『春夏秋冬代行者 秋の舞 上』(暁佳奈/電撃文庫)

電撃文庫

鞭展開度:★★★★★
業と傷:★★★★★
この手を離さねば:★★★★★

【あらすじ】
「汝の名は『秋』、夏に続く者」――
 かつて、神々たる四季は人間の一部に自らの力を与えた。春夏秋冬の季節を顕現する者は“四季の代行者”と呼ばれ、権能を得た者達は、人の身でありながら季節そのもの、つまり現人神となった。
 時は移り変わり黎明二十一年仲春。
 大和国の秋の代行者、祝月撫子は春を満喫していた。傍らに控えるのは護衛犬の花桐、侍女頭の真葛美夜日、若き側近の白萩今宵。そして撫子の初恋の人であり、代行者護衛官でもある阿左美竜胆の姿があった。彼らの和やかな日々は、ある外交問題によって突如霧散していく。
 彼の国の名は橋国。海を挟み、大和から遠く離れた場所にある異郷の地。
 陰謀蠢く橋国からの要求は、秋陣営をかつてない窮地へと追い込んでいく……。

遅ればせながら読みました、秋の舞。……そしてやっぱり……季節の代行者の話はより重い……‼‼(汗) 加えて今回メインと言える秋の代行者2人が幼いのでなおさら胸が痛みました。それでいて本当に個人個人、環境ひとつひとつを掘り下げてくれる作品だなと改めて。

大和の代行者達のチームワークが頼もしい反面戦いも激化していてどう走り抜けていくのかと本当に読む手が止まりませんでした。

 

以下ネタバレあり↓

 

 

 

 

 

いや撫子の親~~~~~(汗)(汗)(汗)(汗)(汗)。

もうこれはフォローできないまごうことなきアレ……小説の中で明言していなかったので私も書かないけどまごうことなきアレ……(汗)。

「まあ、そうなのね。りんどうもやまにすてられた?」

……ココで竜胆と心情が完全一致したと思う……。この時の周囲の音が一瞬消え失せたかのような衝撃たるや……。撫子が無垢に無邪気に尋ねてくるのでなおさら、後から後から痛みがしみ出してきます……(泣)。

 

そんな撫子が今回大和どころではない過激な賊がいる橋国に行かされるわ竜胆から離れなくてはと追い詰められるわラストは目の前で竜胆と真葛さんが撃たれるわ本当に世の中がクズ過ぎる(怒)(怒)(怒)(怒)(怒)。

いや撫子が自立しなくてはと追い詰められた件は……竜胆パパ気持ちは分かるけどロケーションだけ良くなかったな~~~~~(汗)。あ、里と教会と賊はクソです👍

 

にしても、橋国の賊の過激さは本当にスゴイですね。。。冬の代行者が拷問されて力を開放して亡くなったという1件だけでもグサグサ刺さりました。……しかもまだ18歳の子なのが本当にやるせない……。

アメリカがモデルなんだろうこの国の文化はいろいろと興味深いところがあり楽しかったのですが、こうした事件はアメリカでもあるものなのでより現実味が感じられました。……あとここまで読んできている代行者読者なら分かると思うけど絶対撫子巻き込まれるやんていうね……(遠い目)。

 

撫子といえば、今回秋の代行者の能力についてさらに深堀りされましたね。前に四季の中で秋の能力が1番お気に入りといったことを書いたのですが撫子的には笑えないよねホントごめん‼‼(汗)(汗)(汗)

護衛官を無理矢理生かすというのがなかなかに酷。それは主従どちらにとっても。菊花が竜胆をあそこまで心配するのも分かる、撫子がそれにショックを受けるのも分かる……。しかも春の舞の際無意識に人を殺していたということまで判明。……ちょっと待って成人している身でもこの情報量ヤバイのにそれを撫子が突きつけるというむごさ‼‼‼(汗)

 

何というか、今回改めて思ったのが主従だったり代行者達みんなだったり、お互いを思いやるが故にちょっとまわりくどくなっちゃうというか後手にまわっちゃうというか。心があったまる反面「(この中の)誰も悪くないのになぁ。。。」と切なくなっちゃう。でも里よりも絶対いいからいいか!!!←

 

そんなチーム大和四季、橋国に撫子達秋の陣営だけでなく夏・冬も来てくれるという激アツ展開!!!

