鞭展開度:★★★★☆
あなたに恋を:★★★★★
世界で一番悪い魔女:★★★★★
【あらすじ】
魔法の息づく世界“メイデーア”。辺境貴族の令嬢マキアは、騎士の少年トールとともに、魔法を学ぶ日々を過ごし、強い絆を育んできた。ところがトールが異世界から来た〈救世主の少女〉の守護者に選ばれたことで、二人は引き離されてしまう。
トールの不在に動揺するマキア。だが王都の魔法学校に行けば、再びトールに会う機会がある。彼に抱いた想いの正体を知るため、マキアは最高峰の魔法学校を目指す!
これは〈世界で一番悪い魔女〉の末裔マキアが、自身の想いを伝えるための、長い物語のはじまり。
とうとう手を出しましたメイデーア。“転生”というワードに苦手意識のある私はタイトルだけで敬遠していたのですが、友麻先生の作品の面白さは知っているし、この作品の評判は耳に入ってきてたし、何より魔法ワールド!!!
……ということで、今回えいやっと勇気を出して読んでみました。そしたら……めちゃくちゃ面白かった!!!これぞまさに求めていた恋する少女のハイファンタジー。ずっとワクワクさせられっぱなしでした。
以下ネタバレあり↓
まず先に何故私が転生モノを避けがちなのかを書いておきますと、
①それは生まれ変わりではなく人格の乗っ取りなのでは? とモヤモヤしてしまうことがある
②前の人生の経験や記憶を引き継いでいるという“ズル”で主人公が他人から尊敬されるとモヤモヤしてしまう
③転生という措置がとにかく辛い描写を失くす為にあるように思えるとモヤモヤしてしまう(例えばこれが転生ではなく異世界トリップであったなら、このありえない状況を受け入れるまでの葛藤だったり、異文化に馴染むまでの苦労、元の世界に戻るかどうかの苦悩があったりする)
……と、こんな具合に主人公の葛藤や苦労含めて楽しみたい私としては、そこをすっ飛ばす印象が強いんです。転生モノって。だからタイトルやあらすじに「転生」とあるものは基本避けていました。(そういう意味では分かりやすくて苦手な私にとってもありがたい)
しかしそんな警戒心を抱きながら読んでみたメイデーア、↑の3つの課題をあっさりクリアしてくれました。
①生まれ変わりではなく人格の乗っ取りでは?
→マキアはマキア。前世を思い出してもいなくても。深層心理に前世の人格が影響を与えているが、あくまで“心の隣人”。トールを好きなのもマキア自身だと結論を出していたのもすごく安心した。
②前世の記憶・経験を用いたズルが発生するのでは
→お米食べたくなっただけで(笑)別にドヤ案件は発生していない。そのさらに前の前世なのか、どうやら紅の魔女でもあったように見えるが、それによってむしろ茨の道を行くことになりそうなのでそれなら良し。←
③転生はツライ展開回避策なのでは
→ちゃんとツライよ!?!?!?www
……というワケで、すぐに転生モノだという抵抗感は薄れ、純粋なハイファンタジーを読んでいる気持ちでめちゃくちゃ楽しめました。
何より魔法学校モノ!!!! ひゃっほう少女小説でそれ待ってた!!!!!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
いいですよねぇ、こういう街にあって授業内容はこうで制服はあぁで~とか。ときめきが止まりません(。-_-。) そういうのを1つ1つ説明してくれているのがホントうれしい。物語も好きだけど設定も既にかなり好きです。ぐつぐつ煮詰めたファンタジー設定要素がたまらないんじゃ~♪( ´▽`)
班を組んで授業に挑む‼ というのもワクワク要素。マキアの班は……、なかなかいいメンバーが揃いましたね(笑)
特にフレイ相手に女子2人がめっちゃ塩なのがいいwww 舞踏会の時なんかもういい関係性築けてましたね。マキアにあの3人がいてくれて本当によかった。
にしてもこのストーリー、主人公が“主人公”からズレているのがことごとく面白い。
世界で一番悪い魔女の末裔で、それを誇りに思っているいかにも魔女らしいところとか。
異世界トリップした少女の救世主が別にいて、世界で一番大事な男の子を彼女に取られてしまうとか。
その新鮮さが面白くって、マキアの嫉妬のシーンは胸を痛めながらも惹かれずにはいられないシーンでした。人間くさくもあり、でもマキアに絡んだいろんな秘密がかかわる重要で、怖い場面でもあり。
マキアとトールの関係性もすごく好き‼
まだ子どもな2人のやり取りもしっかり描いてくれていて、そこからの変化により一層感慨深くなり、思い入れもまた深まりました。遠慮ないやり取りなのがこれまたたまらない(。-_-。) そこから恋を自覚していくのも……甘酸っぱい、かわいい……!!!
