鞭展開度:★★★★☆
独りじゃない:★★★★★
追いかける!:★★★★★
【あらすじ】
自分の心を奪った天才、エイディの隣に並び立つ。『精霊歌士』として――。野菜しか作れない落第生のメロウは、“砂漠の王子様”と呼ばれる問題児のシャーディー、臆病すぎるリーリという個性的な補講仲間と力を合わせ、数々の課題を乗り越えてきた。だが、最大の難関が。なんと、精霊歌士になるための最終試験を審査するのは、幼いメロウを捨てた母親、王国の女王その人で…⁉ 王道ラブ・ファンタジー、感動のフィナーレ‼
とうとう精霊歌士最終巻感想です。
ここまで読み返してみて、改めてこの物語が大好きだ!!! ……と実感しました。感想を全巻上げられて本当によかった。
初めはただ歌が好きだった。そこから、自分を捨てた母親を見返す為に追いかけた夢。天才に出会い、追いかけたいと望み。自分の作る野菜で喜んでもらうことを知って。友達ができて。果たして彼女の夢と恋はどう歌い上げられるのか。
以下ネタバレあり↓
こんなに甘々で付き合ってない……だと……(真顔)。
そう思ったのは私だけじゃないハズwww 前回の恋の自覚と“すごいこと”をされてから、そりゃこうなるよなという甘々ぶり。もーぅたまらん(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
まだ素直にはなれなくて、でも態度では好きだと訴えているようなメロウが愛らしく、エイディの蠱惑的に甘やかす感じもたまりません。電車1本しか遅らせない、と言いながらもう1本遅らせてるのがも~ぅという感じでした(。-_-。) あとエイディは普段のねむねむな感じも好きです、かわいいし面白いww
ただ、このじれじれ具合ってメロウが明言を避けてるからっていうのもあるけど、最後の方読んでてそれはエイディも本当は臆病になっていたからなのかな、とふと思って何か、あぁ……となりました(泣)。
エイディの天才ぶりというのは、もちろん歌唱力だったり表現力だったり、声そのものの魅力だったりとあるんだろうけど、それ以上に細部までこだわり続けるしその為に時間を惜しまない。そんなエイディの隣には、誰か人が置かれたとしてもすぐにいなくなる。
メロウがエイディにかける思いは歌も恋もこれ以上ないほど本気なのに、いなくなられることに慣れ過ぎて精霊歌士試験直前でさえメロウがいなくなった可能性を考える。
この2人は恋と歌が切っても切り離せない関係に思えます。だから、エイディの方もぐいぐい攻めているようで少し引いていたところがあったのかな、と考えてみたのでした。
……いやあのボンクラのことだからそれは違うだろって言われたらあぁそうですよねともなるんだがwwwwww
まさかの精霊歌士試験終わった直後、メロウの一応はお母様も観客も大勢いる前でのキス。……そりゃラヴィも飛びかかるって‼‼wwww ミミ審判、これはさすがにアウトではないでしょうか……( ̄▽ ̄)
そんなワケでラヴィについても。
実は、この物語を通して変わっていったのは、メロウやエイディもなんだけどラヴィもなんだな。
3巻読んでて、女王とラヴィと主張はあまり変わらないんじゃないかと思いました。メロウがこれ以上傷付かないよう、茨の道を避けさせようとしていたんだなと。
でもそんなラヴィも変わる時が、変わらなくてはならない時が来たんです。
「本当は分かるよ。メロウが怖くてたまらないことくらい。まだ、自分を信じられずにいることくらい――でも、ボクが信じたら、メロウはきっと信じるよな」
ここの展開、正直唸ったわー……!!!(笑)
いやもうずっと唸りっ放しなくらい展開が面白くって仕方ないんだけど、そうか、ラヴィが精霊樹の種になって、その眠りを覚ます為にも歌わなくっちゃいけないんだと。
ラヴィとメロウにひどいことしか犯人2人は本当に許し難しなんだけど、このあたり本当に唸らずにはいられなかったんだわ(笑)。
そういえば、犯人って何で“男”2人だったんだろ……⁉ この試験って、男女ペアだったハズ。そして犯人は2人とも予備学生。それで奪い取ったのは種1コ。犯人が男女2人組ならまだ理解はできるんだけど、男2人……何故……?
