鞭展開度:★★★★★
未来を掴め:★★★★★
愛の力:★★★★★
【あらすじ】
謀反の罪を着せられた王女マルギットと主従の誓いを交わし、ラグダ王国へと落ち延びていたセシリア。マルギットと共にラグダ王国を苦しめていた悪竜を送ることに成功し、運命は上向いてきたように思われた。しかしラグダ国のダビド王子は、婚約者であるマルギットを疎むようになっていた。そしてルトゥエル王国では、ウイルズ王が七社家に宣戦布告して……?
今年初の記事となります。今年もどうぞよろしくお願いします(。-_-。)
上巻からさらに予想し得ない展開になってきた!!!(笑)
真実は何なのか、誰を信じるのか、何を求めるのか。セシリアの選択をドキドキしながら見守っておりました。あれこれつながってきて本当に面白かった(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
歴史モノ的なリアリティもファンタジーらしい竜や魔法といったものにどっぷりひたれました(`・ω・´)
以下ネタバレあり↓
絶対これは最初に言おうと思ってた、
”決別”ってマルギットとダビドじゃなくてセシリアとマルギットだったんかい!!!!!!(汗)
てっきりこのまま女主従の物語――英雄譚となるのかと思いきやまさかの決別。何かダビドの件はうやむやになってたな( ̄▽ ̄;)
しかし上巻前半でのマルギットへの不信感がここに来てまた浮上するなんて誰が思おうか。……スゴイなぁ、信頼関係ってこんなカンタンに崩れていくんだなぁ……(遠い目)。
しかしマルギットのあれやこれやが本当にただのわがまま王女の域を超えていて本当に怖かった_:(´ཀ`」 ∠):
……というか、”想像力の欠如”って感じがしたかな。
竜の姿をしたアルヴィンに「燃やし尽くせ!」みたいに命令したの、セシリアみたいに咄嗟に「味方も殺してしまう!」って想像ができてないんだよね。本当に我が身かわいさ、死ぬの怖い、だけで。
王の僕を解放させて、4ケタもの死者を――しかも自国の民を――死なせたのも、それがどれだけのむごさか想像できていない。他人の痛みを想像することができない。
ダビドという夫がいながらテオドルに堂々と恋文を送るあたりも読んでて結構ゾッとしたんだけど、それが異常なこと、何故異常なのかを想像できていないというか。
みんなが私の言うことを聞くのが当たり前、他人が――自分より下の存在が、知恵を働かせたり、自分を嫌がって抵抗するというのが、ありえない。
そんなマルギットがいるので、セシリアが対の存在……とまでは言えないけれど、誰かの死や危機に対して必ず想像力を働かせて、行動を起こそうとするセシリアの人として当たり前の心の動きにとても救われたところがあります。
……それがのちに良くない未来に繋がっていたとしても、それはセシリアが悪いんじゃない。ウイルズ王の言葉は呪いでしかない。
嫌がらせで自ら命を絶とうとするウイルズ王もなかなかにゾッとしましたね。。。
あとマルギットがダビドを犯人に見せかけて自分で林檎酒に毒を仕込んだ可能性が浮上して「もう信じられない…………………………………」てホント頭抱えました( ̄▽ ̄;)
……何か……上巻でマルギット勝手で嫌だな~からのいやでもかわいそうかも……て思わせておいての下巻のこの展開鬼畜の所業過ぎんか……www
結局ガラシェ家のみなさんが最初からちゃんと味方でした( ̄▽ ̄;) 物語で身内の「冒険するな」的な忠告が真なのなかなか珍しいなとか思ったww
……あとは……スィレン・ギヨム種の生まれる理由が結構うわぁだったなぁ……(汗)。
強さに惹かれるギヨム種が何故弱いスィレン種に惹かれるのか? って子どもでも疑問に思いそうなことを疑問に思いもしなかった自分が恥ずかしい( ̄▽ ̄;)
いやでもこれはトラヴィア公にドン引くわな。セシリアのお母様の気持ちはお母様にしか分からないから、これ以上何も言えないけれど。
ヒルダを王城から脱走させる計画はワクワクしたなぁ……!!!
