鞭展開度:★★☆☆☆
しょっぱい恋:★★★★★
気持ちとは裏腹に:★★★★★
【あらすじ】
15歳の秋につらい失恋をして以来、いくつもの浮名を流し「王都一の色男」と噂されるシリル。だが、彼は子爵家の三男に過ぎず、23歳になった今、将来の身の振り方を考えねばならない。そんな時、割り切った遊び相手である伯爵夫人から、北の大領主ネージュ家が、一人娘ブランシュの結婚相手を選ぶため、名だたる貴公子たちを領地の六花城に招待していることを知らされ、同行しないかと誘われる。雪舞う六花城で、大人の恋と一途な片想いが交錯して……?
タイトルに惹かれて買ったものなんですが、重過ぎず軽過ぎず恋をメインに描かれていて新鮮でした。恋愛メイン全然読まない勢なんだけど楽しめた!
読みやすくてサクサク進められたのがまたよかったなぁ。恋の酸いも甘いも楽しかった。
あと主人公がクズながら愉快なのが面白かったです( ̄▽ ̄)
以下ネタバレあり↓
久々にこういうしょっぱい恋愛モノに出くわした(笑) しかも主人公が女タラシで借金まみれというなかなかロクでもないヤツ( ̄▽ ̄)
正直そりゃお父様もおん出すよなとシリルにまったく同情できずに送り出しとりましたwww
その一方で周りが今の居心地がいいままでいてくれないと分かった時の「……えっ?」ていう感じは分かるような。。。あの時の一瞬頭が真っ白になって何か笑うしかないような変な焦りがせり出すような感じは何なのか(汗)
同情こそできないものの何かその人間くささが憎めなくもあり。いや逆玉の輿めちゃくちゃ狙ってる感じとかそのクセ街にいる女を狙いに行ったりマジでコイツだったけどwwwww
ただこのシリル、正直素の方が面白くていいのでは? なんて思ったりもして。結構砕けた口調なんだよねー本当は( ̄▽ ̄) 「お、お前~~!」とか「なんだよ、恥ずかしくないだろ」とか。何かめちゃくちゃ俗っぽくて親しみ持てるよなぁ。
今まで貴族みたいな身分の高い人らがメインキャラの話はみんな頭良かったり礼節はそれなりに弁えてたり品があったりが多かったので、ここまで砕けた貴族キャラはなかなかに新鮮でした。disってない。かというとそうとも言い切れないが(真顔)。
……ってなるとブランシュも結構私の中で今まで出会わなかったタイプかな⁉(笑)
ここ数年で読んでた貴族や王族の話だと、基本的に女性メインキャラは普通に女として過ごしている感じが多くて。和風の乙女ゲで男じゃないと戦場に出れないから男装している、周囲にも男であることは秘密にしているってのはあったけど、女であると周囲が分かっている状態で堂々と男の格好をしている貴族令嬢というのはかなり新鮮だったなぁ。
アリスティドに恋するブランシュはかわいかった……!!!/////
完全に矢印が一方通行ばかりのしょっぱい恋模様。何なら主人公もバリバリ愛人してるというパンチの利き過ぎたアレやコレや。
読者(傍観者)として見守ってて「あちゃ~……(苦笑)」と頭を押さえるものばかりだったものの、何でしょうね、その無様さがどこか辛くなり過ぎず、誰もが味わったことのある情けなさというか。
それでいてそのほろ苦いどころかしょっぱい恋の思い出を、シリルが掬い上げてくれるのがすごく印象的で。
「――人を好きになったら、みっともなくなって当然だ」
「一生懸命だっただけだろ」
「お前は、かっこよかったよ」
辛い失恋を知っているシリルだからこそそういったセリフがすごく活きるというか。「かっこいい」って言い方なのがすごく好き。
……まぁそのすぐ後にキスってのがあまりにもサイアクだったけど……( ̄▽ ̄;) シリルも絶賛みっともない中なので。
その後のシリルのモダモダ具合がよかったなぁ~(笑)。めっちゃこじらせてる感じが大変良きです(`・ω・´)(※鬼)
と同時に、シリルとブランシュのサイアクな初対面からシリルがブランシュの弱みを握って(?)応援するハメになって、砕けた仲になっていっての今コレ。
……めっちゃ青春してるなぁー!!!wwwww
お祭りや雪合戦などなどできゃっきゃはしゃいでいるのがめちゃくちゃ微笑ましかったです。何かもう小学生かな?ww
絶賛みっともない中といえば、まさかのカティア夫人も。
愛人なので情があるワケじゃないイメージでいたし、そもそも六花城に連れて来てくれたのも彼女だし。しかも話を追ってくと愛人がいて自分を大事にしてくれない旦那さんを今でも愛しているようで。。。
あぁ、カティア夫人もみっともないくらい一生懸命だったんだなぁ……と感じ入っていたらまさかのシリルが好きなん??????
