『恋した人は、妹の代わりに死んでくれと言った。5―妹と結婚した片思い相手がなぜ今さら私のもとに?と思ったら―』(永野水貴/TOブックス)

TOブックス

鞭展開度:★★★★☆
この世界の輝き:★★★★☆
愛する受難:★★★★★

【あらすじ】
月光さえ目に眩しい。《未明の地》にはあり得なかったものに囲まれ、異界の番人・ウィステリアは夜空へ思いを馳せた。いまの景色をいつまでも見ていたいと。ついに弟子・ロイドとともに、夢にまでみた“元の世界”に戻ってきた。ただーー王女と約束をもつ彼とはいつまでも一緒にいられず、死んだことにされている自分が頼れる人は、かつての研究仲間・ベンジャミン、義父母など数える程しかいない。そのうえ異界に順応した不老の身体に異変が起こって? 
思い合うが故にすれ違う二人の間に、二十三年の月日が立ちはだかる。孤独な元令嬢×天才肌の貴公子の師弟恋愛ファンタジー第5巻!
全編完全書き下ろし&書き下ろし番外編収録!

前回、ラスト急展開気になるところで終わってからの続き。……と、しか言いようがねぇ……!!!(汗) あまりにもネタバレなのでそれはまた後で。

にしても、本当に報われない想いの掘り下げ方が永野先生は抉りまくっててすんごいなぁ……と改めて思い知りました(笑)。

今回もそんな感じで心臓引き絞られまくるんですが、それでも私はウィステリアのとあるところにホッとできたんです。……あ、でもやっぱりシーンは激シリアスです(笑)。

 

以下ネタバレあり↓

 

 

 

 

 

ウィステリアのポニーテールありがとうございます!!!! ひゃっほい!!!!!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾

……いや最初に言うとこそこかーい(笑)。すいません、でもポニーテール好きでウィステリアのポニーテールがあまりにもツボだったので……装いが男性服というのもこれまたすんばらしい(。-_-。)

先に扉絵に触れておくんだけど、相変わらず絵が美し……藤の花きれい……ポニーテールのウィステリアに大歓喜……長椅子のクッション部分の色良……。←

 

本題に戻りますととうとう元の世界に!!!! 戻って参りましたよ!!!!!

今まで元の世界の人達目線のシーンもあったにはあったけれど、ウィステリア目線を通すことで「ひ、人だ……」とめちゃくちゃ感激しておりました(笑)。まだ3人ぐらいしか会ってないけどそれだけでも凄まじい。

 

ベンジャミンが最初にウィステリア達を発見・保護したことは間違いなく幸運。……しかし、それで安心というわけではなく……。

 

……うん。絶対ベンジャミンであっても絶対大丈夫なんてことはなく。

彼女に密かに恋し、彼女が異界に送られたことに憤慨し、彼女のことを少なからず今も想っていた。そんな彼であっても、老いずに異界を生き延びたウィステリアはやっぱり異端で。

彼があからさまな拒絶を見せず、ウィステリアを接している内にやっぱり彼女なんだと思えても、今度は彼女の名誉より自分の保身を取った自分を自分で責め立てることになる。……コレ、永野先生作品にしてはまだ優しい方だよなぁ(笑)。

 

……と、俯瞰してる読者としては思いつつ、でも昔のような親しい仲には戻れないことがウィステリアには苦しいし、ベンジャミンもまた真面目で優しい人だからこそ苦しむ。

そして何というか、ウィステリアを愛するのって何でこんなに難しいんだろう……と思わずにはいられない。

 

ウィステリアが悪いんじゃないんです。ただ、あまりにも彼女を取り巻くものが複雑で恐ろしく、困難ばかりが立ち塞がる。

だからベンジャミンの何かが悪かったんじゃなくて、本当に、ただロイドほどの男でなければウィステリアを愛する道を突き進めない。「……一人で泣くな。私がいる」と言ってくれるロイドでないと。

頼むロイド、ウィステリアを1人にしないであげて。そう思う一方で、死んだと思っていたウィステリアが再び現れたことでまた恋に苦しんでいるベンジャミンを見ているのも辛いものがある。

 

さて、冒頭で書いていた、私がウィステリアについてホッとしたところ、なのですが。

それがロザリーが自分のことを忘れたと聞かされた――実際はウィステリアがそう勘違いをした――ところ。

あそこでウィステリアが、はっきりと怒りを覚えたんですよね。それも関係のないベンジャミンに八つ当たりしたくなるほどの、強い怒りを。コレ、今までなかったように思います。

 

