鞭展開度:★★★★☆
生者の醜悪さ:★★★★★
向き合う努力:★★★☆☆
【あらすじ】
方士の素月は、幽鬼を祓うことが生業だ。今回の仕事はひどい家鳴りの調査。屋敷では若い夫婦と、その幼馴染の男・耀天が待っていた。
方士を敵視する耀天に見張られながら、素月は悲しげな女の幽鬼が原因だと探り当てた。幽鬼に導かれ地面を掘り返すと変死体が見つかる。――彼女の遺体らしい。
耀天は「この先は俺の仕事だ」と言う。彼は捕吏、犯罪を取り締まる役人だった。仕事を取るなと憤る素月も譲らず、二人はともに屋敷の前の持ち主を訪ねるが――。
人間嫌いの方士と敵を追い続ける役人が挑む、中華ファンタジー。
(私にとっては)新しい作家さん、新しい作品を開拓できました✨ 中華モノで後宮モノじゃないのを求めてた!!市井で人外関連で働く女の子を見たかった!!! ……その願いが見事に叶った1作です(。-_-。)
主人公の少女・素月がこれまたいい味を出してるんですよね。女の子主人公には珍しい倫理観でそれがまたこの世界を盛り上げているようでとても面白かったです。
以下ネタバレあり↓
というワケで人を殺した者に報復を進める女の子主人公・素月です。
彼女の生い立ちを考えればそうなるのも当然でしょう。幽鬼が見える前も後も、生きている人間の醜悪さを嫌と言うほど見てきているのですから。そしてそんな愚かな人間達に殺されかけているのですから。
多分、どんなに傷付けられても怒りより辛さが勝ってしまう人間というのもいると思っています。その一方で、素月は怒りや憎しみを抱えているんですよね。前者も好きですが、後者も好きです。
そんな彼女と似通った点がありつつも”綺麗事”を貫くのが耀天という男。……これは彼の師匠がすごいというのも言える。
表紙イラストを見てもっと優男なのかと思ってたら結構口が悪かったwww 初対面での印象も最悪ですね。まぁこれはお互い様だけど( ̄▽ ̄) でも耀天の方が先に失礼だったかな~ww
そんな彼ですが芯の通った気持ちのいい男で何というか、律義。いい人。(笑)
この2人、相性最悪のところから始まりますが根っこに“復讐心”があるのは確かなんですよね。ただそのベクトルが違う。それがまた面白い。
素月は身勝手に人を殺した人間は報復を受けたって仕方ないよね、というスタンスで、むしろそうすることをどこか期待している。
対する耀天は、殺したいほど憎い人間がいるし身勝手に人を殺した人間も許しちゃいない、けれどその復讐は法のもとに裁かれることにある。
耀天と愉快な仲間達(笑)に感化されて素月が徐々に許容範囲を広げているのがほっこりでした(。-_-。)
しかし事件ひとつひとつは凄惨で醜悪です。
その中で1つ、冥婚というワードが出てきておっとなりました。たまたまつい最近、ちょっとだけ調べてたので。
私が調べた内容もこの作品とほぼ同じでした。未婚の男女の死体同士を夫婦とするというもの。……そしてその為に死体が高値で売れる為に殺される事件が多発しているというもの。
私はネットで調べただけなのでどこまで本当か分かりませんが、そうした風習、殺人事件が中国の田舎だと今もあるとその記事には書かれていてこの『月華の方士』での事件もファンタジーだとか昔のことと割り切れないのでした。
事件ひとつひとつに悲しみも憤りも込められていて、そんなところもこの作品の推しポイントの1つです。
そしてお気に入りポイント、かなり細かいんですが他にもいくつも。
まず、素月が大食らいなのがとても良い(笑)。方士としての力を使うと血糖値下がるんですかね~( ̄▽ ̄) あと死に触れる作業だからその分生に食らいつくように食欲が増すとか? 他の(本物の)方士も大食漢なのか是非知りたい。
冥婚の事件にて、囮作戦でいこうというところ。そこで「女が襲われてる事件で女は使わない」と素月や自分の部下の女性陣ではなく雷文に任命する耀天が良識あり過ぎる。ちゃんと男ででも女に見えて戦える人員を指名するのとても良かったです。
そんな雷文も危ない目には遭うけれど耀天は最速で助け出せていると思います。いい人(真顔)。
その後犯人の屋敷が燃やされるシーンにて。
人に焼き殺されかけた素月が火にトラウマがあるのは当然のこと。そこで火を無理矢理克服する展開なんじゃなくて、自分にできることをする。……すなわち下男を取っ捕まえる‼‼(笑)
これがとても自然で良いなと思いました。自分にはまだできることがある、止まるな、と動くのが人間くささの中にある強さを感じて印象的でした。
……後は、アレかな……麗雪と水藍って年いくつなんだろ……www
まずは全員のキャラビジュが是非見たいところ(`・ω・´)
そんなワケで、1巻は素月、耀天と愉快な仲間達に加入‼(※雑)という感じできれいに終わっていたんですが、解決したっぽい事件の中にちらほら謎が残されているんですよね。そのすべてがこの物語の核心につながっているのかもナゾ。……う~ん続きプリーズ‼‼www
男女の色恋無縁なやり取りをお送りしてきた素月と耀天ですが(それも好きww)、ラストでの素月の初めての表情に耀天が動揺してるっぽいのがニヤニヤ案件でしたね(。-_-。) この微糖具合、イイ……!!!
そんなワケで、いろんな謎を紐解いていく様を見届けたいし耀天と愉快な仲間達のことももっと知りたいし素月・耀天の凸凹コンビがどうなっていくのかも眺めていたい……‼‼
出版社さん、是非続きを‼ ということで、ここは結びたいと思います。また素月達に会えますよーに(。-_-。)
余談。
耀天・朱清・高蕾の幼なじみ3人組のことももっと知りたい……(。-_-。)

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