『図書館内乱 図書館戦争シリーズ(2)』(有川浩/角川文庫)

角川文庫

鞭展開度:★★★★☆
言葉を歪める:★★★★★
隠された真相:★★★★★

【あらすじ】
両親に防衛員勤務と言い出せない笠原郁に、不意の手紙が届く。田舎から両親がやってくる!? 防衛員とバレれば図書隊を辞めさせられる!! かくして図書隊による、必死の両親攪乱作戦が始まった!?

図書館戦争シリーズ最後まで読み返すぞー!!! とやる気満々で読んでおります(笑)。実のところこの内乱があんまりにもすんごいところで終わってるので気になり過ぎて(過去に読んでるのに……www)危機まで駆け抜けたという( ̄▽ ̄) だから今パラパラまた読み返しながら書いております……抜けてるところあったらまた後から足しちゃうかも……www

今回は小牧教官や柴崎に深く踏み込み、手塚にもさらに深く切り込んだ回だなと思いました。こういう掘り下げが楽しい(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾

 

以下ネタバレあり↓(※他の巻のネタバレもちょっとあります!ご注意ください!!)

 

 

 

 

 

まずもう冒頭が面白過ぎるwwwwww

このナレーション誰!?!? というノリwww 地の文にもそういうノリの良さ発揮されるの好きですwwww

 

にしても親が職場見学に来るとかキッツ~~~~~(汗)。

高校生の時でも思いましたが社会人になった上で改めて思ったというwww いや「お父さんお母さんの職場を見学しよう!」みたいなのを子どもの学校が企画したり親の職場で企画するみたいなのは分かるんだけど親が子の職場にかぁ……嫌だなぁ~……( ̄▽ ̄;)

どうしても家族が顧客になるような職場であるならまだしもわざわざ遠征して来て職場の人も巻き込むハメになるのは……いたたまれなくなるかなぁ……。

まぁそれでもフォローしてくれる堂上班+柴崎なのがいいよね( ̄▽ ̄) 「俺親御さんに仕事のこと訊かれたら嘘つけないよ?」って距離を置いてくれる小牧教官含めて(笑)。

 

そして実際に郁のお母さんを目の当たりにするとうわぁ……これは郁キツかったろうなぁとか……。

それで「この人嫌い。合わないわ~」で終われてたらよかったんだけど、郁の場合嘘ついてたり親の望み通りになれない自分に罪悪感を持ってたり、「自分のことを好きになってほしい」って思っているから余計に苦しい。

真っ正面からのケンカにならないのも郁としては何だろう、出した拳を収める場所がなくて余計に嫌な気持ちになるんだろうなと。敢えてお母さんの事情を鑑みずに1,2巻読んだだけの感想を言うとしたら「子どもを思い通りに動かしたい横暴な親のくせに子どもが怒ると悲劇のヒロイン面する卑怯な女」。今のネット社会なら容赦なく毒親認定されてそう。

 

でも柴崎のご指摘通り「夢見がちなところはお母さん似」も確かになんだよな~💦 というかお母さんの「女の子はこうでなくちゃ」って教育がある種反映されているというか。。。これは別冊でも取り扱ってるけど。

 

けれどお父さんは違うご様子。

というか、今までずっとお母さんの味方で郁を守ってくれなかったのがこんなに変われてるのすごい。何だろうな、郁の覚悟を感じて自分も覚悟を決めることにした、みたいなことなのかな。あと年を取るほど変わるのって難しくなるって聞くから、そういうのも含めて“今”変われてるのもすごい。

「図書館勤務なんて危ないからやめたら」と無責任に言うだけ言うお母さんと違ってきちんと図書館のこと、その周辺の事件のことも勉強した上でそっと味方してくれていて、信頼できるお父さんだなと感じました。郁からはまだ分からないけどね💦

そしてあの雑誌を泊まった部屋に置いて行くことでそれをそっと伝えるの、粋過ぎる。

 

さてつづいて初登場の鞠江ちゃん。……いや何ていうか……有川先生による“女の子”の言語化がスゴ過ぎる……!!!(笑)

