『お狐様の異類婚姻譚 元旦那様に恋を誓われるところです』(糸森環/一迅社文庫アイリス)

一迅社文庫アイリス

鞭展開度:★★★★☆
恋捧げ度:★★★★☆
大好きで大嫌い:★★★★★

【あらすじ】
「俺って献身的で愛にあふれた狐様だろ?」
もののけたちの世界で薬屋を営む雪緒の元旦那様は大妖の狐・白月。恋心を殺し里長としての立場で尽くす雪緒を、知己の鵺・由良の婚姻の儀で再会して以降も、恋を自覚した白月は甘い言葉や高圧的な態度で取り戻そうとする。雪緒が半妖の伊万里を身近に置いたことで、因縁はよりもつれていきーー!? 
恋情とは無縁の大妖が恋狂い、元嫁に恋を誓う? お狐様との異類婚姻ラブ第8弾!

待っておりましたお狐様最新刊(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾

今回はあのキャラがピックアップされてたなぁという印象。……あ、先に言っておきますと↑の「大好きで大嫌い」は白月✕雪緒のことではありません( ̄▽ ̄)(笑)。雪緒と今回ピックアップされる誰かさんのことです。

虚ろな恋心を抱える雪緒と血を流すほどに恋心が息づく白月。果たしてその行方は。

 

以下ネタバレあり↓

 

 

 

 

 

伊万里さん、生きててよかったぁ(泣)(泣)(泣)。

前回安否が分からない終わり方してたんでめっちゃ気になってた‼‼ ……どころか今回ピックアップされたのはこの伊万里さん。やったね‼(笑)

糸森先生の描く女の子主人公と女の子キャラの拗らせぶり(笑)はホントいいですねぇ(。-_-。) もちろん鞭展開なんですけど……ww

 

けれど由良さんがあんなことになるとは(泣)(泣)(泣)。

……何なのコレ……感情の嵐なんですけど……。耶花さんは由良さんのこと嫌ではなさそうなのでそこはよかったんだけど、めでたい結婚とは言い難いし、そこはやっぱり怪の世界。怖いことは起きないワケがなかった_:(´ཀ`) ∠):

 

しかも、種が変わるなんてことを知らされたのがまさに婚儀の最中(と言っていいのかな?)。今の由良が死なぬように雪緒が必死に頭を働かせても、所詮人の子で怪の深部に介入できる知識などなく、誰も味方してなんてくれないし、儀式は粛々と進み、大いなる力の前に“由良”はズタズタに引き裂かれる……。

このあたりの容赦のなさが本当に糸森作品だなぁと……!!! 都合のいい奇跡なんて簡単に起こさせない、無力さを思い知ってただ目の前で大切な誰かが犠牲になる。

雪緒は由良を「私の良心の形」と言っていて、今回彼女の由良への気持ちを聞けたのもとてもよかったです。こういう言語化大好き。

果たして、由良はどうなったのか。今回会えずじまい……というか直接やり取りしなかったけど、いつか出てくるでしょう。その時由良はどう雪緒に接するのか。雪緒はそれにどう応じるのか。今から気になるところです。……絶対心ズタズタになる……_:(´ཀ`) ∠):

 

あと、今回烏那さんがめっちゃ怖かった!!!(汗) 前回雪緒と会った時はそこまでじゃなかったのに~💦(でも彼(彼女)登場巻での容姿の真相に一気に血の気が引いた……)

雪緒の鳥とは相性が悪いがどんどん表面化してきてるなぁ。化天はまだナゾ……( ̄▽ ̄)

 

そんな無力感を握りしめて、次に行うは白桜ヶ里の長としてのお仕事。すなわち白桜ヶ里の再興。

にしても1巻で湧いた問題がこんなに後を引くとは!!!(改めて) そのくらいこの世界の構造が恐ろしいというか何というか……狐族がいろいろやっちゃったといいますか……(苦笑)。

 

そこで今回初登場の涅盧。いや~、こういう渋い(見た目)壮年のキャラ、好きですね(。-_-。) 凪先生のイラストでカッコ良く再現されております。

何となく温厚そうで理も通ってるし(人間的には)で安心したいところなんだけど、彼もまた人外……しかも糸森先生の作り上げた……油断ができん……。

 

