『神招きの庭』(奥乃桜子/集英社オレンジ文庫)

集英社オレンジ文庫

鞭展開度:★★★★☆
矜持ある女社会:★★★★★
神に抗う:★★★★★

【あらすじ】
兜坂国の斎庭(後宮)は、神を招き、もてなす場。実体を持つ神々は豊穣と繁栄を招く反面、ひとたび荒ぶれば恐ろしい災厄を国にもたらす。地方の郡領の娘・綾芽は、親友の死の真相を探るため上京した。そこで偶然、荒ぶる女神を鎮めてみせた綾芽は、王弟の二藍に斎庭の女官として取り立てられる。だが、それは国の存亡を揺るがす事件の幕開けに過ぎなかった……。

読んだのがずっとでいろいろ忘れてしまっていて読み返したんだけど改めて面白かったー……!!!

そして初めて読んだ時以上に楽しめてる自分がいて楽しかった(。-_-。)

今3巻までしか読めてないからこの調子で続き買いたいなぁ。

 

以下ネタバレあり↓

 

 

 

いよっ、待っていました人外が人とは違う道理で成り立っていて人からしたら怖いヤツ!!!!!!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾

……ということでどストライク設定でした『神招きの庭』。こちとら糸森環先生の『花神遊戯伝』通ってきてるんじゃい(`・ω・´) ……何なら神はこちらの方が怖かったかも?www

 

神を招き、ただもてなし機嫌を取るのではなく、頭を使い国が最悪の事態になることを防ぐべく奔走する斎庭――人の在り方がたまらなく好きな話でした。斎庭全体がそうした”抗い”の中にある。

後宮という本来であれば帝の子を産む為の女が揃う場がそうではなく神への”抗い”の為に働く女達の場であることがまた好ましく。……個人的に後宮の話に苦手意識があるんだよな……( ̄▽ ̄;)

昔の日本っぽい話なのに違和感なく働く女性の社会が成り立っている構図なのがたまらなかったです。子どもを産む道具になるばかりでないのがすごくいい。

……とはいえ、神命に抗える綾芽はそうならざるを得ないワケで……。どうか乗り切ってほしい。

 

綾芽は強い子だなぁという印象ばかりが残っていたんだけど、いざ読み返すと彼女なりの弱さがあったワケで。

さらっと書かれていたから忘れちゃってたけど泣いてるなぁ!!!!!!(汗) 覚えてなくてホントごめん綾芽(´;ω;`)

 

那緒の死の謎は本当によくできていたなぁ……!!!

事件そのものがゾッとする内容なのがまたGJですな👍(謎の性癖を露呈させる) 神への捧げものの箱の中に生首――それも春宮の寵妃のものであるとか……_:(´ཀ`」 ∠):――が入っているのもヤバいしそれで国が滅びかけたのもヤバい。

それで大君が息子である春宮の首を斬り落とすのもヤバイ。……本当に、神に抗う者として、国を護る者として、皆あまりにも覚悟が違い過ぎる。二藍も鮎名も。一の雛も。友達だった一の雛の首を斬り落とした那緒も。

それだけこの斎庭は、いや、神の”いる”世界は、容赦がない。

 

「友達」ってものが割と重要ワードだよなぁなんて思って読んだりしていたかな。

那緒は嫉妬で滅国の危機に晒していないと信じ、真相を探るべく時間をかけてでも入庭した綾芽だとか。綾芽が来ることを信じて、玉甕の中で待ち続けた那緒だとか。二藍と那緒だって、二藍は認めなかったけどやっぱり友達だった。

愛する者であったとしても民を護る為ならば切り捨てなければならない過酷な中で、いやだからこそ、「友達」というものが心を突き動かしてくる。

 

二藍と綾芽の不慣れな歩み寄りもよかったなぁ。特に二藍がひねくれてて不器用で!!!(笑)

神ゆらぎだし利用できるものは何でも利用するし何を考えているのかまるで分からない。けれど屈託のない綾芽にどこか惹かれているのが人間くさくていいなぁと。文字の読み書きを教える時に綾芽が遅刻したら(同室の由羅が伝えなかったからだけど……)むっとしたり、綾芽がその後抜け出したと思ってガッカリしたり、でも置き手紙が置いてあって笑ったり。

あきらめているつもりで、でも人としてあきらめ切れていない。それこそが人である証なのではと思うんだけど、二藍はそのあたりまだ頑ななようで。

綾芽は綾芽で、二藍が自分を利用するつもりなんだと知りながらそれでも心を向けてもらえればうれしくて仕方ない。

 

個人的には稲縄様がかなりお気に入りです(笑)

確かに怨霊で神とはまた違う厄介な存在なんだけど、二藍が憎くて愛しいというのが何とも面白く。もう人ではないくせに妙に人間くさい。

神になるともう本当に親近感なんて一切湧かないからなぁ……( ̄▽ ̄;) 強いて言えば朱眼大将軍が蠅なのがまだかわいらし……いやごめん、私虫苦手なのでやっぱりチョット……(小声)。でも蠅の姿をした神様というのが面白い!!!

 

そんなワケで、細かな設定に惹かれ斎庭に生きる者達の覚悟に胸を打たれ人同士のあきらめ切れない何かに心を寄せるお話。……私にしては設定について結構触れた方かな?www 普段感想であんまり設定そのものについては触れてないかなぁと自分で思っていまして。

のんびりペースで手元にある2,3巻も読み返して続き買っていきたいなーと思っています。……何せ順調なペースで続きが出続けているので……!!!(汗)

 

余談。
大君のキャラビジュが好き過ぎる(真顔)。

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