『今宵、ロレンツィ家で甘美なる忠誠を 恋のはじまりは銃声から』(深見アキ/ビーズログ文庫)

ビーズログ文庫

鞭展開度:★★★☆☆
マフィア度:★★★☆☆
少女の覚醒度:★★★★★

【あらすじ】
伝説の《黄金瞳》を持つ少女リタは人買いに捕まり闇市で競売にかけられてしまう。過去のトラウマで声を失い絶望するリタを競り落としたのはマフィアのボス、アルバートだった。「きみは僕の花嫁になってもらう」甘い囁きに従うリタだったが、彼が笑顔で人に銃を向ける冷酷な一面を知ってしまう! 危険なマフィアに迎えられたリタの運命は――!?

 

いやーーーーー、めちゃくちゃ好きな話でしたね!!!!!

タイトルの段階で「めちゃくちゃ面白そう!」と確信していたのですが、少女小説ではなかなか見ない《マフィア》なんていうワクワク要素に、声すらも発することができない無力な少女が主人公っていうのがもうたまんなかった!!!

めちゃくちゃ大好きな主人公でした、リタに会えたことがこの作品を読んでの1番の宝物だ……!!!

コレはもう是非続きを書籍で出してほしい(`・ω・´)

 
 

以下ネタバレあり↓

 

お腹が空いたな、と思った。

 

この一文からもう虜でしたね。

「面白い本は一文目からもう面白い」というのが超絶個人的な小説あるあるでして。

コレがまさしくそれでした。

序章というかプロローグというか、そちらの一文目もすごく惹かれたんですが、1章での一文目の打撃がさらにスゴかった(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾

わたくし集中力が「入るまでに時間がかかって1度集中すれば長時間イケる」クチでして、こういうグッと惹かれる一文目にはマジで助けられている。

たった一文で波紋が広がるかの如くごく自然に世界観が自分の中に入っていく感じといいますか。なのでスルスル読めていきましたよマジ感謝。

魅力的という意味でも読みやすさという意味でも素晴らし過ぎる入り方ですよコレはもう👍

 

そしてそしての甘くない恋愛模様とマフィアの在り方。

ハイありがとうございます。大好きの極み(真顔)

最初のアルバートがリタに愛情がないのは明らかでしたからねー。いいぞそういうの待っていた👍

もっとこのあたりとか触れたいところなんだけど、その前に触れなくちゃいけないことがある。

 

リタが本当に好きなタイプの主人公だった!!!!!!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾

 

これは声を大にして言っておきたい。主人公の気持ちの変化も含めてものすごく好きだった。

奴隷市場で売り物にされ、何もかもをあきらめていたリタが、アルバートに買われ、花嫁として従順であることを求められ、アルバートにほんのりほだされてから見せつけられる非情なマフィアとしての一面。からのビンタ。

 

これですよ、もう!!!!!!

 

自分の意志で生きると決めたリタの何とまばゆいことか。まさかビンタに出るとは思っておらず驚愕させられたのは間違いないけれど……www

無力かもしれなくても、自分にできることを考えて自分のできる範囲でやっていく。こういう主人公が本当に大好きで。

完全に余談ですが乙女ゲームのヒロインが好きなのもそういった理由からだったりします(笑)

アルバートにビンタを喰らわしてキッと睨みつけるリタこそがリタの本質なんじゃないかなと考えてみたりして大変楽しかったです。

 

傀儡でいることに疑問を持ちながらも幸せなんだよね? と言い聞かせていた頃から、本質の片鱗が見えていたのも楽しかった。

ポルヴェと対峙するアルバートに孤独の影を見つけ、礼と笑みだけでアルバートを守ってみせたリタは死ぬほど格好良かった。

すごい。一言も喋れなくてもできることってこんなにあるんだ。そんな興奮がゆっくりとでも確実に湧き上がったのは事実です。

 

このあたり、育ての親であるオリガの教育の賜物とも言えるのかも(笑)

『少女と老婆の奇妙な同居生活』も本当に好きでした。個人的に、この組み合わせの義親子的なのをほぼ読んだことがなく新鮮だったのもある( ̄▽ ̄) これだけで1冊刊行されたら喜んで買うレベルには気に入っています(笑)