この場合の“女の子”っていうのは何ていうのかな、“恋する女の子”のきれいな一面だけ抜き取った物語的なものではなく、本当に、リアルな“女の子”。

特に小学2年生の時に高3の小牧が彼女と歩いているところに出くわしてしまった……ていうシーン。鞠江ちゃんとしては自分は女として見られていなかったとプライドズタズタで、彼女のことはもちろん敵視。小牧に気付かれないように睨みつけているというのが“女の子”というかもう“女”です。

「ヤキモチ焼いてるのよ、かわいいわね」に秘められた悪意をキャッチした言語化に昔も今もやっぱりすごい、と唸ったのでした。

 

個人的には「子どもであっても加害者になり得る」という考えがあるのでこの件については先に失礼なことした鞠江ちゃんが悪い、と思っているところはあります。

にしても当時の小牧教官、鞠江ちゃんにこの件について諭すのに彼女を庇うことを言わなかったのエラ過ぎるな……www 10代でここまでできるのスゴ過ぎん?( ̄▽ ̄;) 大体の子が近所のちびっ子よりも彼氏彼女優先するのでは。

 

鞠江ちゃんが小牧教官への失恋を3回していて、それが具体的にいつだったかを覚えてるのそれだけ1回1回が衝撃的だったんだろうし学生だからこその覚え方なのがまたいいよなぁ(何年生の頃、ってやつ)。何だろ、有川先生行き届きまくってるなって……www

「同じ人に3回失恋している」ってワード、鞠江ちゃん的には笑えないだろうけどすっごくイイ。

 

好きな人目当てに本を読むようになって本を好きになっていってるのもすごくいいなー(。-_-。)

小牧教官と議論になるのもまた良い。そして『レインツリーの国』を通じての告白なのが……本好きとしてはたまらない……!!!////

 

まぁそこに良化隊という横槍が入ってきたワケなんですが(真顔)。

相変わらず言葉の歪め方が腹立つというか……わざとやってんのは分かってんだけど結果主張が頭悪くて余計に嫌悪感がすんごいというか……1巻での報道陣もそうだったよな……。

 

でもそんな良化隊を大量にやっすい皿割って黙らせるってのがたまんないwwwwww

これ提案したの誰!? 玄田隊長!?!? でも郁あたりが発案でもおかしくない気もするな!?!?!?wwww

タスクフォースほんと無茶苦茶でたまんないなー!!! そしてもうほぼそのメンバーと言っても過言ではない柴崎よ……( ̄▽ ̄)

何ていうかこう、シリアスに暗く捉え過ぎずぶっ飛ばすところはぶっ飛ばすぞー!!! の精神がすばらしいwww いい組織です(`・ω・´)

 

それから、今回読んでてかなり印象的だったこと。

聴覚障害者にとってそのカテゴリーは自身のアイデンティティに関わる重要な違いがある。

「そのカテゴリー」とは、聾者・中途失聴者・難聴者の区別のこと。

それでいてこれはアイデンティティに関わる重要なことであり、また、どれであるかは本人の選択に委ねられる、と。

 

今までそうした人達とほとんどかかわったことのない私にとって、これはかなり衝撃的でした。しかも聾という言葉を用いるくらい、独自の文化圏を築いていると。

有川先生のことだからかなり調べてこのことを書いてくれていると思うし(現に参考文献の中にそういった資料があります)、これは知っておいてよかったなと思いました。本当に、アイデンティティに関わるとか自分で選択できるとか思いがけないことなのでした。

もちろん、この本が書かれたのはかなり前ですし、その後アップデートされてるところはたくさんあるんだとも思いますが。それでもとても、勉強になりました。

 

好きな人の声が前と同じに聴こえなくなったの、鞠江ちゃん辛かっただろうな……。

声を出すのもありったけの勇気が必要な彼女が小牧教官の為に怖いオジサン達にきちんと主張する描写はあまりにも尊いものなのでした。

 

そうそう、そんな2人について郁から堂上への「オジサン」呼ばわりと「あんたらそんな傍迷惑なもん捨てちまえっ!」が痛烈にキマりましたねーwww

あと堂上の「枕から頭も上がらないほどの生理痛はどうした⁉」も好き過ぎるwwww デカイ声で言う言葉じゃないし手塚がギョッとしてるのがこれまたいい味出してるwwwww

 

さて、話は戻して小牧教官と鞠江ちゃんについて。

……私にとってはそう……これぞ成人男性と未成年女子の理想の恋愛の形……!!!

