鞭展開度:★★★★★
故郷への思い:★★★★★
覆水盆に返らず:★★★★★
【あらすじ】
――王女と王子の仲を取り持ち、世継ぎ誕生の後押しをせよ――
との命令を受けた時、リディエ・カイエンは、
「無理よ!」
と即座に答えた。
北方領主の父を亡くし、王宮で秘書官として働くリディエの望みは、平穏に任期を終えて故郷に帰ること。そんな彼女に想定外の命令が下された。それは婚姻関係が破綻している王女と婿の仲を取り持ち、世継ぎ誕生の後押しをしろというものだった。真面目に任務をこなそうとするリディエだったが、それは国を揺るがす動乱と、リディエの運命が急変するきっかけで…?
めっ……ちゃくちゃ面白かったー✨✨✨
発売してすぐに買ったものの積ん読に追われてて最初の方しか読めてなかった……!!!
今年になって最初からちゃんと読んだのですがどんどん思ってもみない展開になっていってめちゃくちゃ惹き込まれました(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
もう一気読みよ(真顔)
まだちょっとしか読めてなかった段階で集英社オレンジ文庫さんのツイッターで「早くも重版決定!」て見かけてたんだけどそりゃなるわな!!!!!!
以下ネタバレあり↓
てっきり秘書官リディエが王女と婿の仲を取り持つべく奮闘する物語かと思ってたらまったくそんなことなかった(真顔)。
何なら割と命令もらってすぐの段階で任務遂行の道筋出来上がっててもう思ってたんと違ったwww リディエ優秀過ぎる……( ̄▽ ̄;)
一体何が動乱につながるんだろーと思ってたらまさかまさかの急展開。。。
まずスキュイラ王女の王族らしい強かさには舌を巻きましたね……!!! まさかそこまで考えてたなんて誰が思おうか。
ただのワガママで蜂の会を作ったりヴァシルをガン無視してたワケではなかったという。。。むしろリディエにとっては味方と言えなくもない立場。
そしてこんなにイケメンが主人公に迫ってて「ヤベェヤベェ(汗)(汗)(汗)」ってなる展開他にある!?!?www
ヴァシルがめちゃくちゃリディエに懐いちゃっててオイオイオイオイってなってました。……いやそりゃこんなに能天気なら家から厄介払いされてもおかしくねぇよなと……( ̄▽ ̄;)
明らかに自分に恋してそうなヴァシルにヤベッてなってる主人公ってのもまたいいですねーwww
しかしここからが思ってた展開と違うと思いきや思ってた展開になりしかし思ってたのと違ーうとなるゾーン(何ならこっから最後までずっと)。
リディエが適切に距離を置いたのはよかったものの、リディエとの接点で知恵をつけてしまったヴァシル。……馬上槍試合ではリディエ同様顔面蒼白になったわ……( ̄▽ ̄;)
そこからの逃亡劇。謎のドンッ(言い方)。
リディエが目覚めたあたりで、「これもしやヴァシルのせいでは……?」と盛大に疑っておりました。伊達に物騒な乙女ゲームで主人公を口説いてくるイケメンの裏切りを見てきていない(真顔)。←
だって仮にも王女の婿である人がリディエに堂々と好意を見せるなんてやっぱりおかしい――……なんて思ってたんだけどどうやらそれはまた違うらしい……_:(´ཀ`」 ∠):
最初から何かを企んでて、リディエを騙してるんだと。しかしそうではなくリディエとの交流(?)の中で知恵をつけたのが間違いなかったらしく……。
意外といえばイアソンもだったなぁ……!!!
