『精霊歌士と夢見る野菜』(永瀬さらさ/角川ビーンズ文庫)

角川ビーンズ文庫

鞭展開度:★★★★☆
劣等感:★★★★★
負けるな主人公!!!:★★★★★

【あらすじ】

第11回角川ビーンズ小説大賞奨励賞&読者賞W受賞!!

『精霊歌士』の歌だけが植物を実らせるミュズラム王国。野菜しか作れない落第生のメロウは、相棒ラヴィと共にムーサ音楽院合格を夢見る。だが自主退学したという首席エイディが現れ、なぜか同居する事に!?

『悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました』『やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中』の作者さんのデビュー作ですね。

最初に読んだのはそれこそこの本が発売された月だったかな?www 今でも本当に大好きで折を見て何度も読み返している作品です。

今まで読みたてホヤホヤの作品の感想をガッツリ書くスタイルだったのですが、昔読んだ大好きな作品もパラパラ軽く読み返しながらライトに書いてみてもいいのかな、と思いまず最初にこの精霊歌士にしました。

とてもファンタジー感溢れる素敵なタイトルに反して、夢を追いかけるのには綺麗事だけじゃいられない、挫折や劣等感がついてまわるって作品なんですよね。そんなところが大好きです。

好きな少女小説ベスト10には余裕で食い込みますね(`・ω・´)

感想サクッとめです!

 

 

以下ネタバレあり↓

 

まさかここまできれいじゃない感情がついてまわるとは……!!!

……なんて当時驚いたのを覚えています。でもその意外性がちっとも嫌じゃなくて。

むしろ“きちんと傷付く物語”であることにとても惹かれたのを今でも覚えています。

 

国立エリート校ムーサ音楽院、みたいな設定自体はいろんな作品で見たことがあっていわゆる王道なのかな、と思っているんですが、この『精霊歌士』の場合メロウがそこに通うことになるんじゃなくてあくまで“予備学生”でしかないという……!!!

しかも自分で精霊歌を利用してお金を稼がないといけなかったり、申請して家を借りたりだとか。

そういう、雑草魂溢れる生活感が何か好きだったんだよなぁ……!!!(笑)

自分で手続きいろいろして、週1で講義に出て、後は自分で勉強して。自立した苦学生感が見ていて楽しかった。そういうのが何故かツボなのであります(`・ω・´)

 

メロウはものすっごく好きなタイプの主人公でした。

何でしょうねぇ、意地っ張りな感じとか強がりな感じとかがたまんなくかわいくて仕方ない。永瀬先生の作品は4作ほどしか読めていないのですが、どのヒロインもめちゃくちゃかわいくて大好きでした。多分私永瀬作品ヒロインがそもそも好きなんだな🤔

あとはやっぱり、母親に対する複雑な思いやらエイディに対する劣等感やらがたまんなかったですね。人間くさくてみっともなくてそんな自分を嫌悪する感じ。

 

『精霊歌士』はさっきも書いたように、本当に“きちんと傷付く物語”なんだなと。

だからこそ傷付く姿にグッとくるし、その後の成長する為の痛みや成長する瞬間に見せる本人ですらも思いがけない輝きが活きてくる。

“きちんと傷付く物語”が大好きな私には、ズドーンとどこまでも響く展開でした。

 

メロウのエイディを追い抜いてやる‼︎‼︎ ……という気迫が頼もしくもありかわいらしくもある一方で、孤高の天才エイディの描き方もものすごく大好きで。

何でしょうねぇ、彼本当に自分の家柄や才能にあぐらをかいていないというか。……いやラヴィの言うようにボンクラぶりを発揮してるのも間違いはないんだけどwww

ただ、1人でいたくているのかといえばそうとは言い切れないし、地雷もちゃんとあってそこを踏まれたら普通に怒る子なんですよね。

普通の人間とは確かに言い難いけれども、でも彼の何もかもを彼の才能だけで決めつけていいワケではないというか。

 

「俺、頼れる男になるよう頑張るからな」

「……だから早く、俺に追いついて」

 

エイディという孤高の天才からメロウというまっすぐライバルとして睨みつけてくれる落第生への……という2人だからこその口説き文句で本当にたまりません(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ 精霊歌士としても男女としてもってことだよね✨

そこで真っ赤になった後に「ハッ宣戦布告⁉︎⁉︎」と負けず嫌いを発揮してメラメラするメロウがこれまたかわいいんよ〜〜〜〜〜www ラヴィはホントに頭抱え案件よな……( ̄▽ ̄)

ちなみにそんな私の『精霊歌士』最推しはミミです。←

 

壁にぶつかって悩む度に『精霊歌士』は読み返してたなぁ〜。私は自分が悩むと同じように悩んでる誰かの話を読んで「1人じゃない」って元気になれるというか。

メロウの格好悪い自分を隠そうと見栄を張る感じとか、でも隠し切れない劣等感が剥き出しになる感じとかが、本当にたまんなくて。何だかそういう気持ちを持っていいんだ、それが普通なんだ、って肯定されたような気がして、うれしかったんだと思う。

……と、これは個人的な解釈に過ぎないし悩んでなくても読み返してたんだけどねww お話として純粋に面白くて大好きなのです……!!!

3巻でスッキリ完結してるから全体で読み返しやすいしね! いちファンとしてはメロウ達のその後がもっと読みたかったー!!! ……なんて気持ちもありつつ。

1巻で何もかもが解決したなんてことはまったくなく、2巻ではさらにメロウが補わなくてはならない部分が浮き出てくるのがたまんないんだよなぁ……!!!

 

〜2巻感想へ続く〜

 

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