ちなみに同じく有川先生作の『阪急電車』にもそんな理想のカップルがおります!! こちらもオススメ!!!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾

 

大人が未成年に手を出そうとする・手を出す、オジサンが10代20代女子を狙うことを蛇蝎の如く嫌っている私ですが、これは小牧教官、満点にも程がある。本当に大事に想っているし大事にしてくれている。若い体目当ての気持ちの悪い下心なんかじゃない。これは鞠江ちゃんを任せられる👍(どの立場?)

『ロマンシング・エイジ』がまたたまんないよなー(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ 高校卒業したんだからもうちょっと何かあってもいいのに、とふくれるのが鞠江ちゃん、かわいい(。-_-。) でも大人ぶるんじゃなくて次からは素直に頼るから、今だけ背伸びさせてっていうのもまたいい。これが本当の意味での大人の階段だ。

そんなワケで、高校生の時から、そして今も、この2人の感じが理想なのでした(。-_-。)

 

そして今回思ったこととしては……その小牧教官の元カノ、めちゃくちゃいい女……!!!

小牧教官はもっとその女性に感謝してくれ(真顔)。彼女が潔く身を引いてくれなかったら多分いろいろ泥沼だったと思う。

まだ未成年の鞠江ちゃんをちゃんと恋のライバルだと認めて、そういうことひっくるめての小牧教官への言語化がすごい。別れを切り出す潔さもすごい。私は格好いい女性だと思った、どうか彼女も幸せな人生を歩んでいてほしい。

 

そして『レインツリーの国』はまだ読んだことないのでいつか読んでみたいな、と思うのでした~(。-_-。)

 

そこからの今度は柴崎のターン。

柴崎の話が深堀りされて、今の情報屋で面白みもある美人な柴崎がどうして出来上がったのかがよく分かりました。女ってホント怖いですよね……。女だけどマジで思う。

友達からまさに柴崎みたいな経験談を聞いて、「え、そんなことする人本当にいんの……? 作り話だけの存在なんじゃないの……?」とガチでビックリした(真顔)。図書館戦争は一応フィクションだけど柴崎のコレは限りなくリアルだ。ていうかいろんなところに“リアル”があるワケなんだが。

 

そんな中で柴崎にとって郁がどれだけ救いだったのかがよく分かる。

それはもう、郁に2ヶ月も真綿でじわじわ首を絞めるような苦しみを味わわせた『未来企画』のメンバーである朝比奈さんをも、許せないくらいに。

柴崎は「今更友達になりたいなんて」と苦しんでいたけれど、郁を苦しめたことが地雷であるならそれはもう大事な大事な友達だ。柴崎にとっての郁も、郁にとっての柴崎も。

 

そしてここで判明する柴崎と手塚のつながりね!!!!

最後まで読んだ身で改めてこのあたりの2人見てるともうお似合いだなって思う。

 

そうそう、話は変わるけど『週刊新世相』について。

……まさかあの少年による事件がここまで広がるとは……。

これもまたかなり繊細な問題。少年法によって犯罪を犯した少年の実名公開などしないでおくべき、けれどこの少年は未成年なら軽い罪で済むと思ってこの年で女性を何人も殺し乱暴まで働いている。そんな少年を法で守らなくてはならないのが耐えられなくて情報提供者も情報を流したんじゃないだろうかとまで思える。……もちろん間違った正義をふりかざしてるだけとかって可能性も否めないけどね?ww

そんな新世相について、折口さんを知っているメンツとしては複雑な心境にはなるワケだけど。

 

……「何か裏切られた感じ」とか!!!! 郁ちゃん言ってはいけません!!!!!(汗)

もぉ~組織を代表しての意志表示がそこに属する一個人の思想とは限らないでしょ~!?(汗) 会社内で折口さんがめちゃくちゃ反対してた可能性だってあるでしょ~!?!?(汗)

