鞭展開度:★★★☆☆
世界のきらめき:★★★★☆
レプリカだって、:★★★★★
【あらすじ】
具合が悪い日、面倒な日直の仕事がある日、定期テストの日……。彼女が学校に行くのが億劫な日に、私は呼び出される。
愛川素直という少女の分身体、便利な身代わり、それが私。姿形は全く同じでも、性格はちょっと違うんだけど。
自由に出歩くことはできない、明日の予定だって立てられない、オリジナルのために働くのが使命のレプリカ。
だったはずなのに、恋をしてしまったんだ。
好きになった彼に私のことを見分けてもらうために、髪型をハーフアップにした。
学校をサボって、内緒で二人きりの遠足をした。そして、明日も、明後日も、その先も会う約束をした。
名前も、体も、ぜんぶ借り物で、空っぽだったはずの私だけど――この恋心は、私だけのもの。
海沿いの街で巻き起こる、とっても純粋で、ちょっぴり不思議な“はじめて”の青春ラブストーリー。
ずっと気になっていたレプリコ、とうとう読めましたっ✨ 普段こういった現代日本が舞台のはほとんど読まないのですが(※ファンタジー信奉者)、レプリカが主人公という斬新な設定に惹かれてずっと気になっていました。
そして読んでみると、レプリカの少女の純粋ででも人間くさい視点に惹かれてたまりませんでした。現代日本が舞台なことがまったく気にならずスルスル読めました。
以下ネタバレあり↓
ナオの目線があまりにも面白い。
彼女の目線で読んでみると、今まで当たり前だと思っていたことがどれもキラキラと輝いて新鮮に見えました。表現もかわいいんですよね、卵をたっぷり使ったシフォンケーキ、高い波に低い波。こうした言葉ひとつひとつにキュンとする。
特に好きなのは夏祭りの件。扉絵でてっきり浴衣を着て歩いたのかと思ったけれど、実はコレ、ナオの想像なんですよね。それが絵で再現されるのがまた素敵でいいなと思いました。
好きな人と一緒に、初めての夏祭り。こんなの胸が弾まないワケがない。それがナオの心情としてよりも(例えばワクワクするとか楽しいとか)、彼女の目に映る景色、羽ばたいていく想像の描写で表現されていて読んでてのめり込む。
私のかんざしから飛び立った金魚は、境内を自由自在に泳ぎ回り、蝶々は優雅に飛び回っている。浴衣から抜けだした花々が、頭上をダンスするように舞い散って、祭りの夜をとりどりに彩る。
ここが特に大好きです、あと食べ物がとびきりおいしそうに見える(。-_-。)
本当に、レプリカとして生きている彼女の目に世界はうらやましいくらいキラキラして見えるんですよね。極めて純度が高いというか。いろんなものが、焦がれる対象。
ベッドで寝たことがない、どんなにふわふわなんだろうってところで、ちょっといくつかの作品が浮かびました。主人公は奴隷のような、人権を許されない立場なんです。だからレースの手袋を洗うことはあっても、それをはめることなんて許されない。窓からそっと雪景色を見つめていたら、それを見つかって体罰を受ける。
ナオはそこまでの扱いは受けていないけれど、ちょっと似てる。自由がない人間故の純度の高さなのが、どこか苦しい。
さて、ナオのオリジナルである素直なんですが、ぶっちゃけ前半の印象は最悪でしたね(笑)。「コイツ、何様なんだよ」って思いました。自分の嫌なことを全部別の誰かに押しつけて、その誰かの努力を自分の成果にしておいて扱いはぞんざい。やってもらって当たり前。「ありがとう」の一言もない。名前の割に全然素直じゃねぇ‼www ……ちなみにこれは本人も気にしていたことだったり( ̄▽ ̄)
そんな素直にどんな心境の変化があったのか、中盤ぐらいから徐々に変わっていくんですよね。ずっとナオ目線――と、ほんの一瞬のアキ目線――なので、素直の気持ちは分からない。でも、向こうは向こうで変わっていってるという感じが面白い。まさにリアルな人生だ(笑)。
さて、ナオが意識するようになった“真田君”が実は自分と同じレプリカであったという。……予想はしてました。でも、それは自分なりにいろいろストーリーを読んできたから、そこから算出してこのレプリコを読む前に予想できたというだけのこと。ぶっちゃけ読み始めたら純粋に楽しんでてそんな予想してたのすら忘れてたのでフツーにビックリしたというwww
このアキ君がカッコイイんですよね!!!
ぶっきらぼうな中に優しさがある。不器用ながらにナオの一挙手一投足に目を向けてくれている。
そのぶっきらぼうながらのナオへのセリフがカッコイイんですよね(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ 「俺から話しかけたいときはどうすんの」「俺がいるけど、どう」などなど……!!! 女性向けコンテンツ製作陣各位飾り立てた言葉よりこういう方が私は萌えるんで是非参考にしてください(真顔)。←
優しく切なく甘酸っぱい。どこか苦しい。……だけじゃなく、結構サスペンスじみた何かがあるのがまたスゴイ_:(´ཀ`) ∠):
フツーに殺人事件が起きようとしていたよ……いや起きているんだよ……(震)。レプリカも痛みを感じるということがまさかの後半に判明、電車に轢かれた時もナオは痛みを感じていた………………………………。そんなの心も痛過ぎる。
今までは、自分にも個があることに気付かないフリをしていたレプリカが、恋をして、個があることを自覚して、同じレプリカである彼の為に怒って、それから、それから……。
レプリカだけれどもう愛川素直とは言えない女の子の物語。最初から最後までとても楽しませてもらいました。人間くさくて、でもレプリカであるからこその苦悩や葛藤があって、でもそれらを優しく包み込んでくれる物語でした。……りっちゃんがナオを認識していたなんて泣かせるじゃないかよぉ……T ^ T
ちなみにお気に入りキャラはりっちゃんです。ナオとりっちゃんの漫才がオモロイwww というか文芸部みんな好きです。オリジナルである素直と真田君については……今後知っていくということで。
静岡に多分行ったこともない(通過したことはあるぐらい……www)私としては、静岡が舞台というのも新鮮で面白かったです。すぐそこに海がある暮らし、ちょっと憧れる……!!!
さて、悲しい終わり方をしそうと思っていたレプリコ(読む前、てっきりナオは二重人格で生み出されたのだと思っていたので)、優しくきれいに終わりましたが、果たして今後どう続いているのか。のんびりペースになりますが、追っていきたいと思います(。-_-。)
余談。
『こころ』、ちょっと読んでみたくなったなぁ(笑)。私も授業内容でしか読めていません( ̄▽ ̄)(※その後読みました。こちらもその内感想上げますので、よろしく(笑))

コメント