『廃墟の片隅で春の詩を歌え 王女の帰還』(仲村つばき/集英社オレンジ文庫)

集英社オレンジ文庫

鞭展開度:★★★☆☆
陰謀の火種度:★★★☆☆
主人公覚醒度:★★★★☆

【あらすじ】
革命により王政が倒れた国・イルバスの王女アデールは、辺境に建つ『廃墟の塔』に幽閉され、厳寒を耐え凌ぐ日々を送っていた。だがある日、離れ離れになった姉王女ジルダから手紙が届く。「イルバスを取り戻す気があるのなら――」。そして姉の命を受け廃墟から救い出しに来たという謎の青年、エタンとの出会い。凍り付いたアデールの運命が、音を立て動き出す!

 

『シンデレラ伯爵家の靴箱館』の作者さんということでずっと読みたいと思っていた(真顔)。

電子書籍で先に出ていたのですが書籍派なので書籍化をずっと待っていたのである。。。(※画面で長文を長時間読むの苦手勢)

書籍化してくれてありがとう、本当に読み応え満点の面白いヒストリカルロマンでした(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾

続きも一晩で読破するぐらいにはのめり込んだし面白かった……!!! 

読もうか悩んでる人いたら是非読んでくれ!!そしてシリーズ化してるけど時系列的にこの話から読むのを激しく勧めるぞ!!!

 

 

以下ネタバレあり↓

 

革命で両親と兄達を亡くし、冷たい廃墟の塔に幽閉されている王女アデール。もう冒頭から重い👍←

この話を読み始めた数ヶ月前にミュージカル『マリー・アントワネット』を観劇していたのでバリバリ入り込めました。花總まりさんのマリーに激涙してたんよ_:(´ཀ`」 ∠):

……とそれはさておき(笑)、無力なお姫様でい続けることが染みついたアデールが激動の時代の中でどう変わっていくかが見どころだなと冒頭の時点でワクワクしておりました。

そして想像以上に素晴らしいアデールの半生が見届けられました……!!!

 

ものすごく個人的な話なんですが、この本を読み始めてた時期、本当に心も体もぶっ壊れていて。心底自分に自信がなくて病んでいたんですよね。

そんな中で読んだのがこのお話で(とにかく心を休める為に本に読み耽っていた)、母や姉に王の才覚を奪われたアデールを見ていてふと思ったんです。

 
 
自分に自信がなくなるのは、そのほとんどが外的要因からだと。

 

私はそう定義付けました。

だって、自分だけが存在している状態なら自信の有無も何もないんです。そんなこと考えもしない。他人とかかわるからそういった考えが生まれるのだと。

 

他人に自信を潰された面があるのだと思ったら、ものすごく、気持ちが楽になりました。ずっと、自分に自信がないのは自分が何もかも悪いのだと思い続けていたから。そうして、自信を持っていい部分を考えて、自分が改善するところを落ち着いて考えることができました。今もその真っ最中です。

仲村先生は別にそういったことを伝えたくて書いたワケではないと思います(笑)。ただ、私が勝手にアデールの今までを見ていて思っただけのことです。ただ現時点での私の答えというだけです。勝手に私が救われただけです。

でも私はすごくこの物語に出会ってよかったと思ったし、心の底から感謝しています。

心が震えるほど面白くって、今まで自分の中になかった考えに至ることができた。

 

さて話は戻って。

アデールを巻き込んでいく姉2人の思惑や駆け引きがこれまたヒリついていて最高でした👍

女同士の戦いというと後宮がまず連想されるんですが、この物語の場合バッチバチに王位をめぐって争っているんですよね。そこが新鮮で面白かった(`・ω・´)

怜悧で冷徹なジルダも、自分の望みにどこまでも忠実なミリアムも結構嫌いではありませんでした。アデールの自信を意図して潰していた点だけは許してないけどな、ミリアム。

 

巻末(言い方合ってる?)のSSがまた好きだったなぁ。ミリアム編とジルダ編。

ミリアムのことを改めて烈しい女性なのだと実感して。

ジルダは見向きもしないけれど、アデールからの貝殻を処分はしなかった。

私は何となく、アデールよりも姉2人――特にジルダ――の方が人間くさい人間なんだな、と感じました。

政治的駆け引きは見ていてめちゃくちゃ楽しいので(私にゃまったく思いつかん高度なやり取りが新鮮で面白ェ……(。-_-。))政策だの筋書きだの興味深いものだらけ。

 

