鞭展開度:★★★★☆
挫折度:★★★★☆
自分の意志で:★★★★★
【あらすじ】
天才少年リトとだけ【連祷】できた落ちこぼれのエリルは、恋に目覚めた彼から毎日熱烈なアプローチを受けていた。そのうえ“精霊祭”の<旗手>に選ばれるという信じられない事態に!! ところがそこへ、リトの兄が急きょ学園を来訪。エリルのために将来を決める弟が心配な彼は、「絶対にリトを好きにならないでくれ」と言ってきて……!?
めっちゃ久々に読み返しておりましたこちらの2巻。この巻はかなり印象的だったなぁ……!!!
今読み返してみてもそれは変わらず。……いやぁ、”未熟なヒーロー”が出てくる作品ってホントいいですよね。
以下ネタバレあり↓
……そうそう、この巻でエリルが旗手に選ばれるんだったね!!!!!!
キドナの民族衣装が本当に素敵です。こういう服装大好き(。-_-。)
カバーめくると全身像が見れるの大変ありがたかったです✨
栄誉ある旗手に選ばれた理由はリトのオマケみたいなもの。しかしそれを卑屈に思わずにチャンスであるなら掴む、やり遂げてみせる、ってエリルの本気さがたまらなく格好いいです。小椋先生の描くヒロインは守られるだけに留まりません。
ノエルの侮蔑のセリフは端から見ている私からしても腹が立つことこの上なかったですが(笑)、リト達に庇わせず受けて立つエリルに覚悟を感じました。
リトに対して、倫理的な一線を守りつつしたたかな感じもすごく好きです。
リトの恋心を利用して、何もかも思い通りにはしない。リトの意志でリトの未来を決めるべき。でもリトの好意を断固拒否して突き放すまではしない。
このあたりで、ふと『空と鏡界の守護者』って恋愛モノじゃないのかも……とちらっと考えました。……いやリトの猪突猛進ワンコぶりは相変わらずなんだけどwww
ただ、好意を浴びてもちろんその好意を知っているエリルが、照れたりオチそうになったりしつつも彼女の最優先は蒼穹の守護者になるという夢で、恋だけを理由にするにはあまりにも不安定だということを把握している。エリルへの好意だけで未来を決めようとするリトに危うさを感じている。
大人だし冷静なんですよね。それに500人以上の人と連禱を試したという事実に、改めて彼女の凄まじい努力と執念を感じる。
あと自分に向けられる理不尽な言動に正当な怒りを覚えるところも大好きなところですwwwww リカルドにいろいろ言われてめっちゃ腹立ってるあたりエリルは強いなぁと思います。
リカルドの一方的な要求は、私も腹立ったなぁ(笑)。リトのエリルへの気持ちを「一時の気の迷い」だの「すぐに心変わりする」だの。……それ、リトには言ってもいいけど一方的に好意を向けられているエリルに言うのは失礼だよ。
心変わりについて(だったら今すぐしてほしいぐらいだわ!)てキレ散らかしてんのホント笑いましたwwwwww マジでこのしつこさを見てから言ってほしい( ̄▽ ̄)
さて、そんな”しつこい”男リトが主人公であり変わる大きなきっかけである今巻。……とりあえず最初の時報は置いといてwww
いくつかの感想でも書いてるんですが、女性向け作品で女性が主人公の作品で、こうもヒーローが未熟なのって珍しいように思います。
……いや、残念なところのあるヒーローは数多いるんですが(笑)、例えば人格に残念さがあったとしても、知識や経験が豊富だったり、戦いにおいては右に出る者がいなかったりと、何かしら主人公を支えられるだけの大きなアドバンテージがある人が多い気がしています。
今作のヒーローであるリトも、エリルに対して一直線過ぎる残念なところこそあるものの(笑)、ターニアを超える天才と謳われるだけあって祝詞における力は相当なもの。
しかし今回はそれが役に立たない。
貴族の生まれで、両親や兄姉にかわいがられて育ったリトは世間知らずだし、どれだけ祝詞における力が強くとも戦闘そのものには慣れていないし、体術なんてもっとハイヤーンには及ばず。それに蒼穹の守護者を目指す理由があまりにも幼稚過ぎる。
ヒーローって大抵主人公が怪我を負う前に来るものですが、今回リトは助けに入ったにもかかわらずエリルが暴力をふるわれる始末。
エリルが殺されずに済んだのはリトのお陰であるんだけど。リト1人では守り切れなかった。
それに怪我をしたエリルをリトは止めたけれど、エリルの意志はそこにはない。旗手としての役目を果たしたい。ただリトからのおこぼれに縋るだけの自分でいたくない。
その意志を汲んで尊重できるハイヤーンを見てしまえば、リトも自分の甘さに気付かずにはいられない。
そうして「悔しい!」という思いを得たリトが、今度こそ”自分の意志で”この学園にいたいと兄に言うシーンがすごくアツいですよね。泥臭くって、すごくいい。
やっぱりエリルへの恋が真ん中にあるけれど、何だかそういうふわふわしたのだけじゃない何かがリトの中に芽生えましたよね。努力したい、って思いが燃え上がって、少年の世界が広がったように思います。……いやぁ、やっぱり今回の主人公は君だ!!!(笑)
1番好きなシーンは、やはりみんなでエリルのキドナ衣装を作り直すシーンでしょうか。
エリルがどうしても故郷の衣装が着たいとあの衣装を希望するのがまたいいですよね。もうなくなった故郷への愛情がとてもこめられていて。。。
あの衣装破いてくれたのには腹が立ちましたけどね!!!!!
エリルへの不満は100歩譲って理解はできる、だからって一生懸命作ってくれた仕立て屋さんの気持ちまで踏みにじるような真似は許さん……!!!
しかし、そんな仕立て屋とエリルにターニア、リト、さらにはユークまで一丸となって新しく作り直すのはもう……青春だよコレ……!!!✨T ^ T✨
リカルドまで容赦なく駆り出されてるのたくまし過ぎたけど……www あぁいう時のプロ(仕立て屋)は強い( ̄▽ ̄)
300年前のデザインに変わったけれど、とにかくエリルがあの衣装に袖を通せて(みんなで作り直したから余計に思い入れ強くなるよね……!!!)、旗手としての役目をやり通せて本当によかった。
そんな楽しいところもあった一方、今回はいろいろな陰謀も見え隠れしていましたね!!! しかもユークやターニアは一体何者? という疑問まで出てきて。
そうしてこの物語は怒涛の最終巻、3巻に移るのです………………………………。
いずれそんな怒涛の3巻感想でお会いしましょう!!!
余談。
ターニア、1回リトの顎殴んなかった?www