『神招きの庭 4 断ち切るは厄災の糸』(奥乃桜子/集英社オレンジ文庫)

集英社オレンジ文庫

鞭展開度:★★★★★
それでも前へ:★★★★☆
明かされる真実と謎:★★★★☆

【あらすじ】
「物申」の力を継ぐために二藍以外の男性と子を生さねばならない――。綾芽に下された非情な命令は二人の関係に影を落とした。苦悩を押し隠し、初めて祭主として神招きを行った綾芽。だが、時を同じくして大地震を引き起こす神が斎庭に現れる。いくつもの地脈を巻き込んで荒ぶる神を鎮め、厄災を回避できるのか。そして、滅びへと向かう運命を止める切り札とは……。

3巻を読み直して改めて続き読みたい欲が高まったので読みました(笑)。……いやぁ、世界観加速してきてるなぁ……!!!

前巻せっかく疫病の神を鎮められたのに何故こんな目に……(泣) なあらすじから、不測の事態も次々に。これがまた神々の”居る”世界だからこその非情さだらけで。

だからこそ読み応え満点で無我夢中で読み進めたし、こうした中での綾芽たちそれぞれの強さや弱さにさらに惹き込まれました。

 

以下ネタバレあり↓

 

 

 

も~~~~~二藍はまた本心を押し隠して!!!!!!

……と、じれったくなったのは私だけではないハズ(笑)。二藍って本当に二藍目線で書かれていないと本心が分からなくって仕方ない。綾芽を手放し十櫛の元へと送り出す二藍に鮎名もイライラしていましたねww

 

その一方で綾芽が、自分が二藍以外の男と抱き合うのが嫌だ、じゃなくて、二藍を1人にするのが嫌だ、って考えるところがすごく好きだなって思いました。どこまでも二藍に対してまっすぐで健気だ……(T ^ T)

斎庭の者として、大君の命令は絶対。子を生まなくてはならないのも分かっている。という、ここでもやはり斎庭の女らしい矜持がしっかり根付いているところも格好いい。

 

しかしその一方で、例え十櫛と子をなそうとも二藍への気持ちは変わらない、とこの物語自体が信じ切っていないところもすごく印象的で、好きなところだなぁと思いました。そしてそれを二藍や綾芽も分かっている。

その人と会わずして、その人への気持ちがずっと同じであるなんて、なおさら難しいですよね。ずっと一緒にいても気持ちに変化はつきものですから。

 

けれど救うなら十櫛ではなく二藍なのだ。

と再認識させてくるところがこれまたズルイ(笑)。綾芽のまっすぐさに何度惚れ直させる気だ。

 

十櫛は果たして、どうされることが救いなんでしょうか。不思議と羅覇に対するような嫌な感じがしないのは気のせい……? 正直綾芽を押し倒した時はゾッとしましたけど( ̄▽ ̄;)

十櫛が何を言おうとしていたのか、今発売されている中で判明するのか……⁉ いやもう気になって仕方ない。

 

二藍vs.羅覇もアツかったですね‼www めっちゃくちゃハラハラでした。

何というか、綾芽に対して意固地だったりたまに弱音を吐き出したり二藍目線だからこそやっと分かる彼の不安や傷を知っているので忘れていましたが、そうだったこの人も食えない人なんだった‼‼(汗) 羅覇に表情ひとつ変えずに拷問まで……ヒエェ……_:(´ཀ`」 ∠):

しかしその一方で羅覇も負けていない。たばかられたけれどとにかく粘る。

 

神ゆらぎの意味や、前巻での的なり白羽の矢なりの謎がついに明かされましたね……。いやもうめちゃくちゃ怖過ぎる。

そして二藍、本当によく耐えてくれた。辛かっただろう。痛かっただろう。気持ちが荒ぶって仕方なかっただろう。

真実を知れば知るほど、二藍がかわいそうになる。本当に、神になってしまってもおかしくなかった。そうして、二藍を繋ぎ止めてくれた綾芽にありがとうって言いたくなる。

 

……でもその後もまた運命は二藍を滅多打ちにしてくれるんだけどね~~~~~~!!!!!!(泣)

何でこんなに心も体も痛い思いをしないといけないんだ……T ^ T どうしてただ穏やかに生きることをこの世界は許してくれないのか。綾芽の、二藍にそうして生きてもらいたいって願いが叶わないって面でもツラ過ぎる。

ひどく悲しい別れに泣きました。それでも走り続けた綾芽が本当に愛おしい。

 

……からのお前は誰だ二藍~~~~~~(汗)(汗)(汗)

5巻が既に発売していてそのあらすじを読んでいたのでそういう事態になることは知っていたんだけど、にしてもホントこれはどういうこと(真顔)。

次巻でも綾芽の覚悟が試され過ぎる……_:(´ཀ`」 ∠):

 

しかしただただどん底に落ちていくんじゃなく、羅覇が物申の力を持つ者がいる、そしてそれが綾芽なんじゃないかと勘付いたことで一縷の希望が見えてきた……かもしれない( ̄▽ ̄;)

本当に、細い糸過ぎて本当にこれが希望に繋がるのかも分からないけれど。……兜坂を陥れようとした羅覇は許せないけれど(二藍を楽しく傷つけやがって‼ という思いはあります)、鹿青様には助かってほしいと思うし。

 

それから今回、那緒ならぬ尚が完全に人ならざるモノとしての性をあらわしていてヒエッとなりました_:(´ཀ`」 ∠): 綾芽は「やっぱり那緒なんだ」と希望を持っていたけれど、いやいやいやと思っていたらやっぱりぃぃぃぃぃ(汗)

正直この容赦のない怖さは大変面白かったです。人外らしい怖さを人が描き出しているというのも含めてワクワクします。

しかし、綾芽に血を流してもらいたいワケではなかったり、綾芽と二藍を助けてくれたり……。那緒ではないけれど、あたたかい。それもまた印象的で。

 

他に印象的だったところというと、桃夏のところでしょうか。

正直、人と会話ができてしまう怨霊ならではの厄介さがあるなと思いました。他の百足や蛇の方が特性(?)が一貫していてまだどうにかできる気がしたというか。

けれど、綾芽が桃夏の差し出す木簡が呪いではないと証明する為に受け取る、というのは。それで桃夏が鎮まったというのが。何だか未だに捨てきれずにいる人間くささのように思えて、ひどく印象に残りました。……稲縄様といい、もしや怨霊ってちょっとかわいげあるのでは?(ボソリ)

 

それとサブタイトルにあった「厄災の糸」って例えなのかと思っていたら本当にあるのかい‼www コレは是非ツッコみたかった( ̄▽ ̄)

 

次巻も見逃せないですね。そしてその後は番外編なので多分癒しが得られるハズ……それを励みにがんばって読もう……‼(笑)

 

余談。
……か、粥貝神ーーーーーーーッ‼‼(汗)

 

タイトルとURLをコピーしました