ヒルダも結構行動派というか(笑) まさかのそこでセシリアと共闘する形、とてもよかったです(。-_-。)
……まさか妊娠していていつ産まれてもおかしくないとは思わなんだけど……www 竜の上で産気づいてきたのかわいそうだったぞ( ̄▽ ̄;)
……でも処刑場で敢えて殺されていたのがいろいろとトラウマに残りそうです……_:(´ཀ`」 ∠):
さてそろそろ、アルヴィンの”あの秘密”について。
あの竜がアルヴィンだと気付くシーンは胸に響いたなぁ……!!! メタ的にアルヴィンが竜になれるのではと思ってはいたんだけど、セシリアが気付いて止める感じがめちゃくちゃグッときた。
ジョンの言ってた通り、今回本当にセシリアとアルヴィンの愛の力で何とか勝利できたところあるなぁ。。。
愛の告白もとてもよかった!!!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
アルヴィンのセシリアに対するまっすぐな心はずっと感じていたけれど、本当に最初から最後までずっと心のよすがだった。……セシリアもなんだろうけど、もうどんでん返しに目をまわしまくってる読者(私)的にも……_:(´ཀ`」 ∠):
あぁいう、緊急事態だからこその告白はそこにしかない良さがございますね(。-_-。) 「俺はセシリアしか好きにならないから!」は素敵過ぎました。
そしたらセシリアも同じくらい想ってるんじゃないかー!!!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
アルヴィンばかりがモテているセシリアにやきもきしてるのかと思いきや、セシリアもちゃんとやきもきしていた。……何ですかそれ、セシリア目線でずっと進んでいたにもかかわらず下巻もラストにきて初めて知ったんですが!!!(笑)
……なんだけど、セシリアの心を奪っていくのが女王っていうのが喜咲冬子作品らしいなぁというか。『青の女公』と少し重なるところがありました。どういうことかと気になる方は読んでみてください(。-_-。)↓
私は小説で書かれてることしか知らないけれど、セシリアはもっとマルギットと寝食を共にしてきたワケだからなぁ……という方に考えてみたんですが、ただただ思い出の数や質でマルギットに思い入れが強くなっているワケではない……んじゃないかと。
あんなどうしようもないマルギットですが(私はそう言い切ってしまう)、多分、「もしかしたら」って思わせる眩い魅力があるんでしょうね。周囲を殺しかねないほどの、強烈な魅力が。
まさか竜になったアルヴィンがマルギットに跪くことよりも、セシリアがマルギットに吸い寄せられてしまうことの方が危惧すべきことだったとは。セシリアがアルヴィンを繋ぎ止めること以上に、アルヴィンがセシリアを繋ぎ止める意味合いが、結果として強かった。
本当に、最後まで予想を裏切って上回ってくるお話でした。
アルヴィン達の呪いが破棄できないっていうのが最後の最後で本当に覆してきたよ……!?!?(泣)
確かに呪いを刻まれたらキャンセル不可って現実味があるけれども!!!(汗) ようやっとの穏やかなエピローグと見せかけてショッキングなこと放ってきましたね……_:(´ཀ`」 ∠): そこから前を向こうとするガラシェ家は本当に強いです。どうしたって涙は出るけれどね。。。それだけ大好きってことなんだよね。
少しだけ出てきたガラシェ司祭、それでもセシリアへの思いやりが見えて本当にいいお父さんだったんだなと思いました。できれば老いて死ぬまで家族と共にいてほしかった。
いつかガラシェ司祭だった竜を葬らなければならないのがまた悲しいですね。。。アルヴィンもいつか、そうなるワケで。
それでもどうか、できる限りたくさんの、幸せな思い出が彼らにありますように。
マルギットは……、正直死んでも死にそうにないというか( ̄▽ ̄;) なので私的には「本当にそんなかわいげのある死に方したんか……?」ていう。
あと、あれだけたくさんの人達の命を「仕方ないじゃない」ってイカレた言い分で死なせておいて、自分はそういう死に方なんだ……っていうのが、ある意味リアルな気がしているというか。
悪人で、どれだけむごく人を殺していても、必ずしも因果応報じゃない、みたいな。しかもマルギットは歴史上は悪行がバラされていないっていう。ド素人の私は「いやもうバラしていいのでは?(真顔)」と私情全開でございます。←
そんなマルギットに思いを馳せられるあたり、やはりセシリアは”想像力”が及んでいるんだろうなと。
エピローグで、亡くなった人たちを想う感じが悲しくも胸に残りました。
や~、本当に今回も面白かったなぁ喜咲先生作品‼
ファンタジージャンルが入るとどんな化学反応が起きるんだろうってワクワクだったんだけど、そうした要素すらも違和感なくこの世界に馴染んでいてやっぱり素敵なヒストリカルロマンでした。……あと2作読んでいるので大分心構えができて(私が)心臓強くなれたかなと……www
基本的には長編を読み進めるのが好きなんですが、喜咲冬子作品は1冊での満足感がすんごいのでめちゃくちゃ楽しめます(`・ω・´) 次1冊完結や上下巻完結でも絶対買うし、シリーズ化予定でもウッキウキとなることでしょう( ̄▽ ̄)
余談。
……上下巻出てる本の下巻感想何故か書きそびれがちだから、今回書けてよかった……www