極北出身のクセに蜂の会なんかにいてグヌヌなんて思ってたんだけど(笑)、そもそものスキュイラ王女の意図が分かると見方も変わってくるよね。
まさか一緒に故郷に逃げて右腕になって淡々と求婚までするなんて思わなかったわ!!!www
無愛想ながら誠実、実直なのが伝わってきてすごく好きなキャラクターだったなぁ。リディエに処刑を見せないようにしたのとか最高です。「見るな!」って。カッコ良過ぎます(`・ω・´)
てっきりリディエと一緒になるんじゃないかと思いきやのスキュイラのことが好きらしいからのとこれまた裏の裏までありましたね(笑)。何度ひっくり返せばよいのやら( ̄▽ ̄)
意外な人物その4ウラド。蜂の会の一員だったし極北出身じゃないし梟砦にようやっと辿り着いたリディエを閉じ込めるしで心証サイアクだったのですがフタを開けてみればかわいい男でした(笑)。
副官が結構冷静に淡々と「ウラド様が悪い」だの「嫌われますよ」だの言ってて最高だったwwwww 優秀な副官だなぁ……( ̄▽ ̄)
そしてウラドはリディエの副官となってからもっとかわいい男でした(笑)。
まぁつまりリディエが罪な女ってことですかね!!!!!!……いやそれだけで済ませていい問じゃないけど‼︎‼︎(汗)
結構男を転がすのが上手いよなぁと、ところどころニヤニヤしながら読んでました。特にイアソンの求婚を断った理由に「貴方を嫌いになりたくないの」があるのホント悶えたわぁぁ……!!!!/////
イアソンの「オレにしますか?」ってセリフもすっごい好きだったんだけどね!!! リディエはのらなかった。。。
ソロスのあしらい方もいいよね。
しかしヴァシルのリディエへの執着が怖過ぎた(汗)(汗)(汗)
愛したい、愛されたい癖に欲しい女に苦痛を与える男の心理が私には理解できないものの(リディエもかなり困惑してたし)、確かにリディエとの交流からすべてが繋がってはいるんだよね………………………………………………。
このあたりかなりゾッとしながら読んでました。
リディエの家族が全員拷問された末に死んでいたというのもショック過ぎるよぉぉぉぉ。・゜・(ノД`)・゜・。
家族に故郷を見せたいって気持ちがずっとリディエを支えてきていたのに。。。私もリディエが家族と再会できて故郷で心を癒すのを願ってただけショックが大きかった。しかも人伝てに聞かされるだけというのがまたキツイ。
リディエについては、故郷への思いの強さがかなり印象に残ったなぁ。本当に帯に書いてある通り「願ったのは故郷の再興だけ」なんだよね。
王宮で、家族や極北の地に思いを馳せるところから既に印象的で、何だか自分まで北の冷たい風を感じたい、なんて思ったり。
故郷への思い入れとは無縁の私としてはかなり新鮮な観点でした。ガラエル領主の娘としての矜持もあったんだろうけど、こんな風に故郷に強い思いを抱いているのは他の極北の仲間も同じで。
そんな仲間達や家族を奪ったのがヴァシルになるワケなんだけど。
リディエはヴァシルに惹かれていたんだなぁと思うと、納得できないようなモヤモヤするような、でも分かるようなという不思議な心境なんだよなぁ。。。
コレ、決してこの作品の辻褄が合ってないとか、無理矢理な展開なんじゃないかとか、そんなことじゃないんです。そういう、微妙に理解できない感じがリアルに他人の人生を見ている感じになれて、むしろ私は物語としてとても好きです。
リディエにはヴァシルに抱きしめられてヤベッてなる靡かない女でいてほしかったなぁとか、家族と仲間の仇なんだからもっと徹底的に敵視してほしかったのになぁとか、そんな思いがありつつ。
でもリディエの目を通して見たヴァシルが確かに放っておけなくなるのも分かるし、リディエは実際にヴァシルが家族や仲間に酷いことをしているのを見てないから感覚的に実感が湧きづらいんじゃないかなんて納得しちゃう部分もあるんです。
しかしまさか赤いバラがそこまでリディエの胸に根を張っていたなんて誰が思おうか。読み終わった後表紙イラスト見て目を見張りました。
「奪われたものは、返ってこない」というのは、本当にこの物語そのものを表しているようで。
残虐公が滅んでも極北の地は豊かにならない。殺された家族や仲間は帰ってこない。
「我々が得るべきは、自らの畑です」って言葉は本当にその通りだと思ったし、私もそんな風に生きたいなって思ったんだけど。
リディエが川に突き落とされた時にできた傷や、こうした運命であったり、出会ってしまったが故の心の変化もまた元に戻ったりしないんだよな………………………………………………。
……てところまで突きつけてくるのが『青の女公』の魅力なんだろな、なんて思ったり。
自らの畑を得るはずだったのにいつの間にやられたことを返しているような。
物語的に最後リディエとヴァシルの対峙があるのかと思いきやないのが新鮮でしたね。。。いや領主としては正しい判断なんだけど(笑)
ヴァシルを騙して呼び出して、自分はそこには行かないというのは、何というか、なかなか。
そしてヴァシルの死体に話しかけるところがこれまた………………………………………………。
このあたりもかなりいろいろ予想を覆されたなぁ……!!!
ヴァシルは呼び出された場所に来ていないんじゃないか→来てる
もしかしてこの死体はヴァシルじゃない?→そうでもない?
めちゃくちゃ楽しかったです(笑)
最後、リディエが心を病んでいるというのがまた何ともね………………………………………………。
そしてそしての、イアソンとウラドがそんなにリディエを想っているなんて誰が思おうか(笑)。
リディエ目線で見てたせいで本当に最後まで読み切るまでこの2人の好意は分からなんだ……( ̄▽ ̄;) けれどリディエはヴァシルを待っているかのようで。
イアソンもウラドもイイと思うんだけどなぁ……!!!(笑)
赤いバラの誤算はなかなかにスパイスの効いた皮肉かと( ̄▽ ̄)
個人的には続きが読みたいんだけど最後にその後のリディエについて書かれちゃってるからそれはないよなぁ。
しかし最後までハラハラドキドキしながら読ませてもらいました。この作者さんの他の作品も気になってくるところ(`・ω・´)
廃墟シリーズといいこの『青の女公』といい、集英社オレンジ文庫さんは国の動乱系(どんな括り方)めっちゃ面白いなー!!! 他のも読んでいきたいなぁ( ̄▽ ̄)
余談。
スキュイラ王女今作1のイケメン説(真顔)。