あのままトールが“選ばれる”ようなことがなければ、2人で結婚して幸せな人生を歩めてたのかな。。。でも今の障害もまた読み甲斐です。
正直トールがしばらくホントに出てこない展開、燃えたからなー……!!! ヒーローが隣にいるのもいいけれど、1人でがんばる主人公の姿はまさに1人の人間の人生を覗いているという感じがしてそれもまた味わい深いです(。-_-。)
マキアがトールが“徹”であると気付いてからの向き合い方がまた好きです。
前世の自分として好きなのか、今の自分が今の彼を好きなのか、そこにはっきり答えを出そう、ってがんばる姿が本当に愛おしい。
でもアイリと踊っているトールを見たら逃げてしまうマキア……!!! ……と、ダンスほっぽり出してでも追うトール(笑)。
トールって今までの経歴もあって感情的な行動はあまりしなさそうというか、本音で何が大事でもその時の理性的な最善を選ぶ子なのかなと思っていました。それがまさかダンスの途中で追いかけるとは!ww
ただこれ、もしかして徹だった時の後悔か何かが深層心理に結びついてるんじゃないかなー、なんて考えてみたり。一華同様、徹も死ぬ間際の恋は後悔だらけだったと思うので。
アイリが明らかにトールを大好きでマキアを敵視していたり、トールの為に悪女になるマキアだったりとハラハラさせられっぱなしでしたが、ひとつ2人の中で踏み出せたようで本当によかったです。……本当にいつかトールがマキア達の元へ戻って来れますように……!!!(泣)
そして問題のアイリね!!!(汗)
まさかとは思っていたけど、本当に田中さんだったとは……。
正直に言えば、今のところ田中さんのことは好きじゃありません。
斎藤のことが好きな一華に「私も好きかも」とか、「告白しようと思う」って言うのは、まだ潔いって言えなくもないけど、そこでその一華に協力依頼するのは!!!! 否定されなかったからって何なのっていう!!!!!
メイデーアで再会してからの態度も好きになれんのよなー……!!!
多分アレって、メイデーアを物語の中の世界みたいに捉えてるからメタっぽい発言が出てくるんだと思うんだけど、そう思えてもすごくモヤモヤさせられる。……何ていうか……いかにも“主人公”な役割を与えられている、まったく“主人公”っぽくない言動‼‼
今まで読んできた異世界トリップモノでがんばってきた主人公達が本当にいい子達だったんだな~(泣)となんだかそっちのありがたみまで感じてしまいました。
自分がちやほやされることに堂々とめちゃくちゃ悦に入っている感じなんだよな救世主アイリ様は。あと、自分にとって都合のいいようにしかこの世界を見ていない印象かな。。。
ただ、アイリのメイデーアに対する捉え方って、本当に“読者”の視点でもあるんだよね。
ほら、例えば女の子の主人公に好きな人がいて、でもその人とよく一緒にいる女の子が出てきて。
……ちょっとムッとこない?ww それでいて、コイツ悪い奴なんじゃないかってパッて思ったりする。……そんでいい人だったらジャンピング土下座したり主人公の好きな人のことを好きじゃないって分かったら途端に嫌悪感が薄れたり……( ̄▽ ̄)
何かそういう、読者が勝手に抱いてしまう偏見や嫌悪を、鏡で跳ね返されてるような気持ちになりました。……だから人のふり見て我がふり直せと、ちょっと反省もしたり……www
あと黒髪クール系が好きなのは私もなのでちょっとそこもダメージ負ったww
そして裏章で少しアイリの事情も見えてきたり。
やっぱりマキアのことを悪者にしたがるのはメイデーアを物語の、自分にとって都合のいいことが何でも起こる世界だと思い込んでいるからなんだろうなーとか。
家庭事情や、実は刺されたけどアイリは生きていて、その後どんな目に遭ったのか。
小田さんや斎藤君のことで、自分を責めていたこと。
果たしてマキアが“小田さん”だと知る日は来るのか、そうなった場合、アイリはどう出るのか。このあたりも気になるところです。
……それからマキアがまさかの4人目の守護者!?!?!?(汗)
予想外の展開過ぎてこれもびっくらこいた……マジで何がどうなってる? 気になるところです。
あと、トールには聞こえなかった(もしくは聞こえないフリしていた可能性も)けど、マキアが好きだと言葉にできたのは大きな1歩だったと思います。やっぱり私は好きな人に一生懸命な女の子が大好きだ……!!!✨T ^ T✨
そんなワケで、友麻作品への信頼もあり読んでみたこの『メイデーア転生物語』。……めーちゃくちゃ面白かった!!!
あと油断してたのはアレですね、まさかここにも飯テロがあったのかという……www ヤバイ、塩林檎なんかも食べてみたいし梅干しのおにぎりも恋しくなってきた_:(´ཀ`) ∠):
そして河童は出てこないけどハムスターが出てきたのもマジ想定外wwwwww
そんな恋に魔法に学校に飯にハムスターにと大忙しなメイデーアを、今後も楽しんでいきたいと思います(`・ω・´)
余談。
ドン助の「深いヤバみ」というワードwwww

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