鞭展開度:★★★★★
春の祝福:★★★★★
愛してる:★★★★★
【あらすじ】
王政復古を果たしたベルトラム朝。だが女王ジルダと第二王女ミリアムの反目が、いまだ脆弱な王政を揺るがしている。末妹のアデールは政略結婚相手の幼馴染・グレンを愛することができず、また姉妹の争いを止められない己の無力さに苦しんでいた。一方グレンの愛は暴走し、次第に常軌を逸した行動をとり始め…。果たしてイルバスの未来は!?激動のクライマックス!
よーーーーーやっっっっっと書けます続きが!!! 前巻も一緒に読み直したので新鮮な気持ちで感想を書けたらなと思います。前巻の感想から……1年半ぐらいぶり……?www
そして後半は既に内容を知っているにもかかわらず一気読み。夜更かし不可避のダイ〇ン的吸引力でした。本当に面白かった!!!
孫世代の話も読んでいるので改めて読み返すと「あ、ここでつながってたんだな」と気付きもあり大変楽しかったです。『王女の帰還』にて声を上げる鳥へと目覚めたアデールでしたが、まだまだ成長していきます。そうせざるを得ないのが王族とも言えますが。。。
以下ネタバレあり↓
もう何から書けばいいのか分からないくらい胸がいっぱい。マジでこれに尽きます(真顔)。
だから逆にあっさい感想で終わるかもです( ̄▽ ̄) 本当に本編がスゴ過ぎる。
とりあえず前巻から読み返して初読みの時より強く感じたのは、グレンかわいそう……でしたかね( ̄▽ ̄;)
何でしょう、アデールがめちゃくちゃ淡白で私はグレンを哀れみの目で見ておりました。
自分を庇護してくれるからといってあっさり恋に落ちたりしないアデールは好ましいのですが、何だか今の方がグレンの好意が手に取るように分かってそちらへの同情が勝ってしまいました。うーん新感覚( ̄▽ ̄) アデールのそういった気持ちに無頓着なところに残酷さを感じたりも。
とはいえ、そんなアデールが嫌いかというとやはりそんなことはなく。というかこういうアデールとグレンの夫婦関係が結構好きなのです。これは前巻感想でも書いたかな?
グレンの方こそアデールを好きであったものの、これは政略結婚。家同士に利があって成り立ったものです。
そこからお互い好きになれる話も素敵で好きですが、アデールの”政略結婚”だからこそのグレンへの真摯さがいいなと。愛が理解できない彼女なりにグレンを理解して寄り添おうとしていて、そんなアデールはカッコイイなと思います。
ユーリ王子にも一切なびかず(笑)、婚姻を無効にすることにも反対していましたしね。
何より、前巻彼女が黙るのをやめたのはグレンを失いかけてから。このきっかけがエタンではなくグレンなのもまたこのお話の魅力だと思っています。
愛ではなかった。でもアデールはアデールなりに、グレンを愛していた。
グレンが戦死するシーンは本当に辛かったのですが、その後のアデールが彼が帰ってくるのを城で待ち、彼の銃剣を手放さず、彼の死後何年も経ってからエタンと結婚した。エタンはアデールの葬儀で彼女の棺にグレンの銃剣を入れた。
この一連の流れが本当に大好きなんですよね……!!!
やっぱりアデールはグレンを大事に想い続けるし、エタンもそれを認めている。この三者の関係性が本当に大好きなんです。三角関係という意味ではない好きかな、と自分では思っています。
ジルダの葛藤もすさまじいものでした。
アデールはずっとジルダを王女や女王として見ていた、1人の人間として見れていなかった、と書かれていましたが、それはここまで読んできた私もまた同じ。こんなにも深い葛藤を抱えて生きていたとは思っていませんでした。……まさかエヴラールのいかにもでっち上げな話が本当だとは……( ̄▽ ̄;)
冷徹に、家族や女としてではなく王族、女王としてふるまってきたジルダだけど、やっぱり姉妹を彼女なりに愛していたんだな。。。最後の心かき乱された姿は読んでいて本当に泣きそうだった。それでいて、薄情に見えていた前巻でも、今回でも、いつだってアデールのお姉さまは美しいのです。
ニカヤで、少しでも幸せな時間がありますように。
ユーリ王子はめちゃくちゃかき乱してくれましたが(主にグレンを)、ジルダにかけた言葉に少し見直しました(笑)。あとジルダからの婚姻の申し出(?)に対する返事が大人の対応じゃなさ過ぎて笑いましたwwwwww
これから孫世代の話も読み返して、最近発売した最終巻も読む予定なのですが、ジルダやユーリ王子のその後をちゃんとチェックしよ……(笑)。
いくつか記憶に残っているんですが、孫世代の話をまだ読んでない方向けに書かないでおきますね( ̄▽ ̄)
ニカヤといえば、炎帝と王妃もとても好きでした。ニカヤという国自体も!!!