自分が受けた理不尽なことについて怒れることって、大事だと思います。ウィステリアはそれが今までなかったんですよね。ブライトに対してとか、養親に対してとか、ロザリーに対してとか。

だから余計に苦しそうに見えたワケで、ここでの怒りの発露はいいことなんじゃないかなと勝手に思いました。……あとベンジャミンに当たらなかったの、あまりにも大人……www

ロザリーは自分のことを全部忘れたワケじゃないって、誤解もすぐに解けましたしね。……いや、これでウィス姉様のことぜーんぶスッキリ忘れて幸せになってたら読者の私は殺意湧いてたわ……www

 

それと今回明かされた養親との思い出。そして現在。

……いやぁ、まさかどちらも亡くなっていたとは……。さすがにまだ亡くなってないだろうと思っていたけれど、そうだよなぁ、それは現代日本の感覚だもんなぁ。。。

別れがあんな形だっただけに、何かただ悲しいだけじゃない複雑な気持ちです。

 

思い出はあまりにもあたたかくて……どうせロザリーの身代わりにするならそんな優しくするなよって気持ちでいっぱいだった……。

1巻でのロザリーのお母さんの「あなたが身代わりになれば」は忘れられません。思っていても口に出してはいけなかったと思う。それを止めたお父さんについてはまだ好感が持てるというか。

 

養親とはもう2度と会えず、そして今回やはりロザリーにもブライトとはまだ顔を会わせず。……分かってるよ、きっとそうだろうと思ってた‼www 何かその展開が性急じゃなく1シーン1シーンをじっくり深く掘り下げてから次へ行く、というこのスタイルが私は好きです。……とか抜かしてるから前回急な帰還で目ん玉ひん剝いてるワケだ……www いやアレはロイドが勝機を逃さなかったが故なんだけど。

 

そんなロイドのセリフ、今回は

「永遠にするな。あなたの現在(いま)と未来までその男に捧げるな!」

……が、個人的には1番刺さったなぁ……!!!(泣)(泣)(泣)

 

本当にその通りなんだよ~~~~~(泣)。ロイド本当にウィステリアにかけてほしい言葉で的確に刺してくるからロイドってほんとロイドT ^ T(※語彙力)

激しい嫉妬だったり、ウィステリアが理不尽に晒され続けることだったりと、ストレートな怒りを顕わにするロイドに、やっぱり怒りって感情大事だな、と改めて思いました。

それでいてこのセリフ、ウィステリアほどの苦境に立たされていなくても刺さるんだよなぁ。。。

 

にしてもロイド、勘がいいし頭もいいしだけどウィステリアの想い人が自分の父親であることには本当に気が付いていない? これ何だか気になるんだよなぁ。。。ベンジャミンだと思い込んでるのかやっぱり自分の身近な人間は自然と候補から外してしまうものなのか。

どっちにせよこっちの世界に戻って来た以上、彼が真実を知るのは時間の問題……10巻ぐらいでかなぁ……(※長めに見積もってまだかまだかとならないようにするスタイル)。

 

ロイドの言うようにウィステリアの中でブライトが半永久になっているのは、やっぱりウィステリアの人としての心を殺したのがブライトでってのはあると思う。……ウィステリアはロイドが同じ顔、声だからと書いているけれど、でもウィステリアはロイドをブライトの代わりになんてしていないしなぁ……。

彼女がこれから、少しでも自分の心が軽くなる答えに辿り着けますように。……ぶっちゃけこれからウィステリアと接触する“人間”が増えるということで、多分心の苦痛が跳ね上がると思うんだけど……www ひとまずルイニング家から慰謝料ふんだくれば良くね?(真顔)←

 

そんな感じで今回もシリアスな中やっぱり私はサルティスが好きだ……www 自己肯定の語彙力が今回も凄まじい( ̄▽ ̄)

そしてウィステリア目線で綴られるこの世界の美しさに惚れ惚れと読み浸っておりました。永野先生も実は20年以上異界にいたのでは!?!? ……と思ったくらい、久々に帰還した人間の目に映る世界は生き生きとしておりました。養親の死を知ってそれすら翳るのがこれまた繊細に描かれているなぁと。。。

 

恋した人は、このラノ1位おめでとうございます!!! シリアスの民の結託力は凄まじいと今回改めて思い知りました、ちなみに私も投票していました。←

それでいて、どうだ、こんなにも面白いんだぞ!!! ……と、何だか私がドヤ顔してしまいます(笑)。いやいや、書いている永野先生やこの作品を世に出してくれた出版社さんらが偉いんですけども( ̄▽ ̄)

6巻、楽しみに待ちましょう!!!

 

余談。
久々にサルティスの生娘みたいな悲鳴聞けてよかった。←

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