鞭展開度:★★☆☆☆
為政と自然:★★★★★
香りで万象を知る:★★★★★
【あらすじ】
遥か昔、神郷からもたらされたという奇跡の稲、オアレ稲。ウマール人はこの稲をもちいて帝国を作り上げた。この奇跡の稲をもたらし、香りで万象を知るという活神〈香君〉の庇護のもと、帝国は発展を続けてきたが、あるとき、オアレ稲に虫害が発生してしまう。
時を同じくして、ひとりの少女が帝都にやってきた。人並外れた嗅覚をもつ少女アイシャは、やがて、オアレ稲に秘められた謎と向き合っていくことになる。
上橋菜穂子先生待望の最新作。こうして発売日に手に入って読めたのは初めてで感無量です。私が上橋先生の作品が好きだと知っていて上下巻プレゼントしてくれた家族に大感謝。
最新作、めちゃくちゃ面白かったー!!!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
上橋作品ファンとはいえ『獣の奏者』『狐笛のかなた』あたりしかまだ読めていない未熟者ですが(笑) そのあたりと比較しながら楽しんで読ませてもらいました。
以下ネタバレあり↓(『獣の奏者』『狐笛のかなた』『精霊の守り人』についても触れますのでこのあたり読んでいない方はご注意を)
政治劇と自然の脅威、そして主人公のアイシャの香りを深く感じ取る不思議な力が絡み合ってて面白いの何のって!!!!!!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
私今……上橋菜穂子作品浴びてる……‼ と読み始めてからずっと興奮状態にありました。分かりますかねこの恍惚感( ̄▽ ̄)
しっかし難しかったー!!!www
『獣の奏者』『狐笛のかなた』、それと『精霊の守り人』のみ読んでいる私としてはこの『香君』がトップレベルで難しかったです(笑)。前2作読んでた時はまだ10代だったんだけどなぁ( ̄▽ ̄)
オアレ稲の生態を把握したり、ウマール帝国の歴史を頭に入れたり、地図のページに何度も戻ったり。日本でも西洋でもない世界観なので人名や地名も耳慣れないものが多く、覚えるのにめちゃくちゃ苦労しました( ̄▽ ̄;)
しかしそれだけの苦労をしてでも理解したい。それだけの面白さがもうそこにある。
ということで、大変だったもののその大変さすらも楽しく読めました。
マジで面白いんだけどあまりにも壮大な物語で全然上手いこと感想書けなくて詰んでる私です。←
……というワケで語彙力豊かにまったく書けないんですが、私にとって馴染み深い『獣の奏者』『狐笛のかなた』と比べて1番思ったこととしましては。
『香君』はちっとも寂しくない、ということでした。
『獣の奏者』のエリンなら家族は母しかいなくて、その母は目の前で処刑され。ジョウンという養い親に恵まれたものの彼も亡くなり。王獣と意思疎通ができる為に政治的に利用され、味方はほとんどいない。
『狐笛のかなた』の小夜と野火はお互いしか味方がいないような状態。他の味方だと思っていた人達には違う思惑があり。
『精霊の守り人』のバルサもめちゃくちゃ四面楚歌な状態で皇太子を守っていたような。
……というワケで、私の中で上橋菜穂子作品の主人公って、一言で言うなら「孤立感」なイメージがあったんだけど。
『香君』のアイシャは、上巻を読んだ限りだと孤独ではなくて新鮮だったんだよなぁ。
いや、もちろん親が亡くなってたり飢餓を味わっていたり故郷を追われたこともあってめちゃくちゃ苦労してきてる子なんだけど、マシュウのお陰で弟と一緒に生き延びれて、しかも殺されていてもおかしくなかったじいやとも再会できて。
マシュウはアイシャほどではないけど香りが分かるし、マシュウを皮切りにアイシャが出会う人々は香りが分かるアイシャのことをきちんと信じて、言葉を真剣に聞いてくれて。
オアレ稲のみに頼る国の在り方に危機感を覚えているのがアイシャだけなんじゃなくて、そんなに多くはないけれど仲間がいるってのも大きいよなぁ。
しかも身分あるお方が何人も……(笑)。心強いにもほどがある👍
あと私の読んできた上橋菜穂子作品の中でオリエはダントツ1位といっても過言ではないぐらいいい人なイメージです……(笑)
どこまでもいい人でめちゃくちゃ感動するし出てくる度にすっごいホッとする。。。最初『獣の奏者』のセィミヤみたいな人なんじゃないかと警戒していたので( ̄▽ ̄;) セィミヤは悪人というか政治的に物を考えなくちゃいけなくて張り詰めた人だったんだけど。
アイシャみたいに香りが分かるワケではないからアイシャと同じ視点ならぬ嗅点には立てないけれど、心からアイシャの行く末を心配してくれて親切にしてくれてアイシャの感覚を理解したいと思ってくれる彼女がアイシャといてくれてよかったなぁと。
あと恥ずかしながら私、最初マシュウがアイシャのその……いずれ夫になる人なのかな、とか思ってしまっていて……(ゴニョゴニョ)。
全っっっっっ然違いましたね!!!! 本当に申し訳ない!!!!!
普段から恋愛絶対ありそうな話読んでると登場人物紹介で2番目に出てきた人そうなのかなと思いがち……( ̄▽ ̄;) コレあるあるです。多分。←
今はマシュウとオリエさんが幸せになれる道があるといいなぁと思っておりますとも!!!(汗)
にしても神の力に頼った政治というのは本当に恐ろしいですね。現代を生きる私としてはとんでもなく危うい土台の上にある国だなぁという感じなんだけど、遥か昔は本当にこうだったんだろうなぁ。何なら為政者も本気で信じてた説ある。
でも香君という存在を利用した政治の在り方に感心していたりもした(笑)。
アイシャもこれぞ上橋菜穂子作品の主人公だなぁという魅力に溢れてて好きだったなぁ。
人が死んでしまうのをむざむざ見て見ぬふりなんてできない、しかし聡明で自分にできることをよく考えてやれることをやる。
香りの声を聞く力が本当に強くてこれがまたビックリするぐらい有能なんだけど(笑)、それと照らし合わせて推理する力もすごく強いよね。自分の信念が15歳の時点で定まっていて本当にすごい。
マシュウに毒を盛られた時に怒りが突き上げたシーンは心底格好良かった。
そんなワケで見事に攫われたオラムの元に辿り着いてアイシャも誘拐されることになったワケだけど、……とんでもないところで終わってるなァ上巻!!!!!!(汗)
なのですぐさま下巻に移りました。今読んでる途中です( ̄▽ ̄)
そこまで読んでて断言できることといえば、……本当にずっと面白いなぁ‼‼
ちょこちょこ読んで下巻の感想も書けたらなと思います。考えを覆されるところたくさんありそうだなぁ。楽しみ!
余談。
あんまり良くないことなんだろうけど、オアレ稲食べてみたいんだよなぁ……www