「生きることをあきらめるんじゃない! 居場所ができたらしがみついてでも守れるような女になりな!」

これですよ。

わたくし本当に「どんなにみっともなくても這いつくばってでも生きることにしがみつく」物語大好き侍にて候(真顔)。

最初からそうなんじゃなくて、こうして誰かに教えられて、自分で実感して初めて生にしがみつきたいと思う。そういう過程が愛おしくてたまらない。

ロレンツィ家1のいい女は間違いなくオリガですね(`・ω・´)

そんなオリガが理不尽に殺されたワケではないことに物凄くホッとした覚えがあります。

 

……黙って言いなりになってるだけではだめだ。
自分の頭で考え、動かなければ、あっという間に見捨てられて死んでしまう。

 

リタ覚醒の瞬間は本当に何度読んでもたまらなかった。

 

ここからのアルバートの変化もまたいいんだよなー。

「自分には笑わない」と拗ねてるのとかニヤニヤでした(。-_-。)

お飾りの枠から懸命に出ようとする、出ていくリタを気に入るアルバートは大変女の趣味がよろしいかと👍(何様)

 

ホットミルクの件は本当にたまんなかったですね(。-_-。) 愛情表現がひねくれてて(笑)

激甘ホットミルクを嫌がらせではなく素でやってしまったアルバートはごく普通の青年ですごくホッとしました。……いやごめんホットミルクとはかけていないんだいやマジで。

 

リタに情が移ったことを認めるていくアルバート。構成員との距離を縮めていくアルバート。しかしマフィアとしての非情さは矜持であって決してブレない。

その、変わっているんだけど変わっていない、みたいなバランスがとても絶妙で読んでいて楽しかったなぁ。

あとグレゴリオとのやり取りも好きでした(笑)

 

話は変わって。

声を失っているリタは主に筆談でコミュニケーションを取るワケなんですが、それ故に他の人達とは違う感情の出し方があってそれがまたいいなと思いました。

動揺のあまり手がブレて上手く書けなくなるだとか。自信がなくて紙の隅に小さく書くだとか。恥ずかしくて走り書きしちゃうだとか。

筆談する主人公に出くわしたのが初めてで、リタのこういったところが新鮮で楽しかったです。そして愛しい(。-_-。)

スケッチブックが手元にない時のどう伝えたらっていうワタワタ感もかわいいなって(笑)

いつか声が出せるようになればいいなと思いつつ、でも声が出ても出なくてもリタはリタだよな、なんて思ってみたり。

 

でも、(……なんで、わたし、話せないんだろう……)とリタが思うシーンはすごくグッときたなぁ……!!!

今まではそのことにそこまで不便していなくて、でもカルディア島にやって来て劣等感を感じて。そういうのではない、明確な想いがアルバートに向けられている。

そしてそれがただただ純粋できれいな想いなんかじゃなくて、後ろ暗さや確かな愉悦もある。

何と言ったらいいのか、そういう人間くさい身勝手さでまた更にリタを、そしてこのお話を好きになった!!!

そりゃアルバートも好きになるよな〜(笑)

 

血の掟を結んだリタが今後アルバートとどんな道を歩んで行くかが無茶苦茶楽しみなんだよなー……!!!

続き出てほしい。続き出てほしいのよ。

多分めちゃくちゃ危険な目に遭うし身体的にも精神的にも痛い思いたくさんすると思うんだけど。その先で納得のいく『答え』を見つけ出す2人だと思うから。

カクヨム作品だからもしかしたらカクヨムで続き読めたりするんかなー……? わたくし画面で長文を長時間読むのがかなり苦手なので個人的には書籍での続きを所望する……冬臣先生の挿絵ももっと見たいし……!!!

 

キスシーン挿絵で見たかったというのは書いておく(真顔)。

 ホントにキスシーン良かったんよ……………………………………………………。

 

本当にまだまだリタの好きなところたくさんあって全部書きたいぐらいなんですが、そうなると年が明ける気がするのでこのぐらいでお暇しようかと思う……!!!(>_<)

とにかく可憐で格好いい女の子。君に敬意を表して。

 

余談。

コミカライズ読んでみたけど、全コマ美麗イラストで贅沢の極みだった、買うぞ!!!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾

 

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