……と、言ってはみるものの折口さんが実際どうだったのかは描かれていません。折口さんは何の弁解も、玄田隊長にしてないワケで。

……あ~でもそうか、この時ってまだ関東図書隊のトップが稲嶺司令だから郁個人の考えと関東図書隊、特に特殊部隊の価値観が大体合致してるんだったな……。この後に来る『一刀両断レビュー』で、それを書いたワケじゃない、このレビューに同意しているワケじゃない図書館員がそのレビューへのクレームに頭下げなくちゃいけないってのを知るワケだから、この後に週刊新世相! だったらまた違った感想が出てきたんだろうなぁ~。

にしても結構ザックリ言ってくれちゃうから大人になった私はビックリしましたよ……( ̄▽ ̄;)

 

その『一刀両断レビュー』について。

これ、高校生の当時は何がそんなにいけないのかよく分かっていませんでした。……いや、あのレビューが良くないことしか分かっていなかったというか。

でもコレ、内容が倫理的に良くないってこと以上に公共サービスとして健全じゃない、って話だったんだね。確かに図書館でこんなんやってたらギョッとすんなぁ……( ̄▽ ̄;) 多分当時は砂川個人で運営しているサイトだと勘違いしてたっぽいです。

企業でやってても「おぉう……」だけど図書館でやってるのはさすがにヤバイ(真顔)。

 

そして始まる不穏な査問会。

……これは……相当キツイなぁ……。

これが仕事終わったら自分1人の家、もしくは実家に帰って……だったら業務時間さえ乗り越えればってまだマシだったかもしれないけど、郁は寮生活。仕事の時間もその前後の生活部分もずっと精神攻撃を受けているようなもので。

柴崎が同室なだけまだマシだし、堂上班や玄田隊長が味方でいてくれるけれど、それは絶対に救いだけど、それだけで辛くなくなるほど甘いものでもない。正直査問会自体よりも寮生活が何よりもキツかったんじゃないかなと今となっては思います。

 

でも査問会で「梱包済みの箱、持っただけで中身分かれとかあたしはエスパーか何かかっ!」って言い返してたの本当に好き過ぎるwwww それは仰る通りですwwwww

 

そんな理不尽な査問会は手塚慧の手によるものだったワケで。

これは手塚にとっても残酷だし手塚と友達の郁にとっても「ひどい」と口に出さずにはいられないものだよね。。。

そして郁は慧の手中にハマらずにきちんと自分で考えた上で『未来企画』への入会を断って、本性を出した慧にゆすられても彼の思い通りにはならなかった。もうこの2巻目にしてものすごい成長を感じました。堂上教官が来てくれたからこそのところもあるけれど、『未来企画』に関しては自分1人の判断で断っている。

 

そんな頭の悪い小娘が思い通りにならなかったこと、弟について分かったような口をきいてきたことへの意趣返しが“王子様バラシ”だったんだろうな………………………………。

そういう意味では郁は勝負に勝ったんだと思います。少なくともあの手塚慧を苛つかせたはず。

……でも本当に!!!! なんて稚拙で的確な嫌がらせ!!!!!(汗)

 

初めて読んだ時もまさかここで郁が知ることになるだなんて思ってもみなかったから(ついでにもっと先の巻で判明するのかと思ってた)めちゃくちゃビックリしたし、そしてここからの「堂上教官に嫌われてる?」という可能性。

多分手塚慧が想定していた以上にこの嫌がらせは郁に刺さったんでしょう。。。これも柴崎知ってたら報復に動いてたりして……ははは……( ̄▽ ̄;)

 

そんなワケで、久々に『図書館戦争』シリーズ浴びてる私としては続きが気になって気になって仕方なくてこの内乱の感想を1行も書かずに次の巻へGOしたよね……知ってるんだけどねこの後のオモシロ展開……www

『図書館危機』も読み終えてからまた『図書館内乱』をパラパラめくりながらこうして感想を書いています。……この後危機の感想も書き終えるまで……『図書館革命』を読むんじゃないぞ私……!!!(笑)

 

余談。
朝ドラ『あんぱん』で「のらくろ」って出てきて「あれ、何かコレどっかで聞いたことあるような……」て思ってたらココだったwwww

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