鞭展開度:★★★★☆
本当の望み:★★★★★
望まない結末:★★★★★
【あらすじ】
「ねぇ。しばらく私の代わりに学校行ってくれない?」
不気味なくらいに優しい素直の言葉が、私を惑わせる。オリジナルがやりたくないことを押し付ける身代わり、〈レプリカ〉には、手に入るはずもなかったもの。“ふつう”の学校生活を送る日々が訪れた。
文芸部の廃部の危機を救うため、奔走して。アキくんとの距離も、縮まって。そして――。
「ナオちゃん。わたしを見つけてくれて、ありがとう」
秋。私の好きな人と同じ名前をした季節に、忘れられない出会いをした。
第29回電撃小説大賞《大賞》を受賞した、純度100%の青春ラブストーリー。切なく胸を打つ第2巻。
1巻でのそれぞれの変化を経て、いつまで続くか分からない、けれど確かに“ごく普通”の高校生活を送ることになったナオ。その愛おしく懸命に過ごしていく中、後半急展開に次ぐ急展開が……。
1巻では心を灯す温もりだったタイトルが、2巻を読み終えた途端鋭く突き刺さる。
以下ネタバレあり↓
ごく普通で愛おしい日常は、ある日突然引き裂かれる。
……というのが今回。なんなら「引き裂く」って言い方はラストの素直のあの言葉にはちょっと合わないかな。
引き裂いてきたのは、あの謎のビラに始まり、ビラの犯人発覚、そして突然の……。
1巻と2巻合わせて考えると、レプリコって実は表面上は“ごく普通の”学校生活や恋を描いているようで、ものすごく“死”が身近にある作品なのかも。1巻ではナオは電車に轢かれてその感覚は確かに覚えていて、無になろうと思うまでに追い込まれる。そして2巻は……。
あのシーン、本当に心臓に杭を打ち込まれたように今も心に食い込んでる。あんなにも突然、終わりってやってくるものなのか。もうそればっかり考えちゃって、平和なシーンについてまず語るってのができない……_:(´ཀ`) ∠):
あのシーン、何がショックだったって突然の終わりだったのもそうだったしせっかくリョウ先輩が自分なりに1歩踏み出せたところだったのにこれからってところで強制的に幕が降ろされたのもだし単純にすずみ先輩がまだ高校生で亡くなったのも悲しいし望月先輩にとってはずっと一緒で大好きだった女の子から返事を聞けずに終わってしまったワケで。
セリフの途中でリョウ先輩が消失したのも残酷過ぎたし「つまりオリジナルが亡くなった……」て事実に辿り着いた瞬間の鳥肌も忘れられない。そしてあのシーンを目の当たりにした生徒や先生にとってもトラウマだろうし、同じレプリカであるナオやアキは、彼女達と友達のりっちゃんは……と考えると本当にやるせないなんて言葉じゃ収まらない。
何だろう、もちろん仲のいい人が亡くなるのだって辛いけれど、これから仲良くなれるかもしれない、いっぱい思い出を作っていけるかもしれないって人がいなくなるのも、その人との手に入らなかった未来を想って、そりゃ泣き叫びたくもなるよな……。
そして改めてレプリコの特異性も思い知る。
私達は人間じゃない。じゃあ何なの。こんなにも感情があるのに、何でこんなにも違うの。
人外って、自分の正体を心得ているイメージがあったけれど、この“レプリカ”は違う。自分でも自分が何なのか分からない。それが怖い。そうやって葛藤する様は確かに人間そのものなのに。
それから、個人的に興味深いのはオリジナルとレプリカで得手不得手に違いが出てくるということ。
ナオは素直より勉強が得意な方。それは素直に喜んでもらえるような結果を、“愛川素直”として出す為。だからこれはまぁ置いておいて。
すずみ先輩は、勉強ができる。けれどリョウ先輩は苦手で、でも絵が得意。すずみ先輩はそんなことはないよう。
さらにはこのレプリカ2人を並べてみても、恋をする相手はオリジナルとは異なる。
……これで得意不得意も一緒で、例えば小説を書いたらまったく同じ内容になるとか。好きになる相手もまったく一緒だとか。それならまだ、レプリカ――いや、ドッペルゲンガーとしてうなずけたと思う。
でも、あまりにも人間性があって、何より個性がある。なのに“レプリカ”。こんなの残酷過ぎる。けれどそのあまりにも純粋で苦しい葛藤が読み応えになっていて面白い。
……と、ここまで書いてみたけれど多分続きを読まない限り答えは出ないんだよなぁ、この感情。というワケで1番書きたかったことはここまで。
明るい話題、そうじゃなくとも前述したものほどシリアスじゃないよというところについていくつか。
『新訳竹取物語』!! いいねー!!!(笑)
これは私なら絶対まんまと食いついちゃう( ̄▽ ̄) おとぎ話をアレンジしたようなの、大好き(`・ω・´)
りっちゃんによる異能力バトルみたいなアレンジも大好きだし、リョウ先輩が最後出したあの答えも好き。……そうだよね、かぐや姫だって本当はおじいさんとおばあさんといたかったのかも……。あの挿絵がとてもきれいで大好きです。
素直が楽しそうに電話していた相手って、アキ君のオリジナルの……?
いや、そのくらいしか出てこなくてww まったく知らない人の可能性もあるよね。ナオがそれを誰なのか出さないでいるの、もちろん作者さんが今はまだ明かさないって意図のもとなんだろうけど、なんだかナオのモラルの良さ(?)も表されていそうでとても好き……www
そして確かにオリジナルからしたらそっちの記憶は共有されないのにこっちの記憶は勝手に把握されちゃうの嫌だよね(苦笑)。
ナオとアキ君がまだキスしていないの大好き(笑)。
あんまりすぐにキスシーン来ると萎えるタイプでして(焦らされたい読者心)、それを抜きにしてもとても純度の高い恋模様なので1巻でお付き合いまで辿り着いているもののまだそれ以上進めてないの2人らしいなぁと。
ていうか邪魔が入って結局キスできない展開久々に見て懐かしかったなwww ホント大好きwwww
あと私はビラの犯人、1巻でナオを線路に突き落とした先輩だと思ってた……。でもどうやらそんな精神状態ではなさそうで( ̄▽ ̄)
だからリョウ先輩なのめっちゃ驚いたなぁ~。そもそもレプリカだって思わなかった(笑)。や~、まんまと騙されるの楽しいww
というワケで、今回楽しいところは楽しく、心臓抉られるところはガッツリ抉られました☆
あんな優しいタイトルとイラストでこんなダメージ食らうと思わんやん……_:(´ཀ`) ∠): ナオは学校に行けなくなってしまうワケで(素直の「これから学校行く」って宣言は本当にいいことなんだけど……)、本当にナオの明日はどっちだ!?!? 状態。
どうか優しい未来が来ますようにと思うけれど、優しくない現実を覚悟していた方が気は楽かもしれん。本当に、4巻でどうまとめてるんだろう。。。
余談。
「りっちゃんの名にかけて」の為にわざわざ挿絵割くの好きwwww

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