なかなかこんがらがった恋愛の末の結婚だったらしい炎帝と王妃ですが、炎帝は統治者、そして兄弟を持つ王族としてアデールに多くの学びを与え、王妃はまさかの狩りの名手(笑)。
どちらも素敵だ……!!!
さて話は暗くなりますが、ミリアムがジルダの命によって暗殺されたのが本当に。。。国民派遣計画は賛成できるものではなかったけれど、遺されたレナートを気の毒に思う自分がいます。
それと、「国民の為になんて思えない」って本音が何かこう……胸に刺さる……。
アデールと喧嘩別れのようにしてそのまま2度と会えなくなるっていうのが悲しいし、でも現実らしい気がして納得的な気持ちもあり。
姉とは和解することなく別れ、夫とは歩み寄れたのに先立たれ。それより前に両親と兄達は処刑された。
奪われてばかり、自分がもっと大きな嵐にならなければ、残った家族は今度こそ守らなければ、とアデールがジルダを逃がすのがグッとくる。グレンをきっかけに変われていた王女は、もっと変わらなければいけない、というのが印象的でした。……あれだけではまだ甘かったのか……。それだけこの世界が厳しいということ。そんな厳しさにも惹かれてしまうのがこの廃墟シリーズの魔力ですよね。
そんな厳しい世界での最終決戦の地がアデールが幽閉されていた廃墟の塔になろうとは。
この展開には震えましたね……!!! そしてタイトルの伏線がここで完全に回収されるという。しかも彼の地で敵を迎え撃つはあまりにもいいアイディア。
この地にアンナとガブリエラがついて来てくれていたのが本当に胸アツでした。アカン、こんなん泣く(真顔)。
最終決戦に備えてみんなで準備する描写が何か好きでした。
そんな最後の戦争でマジでアデール死んでしまうんじゃないかと気が気ではありませんでしたが(泣)、エタンが必ず守ってくれるのが……もう胸アツ過ぎる……!!!
ジルダとエタンの信頼関係も本当に大好きでしたが、アデールとエタンの間にはまた違った信頼関係がありますよね(愛を除いたとしても)。
エタンの、アデールの変化を面白がってるところが本当に好きです(。-_-。)
5年後にメルヴィル登場してんのも結構うれしかったですねーwww 何かこの苦労性の方好きだったので( ̄▽ ̄)
学校事業が進んでいるのがうれしいですね(。-_-。)
アデールとエタンが一緒になれたのも本当にうれしかったです。グレンへの誠実さがあることも含めて。
アデールがジルダだけでなく、エタンも守ることができたというのもまた喜ばしく。アデールが55歳で亡くなったのは悲しいですが(この世界王族にしては長生きな方だとは思うんですが……)、エタンより先に亡くなれたのは本人としてはよかったんじゃないかと。……大事な人に先立たれてきた人生だったので……。
差出人不明の手紙が届いたのも本当に胸が熱くなりました。その後姉妹が再会できていたらいいなと思いつつ。
改めて『廃墟の片隅で春の詩を歌え』、本当に面白かったです。過酷な運命に立ち向かう物語は胸を躍らせるものですね。王族としての覚悟や大事な人を守るという意志に何度も励まされます。
そんな廃墟シリーズも先日最終巻が発売され。
未読の私は、これからそちらへ挑みに参ります……!!!
余談。
干しレモン食べたくなるけど、アデールのは多分私が思ってるのみたいに砂糖でコーティングされてないんだろうな……(笑)。