せっかくブランシュに再会した時に胸を張れるようになりたいと考えが変わったシリルを部屋に招いて。「離婚する」だの「愛してる」だの言っているのはてっきりシリルを試しているのかと思ってたんだよね。。。
そしたらブランシュを呼んでいたというなかなかの展開。め、めっちゃ修羅場~~~~~!!!(※IKKO風)
六花城を去ってすっかり生まれ変わったシリル。……と見せかけて絶賛みっともない中なのがこれぞ『六花城』だよな~って何かもう理解しました(笑)。でもシリルがやりがいのある仕事を見つられたことや家族と円満な関係になれていることはよかったかな?www
雪合戦で作戦を立てたり、エドガールを助けたりとシリルはそういった方向に本当に向いてたんだなぁ。あのあたりの生き生きとしてる感じが好きでした。エドガール救出はめっちゃヒヤヒヤしたけども……!!!(汗)
王都に戻ったシリルは隊長になってたワケだけど、自分に向いている方向性でやってるのがすごくよかったし普通に仕事で見習いたいところだと思った( ̄▽ ̄)
すっかり女遊びをやる気は失せ、お見合いもまったく乗り気じゃないシリル。しかしブランシュからもらったネックレスを無様な格好になってまで探しまくって、見つけたら過去の自分が恨めしくなって泣いて。
何かもう、各キャラクターのそういった”みっともなさ”が愛おしくなってきてたよね。。。何ならアリスティドが失恋するんかーーーーーいってあそこめっちゃ面白かったわwwww えぇぇ……あんなにカッコよかったのにかぁ……_:(´ཀ`」 ∠):
ブランシュもまたアリスティドにみっともない片想いをして、それからシリルへの恋が六花城でこれまた無残な結末を迎えて。……うん、10代の初心な女の子にあの光景はショック過ぎるって……( ̄▽ ̄;)
久々の再会ですっかり女領主として見違えた姿になっていたブランシュが、やっぱり昔と同じブランシュだと分かった時のホッとしたのと愛おしいのと。魔法の時計をシリル相手に使っているのが本当にたまんない。
「こんな靴で歩けるか!」とかもう私が抱きしめたくなったわ。←
あの優しいお父さんが亡くなっていたことだけ悲しくもあり。。。
六花城ではハッピーエンドといかずに終わったかに思えた恋なんだけど、この時点で結ばれなくてよかったのかなーとか。それぞれ成長(?)してから結ばれたから後ろめたさとか後腐れなくていいのかなぁと。
あと、終章が1年半後になってたワケなんだけど、そこでブランシュがシリルに会いに来る為だけに王都に来たんじゃないところが何かリアルで好きでした。
しょっぱい恋でありつつ、魔法のような恋でよかった。六花城のこれからに幸あれ。
余談。
さすがに湖に飛び込ませるのはやり過ぎではwww