鞭展開度:★★★★☆
反逆精神‼‼:★★★★★
愛が欲しい:★★★★★
【あらすじ】
歌で自然を操り魔物から人々を護る“楽師(カンタンテ)“。中でもエルネスティーヌは誉れ高き<歌姫>として君臨していた。しかしある日、魔物に歌声を奪われてしまった上に反逆の疑いをかけられた彼女は、事件解決まで聖フィデール楽院に身を隠すことに! なのに、超堅物優等生のオリヴィエに「音痴は今すぐ退楽しろ」と脅されて― !? 不協和音が奇跡を起こす?
先日こちらの作品を取り扱った紹介記事を再掲しまして、それをチェックしてたら読み返したくなって読み返しました‼ いや自分に布教してどーするwww
久しぶりに読んだのですが笑いとシリアスのバランスがすんごいです。とりあえず主人公の名言(?)日めくりカレンダーが欲しい(`・ω・´)
以下ネタバレあり↓
魔物に美しい歌声を奪われ音痴になって、プティ・エトワールの座を追われ、隠れ住むことになった学校で同級生たちからその音痴と性格・口の悪さから嫌われるという超ド級の展開。……結構ツライこと多いな!?!?www
しかしそこでへこたれないのが我らがイヴリーン・シラクなのです(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
音痴になったのは本人のせいじゃないんだけどそれを指摘された時のブチギレがあまりにもよろしくなくて同級生たちから冷たい目を向けられるっていうね……うん、ここはイヴが悪いです……www
いや~、ここまでキャラが濃い主人公久々に浴びた気がする、最早懐かしさすら覚える( ̄▽ ̄)
しかし改めて読み返してみると主人公だけじゃなくてみんなキャラ濃いんだよな……特に教師陣……え、〈楽師〉ってもしや全員変わり者……?(今更な気付き)
個人的にはゴメス先生とザザちゃんあたりが特にお気に入りです(`・ω・´) あとイヴの音痴強制特訓に付き合わされた先生、本当にお疲れ様でした……( ̄▽ ̄)
そう、イヴはまさしく努力の天才なのです。その反骨精神を以て美も礼儀作法も勉強も叩き込む。そして馬鹿にしてきた奴らを跪かせる。だからこそ今の自分が誇らしい。
何と言えばいいのか、本人生まれは決してやんごとなくはないんですが、プティ・エトワールとしての矜持、国王陛下に報いたい気持ちから生まれる気高さが美しいですよね。そこにお貴族様じゃなかったからこその負けるかこんちくしょうという根性もいい塩梅で混ざり合う。
……それがめっちゃ上から目線で口がめちゃクソ悪いにもつながっているという……www
いや~、このきちんとルーツがあっての整合性とギャグのバランスがたまらない( ̄▽ ̄)
その努力の描写があるのもすっごくいいですよね……!!!
図書館に毎日通い詰めだったり、イヴのほんとの意味でのDeathボイス(※失礼)を浴びたくなくて隠れ逃げ惑う教師をとっ捕まえて無理矢理レッスンしてもらったり。……あれ、生徒が教師に無理矢理授業やらせるパターン新し過ぎん……?ww
そういう過程というか、修業パートを見るのが大好きなのでこのあたりめっちゃうれしかったです(。-_-。)
そしてそんな彼女とある意味めちゃくちゃ相性がいいのがリュクシオル‼‼www
……スゲェ、久々にケンカップル見た……とこちらも感動(笑)。……あと、2人とも結構コンプラに引っかかりそうなこと言ってて私はヒヤヒヤしましたよ……www でもムジカ大陸ならそれもオッケー☆←
それでいて、こんだけ喧々しときながら惹かれ合うのも分かるっちゃ分かるのがすんごい(笑)。
あと、実は2人とも相手の衒いない笑顔に心臓やられてたのか~て気付いてニヤニヤしちゃいました(。-_-。) 似た者同士だ(。-_-。)
でもリュクシオル、お前は手早いぞ(真顔)。
話は変わりまして、読んでみて改めて思ったのがこの設定、めちゃくちゃ好きだ……!!! ということ。
〈楽師〉にラー・シャイ、音を愛する双神によってこの世のすべてが音より編み出されたという神話。
歌と魔法が密接に絡まっていてワクワクが止まらない(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ それでいて魔法学園モノが大好きなので楽院生活の描写がこれまた楽しい✨
今回特に印象に残ったのが、リュクシオルの〈詩人〉としての描写。細剣を払いながら朱金の粉を撒く。呼びかければ粉は火の玉に変じ、剣身に吸い込まれる。彫られていた文字が燐光を帯び剥がれ落ちる。光る文字が音色を奏で浮遊する。それが詩の視覚化。
もう想像するだけで楽し過ぎる(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ 歌なのに剣が出てくるとかカッコえぇ!!!
イヴをただ高飛車最強娘として描いていないところも本当に好きです。
根底にあるのは、愛したい、愛されたいという思い。特別なものが欲しかったワケじゃない。
そんな子だからこそ、プティ・エトワールとしての力がない自分を責めて心をかき乱す。周囲に嫌われても平気だったのに、ラー・シャイから民を守れなくなったと突きつけられて初めて涙する。
だから最後魔王の誘惑に屈しそうになる。ひばりも失ったから、なおさら。
昔のイヴ――エルネスティーヌだったら屈しなかった、っていうのがこれまた深い。だって他人に期待などしなかったから。でも今は違う。
ただのイヴとしての、居場所を見つけた。ここだと声高に叫ぶ人がいる。共に歌ってくれる仲間達がいる。
そんな彼女が、魔王から歌声を取り戻すことを求めず、今度は自分の意志と努力でプティ・エトワールを目指す。それがイヴらしくてとても格好いい。
国王陛下たちとイヴの、家族としての在り方がすごく好きです。ヴァランタンはイヴのこと1人の男として好きなんだけどね。それと今回読んで初めて思ったのですがもしかしてソンジャンテもイヴのこと好きだった?
ひばりとイヴの関係も大好きだったよ。でもこれは親離れ子離れみたいなものなのかもしれないね。
とりあえず、イヴの声こそ返ってこなかったものの魔王の脅威は(一旦は)去り、同級生たちとも軽口を言い合える仲になり、リュクシオルとは……と、すっごくイイカンジでまとまったんだけど。
2巻の冒頭で「マジかお前(真顔)」になるという。うん、そりゃ続きも出るのかっていう。
とんでもないことになるんだけど、ひとまず今はこれでめでたしめでたし。
余談。
「奥歯ガタガタ言わす」ってホント何(真顔)。

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