これマジで震えました(。-_-。) 代行者は毎巻いろんな組み合わせが見れてめちゃくちゃ楽しいですね(`・ω・´) そして雷鳥さんは竜胆と仲良くなれるといいね。

何か上手くいってなかった瑠璃と狼星が話せるようになってきていて、教会ではナイスコンビネーションでエヴァンを追い詰めていてとてもアツかったです(`・ω・´) あと狼星の季節の祖を担い敵に対して容赦ないところ改めて好きです。“あの時”のことがあったからこその今だというのがまたアツい。

凍蝶も先輩護衛官としてとても頼もしいですね。こんな上司、いてほしい……!!!(笑) 特に撫子に拒否られてショックな竜胆に(マジでココ竜胆かわいそうだった……( ̄▽ ̄;))「撫子様の機微がわからなくても諦めるな」と言っていたのがカッコイイ。

今回は月燈さんも一緒。輝矢様とのやり取りが短かったけどあったのがよかった(。-_-。) 「我が国の秋、お可愛らしい……」てセリフ好き。それな!!!www 月燈さんと輝矢様の関係に気付いていない竜胆とそんな竜胆を無視する凍蝶が思い出されます( ̄▽ ̄)

 

さてさてこの流れで今回初登場のリアムについて。本名ルカ・フォックスですね。

……思ってたより生意気だったー!!!www いやそうもなるよねってなったんだけど。

何か、表紙イラストでの感じだと大人しそうに見えてたのでついギョッとしてしまって……いやコレがいかにも口が悪そうな狼星だったら口が悪くても驚かないんだけど……(※失礼)。

 

大和の今の代行者達の状況より遥かに悪い環境にいるんだけど、何だろうな、撫子とリアムとで手にできているものが真逆なのがこう……どっちも切ないなというか……。

主に親に関してなんだけど。撫子の親は撫子に無関心、でもリアムは少なくとも両親は今もリアムを、いやルカを愛している。

撫子は護衛官がたくさん愛情表現してくれていて、リアムはジュードとの関係がまだ築けていない。撫子に触れてくれる人はリアムに比べるとたくさんいて、リアムはジュードくらいかな。他の代行者達と連携が取れているのもリアムからしたらうらやましいところなのでは。

とはいえ、リアムは撫子にあたるようなことはしていませんでしたね。いい子だよ。。。

 

……それでジュードはどういうこと!!!!!!(汗)(汗)(汗)

鍛え抜かれた(※多分)代行者読者なので「あ、この流れハメられてるな」とは思ってたけど。お前の真意が!!!! 1ミリも読めん!!!!!(汗)

子どもの前で人を撃ったってのがもーヤバイです。いや人を撃つのも!!!! ダメだけど!!!!!

 

そんな感じで、悶々としながらなんとか感想を書いています。コレ書き終わるまで下巻ガマンしとるんですよ……‼‼

多分竜胆達息はあると思うんだけど、大和陣営から死人が出るのが避けられない状況にまで来ているので覚悟はしておきます……(泣)。

そろそろガマンの限界なんで感想終えて読んできます。

 

(※ここから下巻も読み終えて落ち着いてからどうしても書きたかったこと(下巻のネタバレは含みません))

リアムが撫子に求婚するシーンがありますが、あれを誰も、というかストーリーそのものがまったく茶化していないのがとても好感が持てました。

おとぎ話でそんなのがあったり、ラブコメでもそんな展開があったりする。それはエンタメとしては面白い。それはそれでいい。

でもリアルに考えるとアレって恐怖なんですよね。『春夏秋冬代行者』はそちらに落とし込んでいる。

だから撫子はリアムに求婚されてザッと青ざめてたし、大和側は過保護って意味ではなくそれは侮辱だと殺気立ったし、そもそもリアムだって大人達からそう言うよう仕向けられていたし、撫子がリアムと友達になりたかったんだと知ってリアムは「それならなおさら言いたくなかった、友達になりたかった」と言っている。求婚そのものに大人達の汚い意図が絡みついているというのも、本当にマジアイツら許さねぇなんだけど、納得はできる。

このシーンはすごく印象的で、大和側の善良な大人達の真摯さ故の怒りがとても良かったなと思ったのでした。

 

余談。
佳州の冬、会ってみたい……www

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