているような。

本当に、登場人物の数だけ得手不得手があって、過去があって、思いがあってというのを、この作品は大事に描いているなぁ、と思います。

 

戦いのあるストーリーがやっぱり燃えますね!!!(笑) ハラハラしながらも目が離せない。強烈に惹きつけられる。

そうして変わりたい少女が、守られるだけの自分を良しとしない騎士が戦いに挑む姿は本当に格好いい。

リヒトに睨まれそうだけど(笑)、またさらにニナに惚れ直した2巻でした。

 

そして集英社オレンジ文庫さん、この作品に限らず挿絵集みたいなの小冊子でいいんで出してくれませんかね……www

せっかくニナがかわいい格好してくれてるのに服に関する知識と想像力が乏しい私には上手いこと想像できなんだ_:(´ཀ`」 ∠): リヒトが贈った青いドレスもどんな感じなのか知りたい_:(´ཀ`」 ∠): ベアトリスのドレス姿なんかも見たい_:(´ཀ`」 ∠):

 

3巻もいつか読み返して感想記事書きたいなぁ。……そして続きも読んでいきたい……!!!

 

余談。
誰かあのニュンフェを止めろwwwwww

 

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