ジルダの筋書きといえばのアデールの政略結婚。

てっきりエタンと一緒になるのかと思っていたのでおっとそっちかと地味に驚いていました。ジルダとエタンがそーいう関係なのも地味にショックを受けた記憶が……www

アデールがそのことを知った時の気持ちが「年頃の女の子が誰しも経験する衝撃のようなもの」と書かれていてとてもしっくりきたのを覚えています。

 

しかしどうやらグレンはアデールのことを憎からず想っているようで。

おやおやとニヤニヤしていたのですがアデールが本当にグレンにそういった情を持っていなくて……おぉっとコレは……( ̄▽ ̄;)

 

元々読者をニヤニヤさせる恋愛模様を核とした話ではないだろうな、というのは冒頭で誰もが分かっていたこと。『シンデレラ伯爵家の靴箱館』とは全然違うなと(こちらのお話は鈍感控えめヒロインと恋愛初心者残念ヒーローの恋模様に笑いが止まらなかったです。興味のある方は是非読んでみて👍)。

 

しかし結婚式でグレンとのキスを義務的に済ませ、寝室でグレンに体を寄せられ反射的に体を固くするアデール。

夫婦の営みに至らないまま日が経ちグレンの気持ちを察することができず、わざわざガブリエラを呼び寄せ恋バナをしてもらってもやっぱりピンとこないアデールは、『シンデレラ伯爵家』の作者さんの描くヒロインだなと思いました(笑)

うーん何でしょうね、この面白い鈍感ぶりといいますか……www

 

そんなアデールも遂に覚醒でございます。いや恋愛方面にではなくて。

 

「怖い思いをしたのは、命を失いかけたからではない。肝心なときに自分がなにもできなかったからです」

 

身近な人のために、国のために。自分の可能性に蓋をするのはもうやめにしたい。
人に言われるがままではなく、自分の人生を生きる。

 
変わりたい。変わらなくちゃ。と変わっていく女の子は本当に格好いい(。-_-。) もうホント大好き。そしてここから物語が大きく動いていくのだろうと予感させてゾクゾクしました。もう笑みが止まらない(暗黒微笑)。

わたくし「自分の人生を生きる」と女の子が決めるに至る過程、その瞬間、そこからの快進撃が大好きで候。。。

 

元々傀儡のままではいられない性のアデール、本来の自分を取り戻すことにプラスして「王族としての自覚」という新たな側面も手に入れます。一気にふたつ、別ベクトルへ変化を遂げるというのは個人的に新鮮だったなぁ。あ、そっち方面にもあっち方面にも進化する!?!? みたいな(笑)

そしてここまで耐えて耐えての開花だったのでそれがまた好ましい。そういう過程を愛してる民です(`・ω・´)

 

そしてわたくし純然たる恋愛モノが大好きなんですが、政略結婚ならではの「愛はないけれど国の為に動く意志は同じ」みたいな一帯感も好きでして。……いや、グレンは間違いなくアデールが好きなのですが( ̄▽ ̄;)

アデールがグレンに抱いている愛情はグレンが向けてくれるものとは明らかに違うもので。でもグレンが大事なのは間違いなく。

私はアデールがグレンに向ける愛情が結構好きです。大切であることには違いなく、彼女が自分の人生を生きるきっかけになったのだから。

恋愛感情とも友情とも家族愛とも違うこの思いの深さは見ていて新鮮でした。何とも不思議な愛情。

それでグレンとすれ違いが起きるのも否めないワケですが。。。

 

そしてわたくしアデールとエタンのやり取りが1番好きなんですけどね。(鬼)

お互い相手に雑な感じが好きなんだよなーwww 特にエタンwwww

干しレモンをアデールの口に突っ込むの大好きです(。-_-。) 結婚したアデールに普通にやるしアデールも普通に受け入れてるし。そりゃグレンも心中穏やかじゃないよなぁと思いつつ。

恋愛であれそうでない関係であれ、お互い雑な関係性が大好きなのでしょーがない( ̄▽ ̄)

……雑と見せかけて大切に見せかけているのがまたね(ボソリ)。

 

エタンとジルダの、利害が一致しているというか、でもそれだけではない運命共同体のような関係性も見ていて好きでした。何でしょうね、打算だけではない、どこかお互いでしか分かり合えないものがある感じ。

ジルダもエタンも、ある意味では無欲なように感じました。

 

さてさて、傀儡をやめたアデールはグレンと共に常春の国ニカヤへ。

ここまで読み終わった時点で寝る時間とっくに過ぎてたのですが、あまりにも面白くてこのまま私は徹夜で続きを読み切ったのである――……。

 

〜『女王の戴冠』感想へ続く〜

 

 

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