こうして雪緒の里長としての奮闘が始まって面白くなってきた~……と思ってたら思ってたのと違う面白さに!?!?www

……いやもう……後半頭おかしくなりそうだったわ……え、みんなそうなったよね……? 雪緒が沙霧さんに嫁入りするIFでの恐ろしさとはまた違う、むせ返るような濃厚な異世界感……そして何とも粘度の強い……。

 

そして糸森先生に因習村を書かせてはいけなかった(※褒め言葉)。

何かもう、糸森先生に書かせること自体が壊しちゃいけない祠壊しちゃった感が……よくできてる、本当によくできてるんだけど……業が深過ぎた……(遠い目)。

お狐様、たまに現代とか近現代が混ざるのが面白いよね。『かくりよ神獣紀』もその気あったな~アレ続き読みたいなぁ(角川ビーンズ文庫さんをチラチラ)。

 

そんな異世界(十六夜郷)の中の異世界(傴緇鴑村)という状況でも白月は確かに変化していた。

この巻特に如実に表れていたなぁ……。雪緒に寄り添う考えができていて感動。いや倫理観はやっぱりお狐様なんだけどww お狐様はそうでなくっちゃ( ̄▽ ̄)

 

そしてそれが確かに雪緒に!!響いているんですよ!!!

「嫌だ、俺は好きだ、嫌っていない」

「俺は好きなんだ。雪緒があんまり俺を好きだったから、ついに振り向いてしまった。今更あきらめないでくれ、雪緒」

飾り気のない、どこか子どもの駄々のようなこれが、紛れもなくお狐様が捧げる恋心なのだ。

 

……なのにラスト白月と伊万里さんが婚姻するって話になるし!! 毎回もう!!!(笑)

ほんと、ラストすっごい方向に急カーブしてくれる。こんなの面白すぎる。でも誰にとってもむごい。

 

伊万里さんの「私を悪者にしないで」があまりにも刺さったなぁ……。

伊万里さんは別に、白月に恋しているワケじゃない。以前彼との婚姻を望んでいたのも、己の身の安全の為。だってたった半分人間の血が混じっているだけでも、彼女はあまりにもこの世界ですり潰される。何度も何度もありふれた犠牲を科せられる。

でも雪緒のことが、大好きで大嫌い。もっと複雑な感情か。雪緒だって、伊万里さんに一言では伝えきれないいろんな思いを抱いている。その上で切り捨てられない。

 

雪緒に安全な道を示してもらって、きっと安堵の気持ちがあったのだと思う。もう疲れた、早く楽になりたい、って気持ちも。

でも雪緒が白月に恋していると知っている。自分が白月と結婚なんてしたら、それは。

……こういう女の子同士の、いろんな感情がごった煮になった関係性、マジ糸森節だなぁ……!!!

 

にしても雪緒、あんな特級呪物を持ちながら懲りずに白月への恋を握りしめてるの最強過ぎる……www

いくら白月と伊万里さんが好き合っていなくたって、二人が婚姻なんて事態に何も思わないワケがないのに、このラストで決断してから心が凪いでいるような地の文だった。何かもうホント、スゴイ。

 

……あと、今回もこんな感じで「何でこんなことに」って終わり方だったけど、コレ、絶対誰かが余計なことしたせいだなぁ……www

今までの良くない成り行きも誰かさんや誰かさんが好き勝手したせいだと今回暗に言っていたし。……うん、これはもう複雑怪奇な人外共の思惑が入り乱れまくっとる(笑)。獏面さま呼ぶ時で既に混沌としてたもんなぁ……( ̄▽ ̄;)

 

その獏面さんがトンズラしてるのも怖過ぎるし。ととりさまも絶対今後何かしてくるだろうし。もうフラグだらけで何が何だか……www

とりあえず読み返していかにゃならんなと思いましたまる( ̄▽ ̄)

 

余談。
この作品、白月の禊(※もちろん雪緒への)が終わるまで雪緒と結ばせる気ないな……www

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