……と、何度も読み返していたのに今回初めて謎に思ったのでした( ̄▽ ̄) 新たに疑問が湧いたのがうれしくて思わず書いてしまったー……‼www
まぁ、犯人たちの事情なんざどうでもいいところなんだけどさ!www(裏事情あるんだろうなぁ。。。)
火事の時の犯人といい、ちゃんと逮捕されてるのでオッケーです(`・ω・´)
それにしても最終巻、ホントにいろいろあったなー……!!!
ぶっちゃけ精霊歌士試験だけでも大事なのにお店の経営拡大からの火事でお店ができなくなっちゃって、ここに来て母親とも向き合うことになって、補講仲間の2人とバラバラになって……。すごいボリューム‼www
それでいて、何て言えばいいんでしょう、メロウ達をあくまで“子ども”として取り扱ってるのがとてもいいなと思いました。侮っているのではありません。未成熟な彼らはまだ保護が必要なんです。
メロウにはメロウのやるべきことがあって、その外のことは大人達が片付けている。その描き方が新鮮で面白かったし好感が持てました。主人公に何でもかんでも見せたりやらせなくていい。RDGを思い出したなぁ~。
……んだけど、女王はメロウが“女王の娘”だからそれに寄って来る敵をおびき寄せる餌にしていたというしんどい展開。
メロウからしたらたまったもんじゃありません。自分を捨てたくせに、再会した途端いい母親ヅラをしていたクセに、戦争(死人は出ていませんがこれはハイル・アルアドルや反女王派との戦争です)に利用できるところは利用する。
その上「貴方は精霊歌士になれない」という死刑宣告。……す、すんごい。
ただ、この永瀬先生の他の作品『赤と黒の針騎士』『嘘つき婚約コンチェルト』でも思ったことなんだけど、この方の描く主人公とその実の親との厄介で複雑な親子関係、めっちゃ好きなんですよねー……!!!
普通の親子ほど時間を共有しておらず。決して仲がいいとは言えず。いろいろと事情や私情があってこじれまくってて。最早敵対しているとまで言えることさえもある。
でもそれだけじゃない、何とも言えない良さがあるんです……!!!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ マジで語彙が足りなくて説明し辛い。でも甘くないその関係性にシビれること間違いなしなのです(`・ω・´) 情もないことは、ない。
そんなワケで、今作においてはあなたの思い通りにはならない、私は私の夢を叶える、と宣戦布告するメロウは本当に格好よかったし、成長したなぁと感慨深かったし、それだけメロウがたくさんの出会いと学びを得たんだなとうれしく思いました。
試験に合格したメロウを決してふり返らない女王もまたいいんだこれが……!!!
彼女達らしい母娘関係が、これからちょっとずつでも築かれていくんでしょう。
話は戻してメロウとエイディについて。
こういう男女が!!!! 私は好きなんだ!!!!!
……今回改めて実感しました(笑)。優等生で甘やかさない男と劣等生ながらそんな彼を一生懸命追いかける女の子という組み合わせが。最高です(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
「助けて欲しい? 違うよな。メロウは難しいよ。何でもしてあげたいって思うのに、何にもさせてくれない。けど、何でもさせてくれるような女の子なら、俺はきっと何にもしたくないんだ。俺は我が儘だから」
ここに私の“好き”が詰まってるー……!!! 甘いけど甘くない、最高です✨
それでいてメロウをあのいかがわしい店からエイディが助けてくれるシーン。
まさかのスパルタ音楽レッスンに変わるのエイディらしいけど予想外過ぎる……www そしてそれについ負けるもんかしちゃうメロウね‼ この2人相性良過ぎるんだよなぁ……!!!
あとエイディに着せられた彼の上着にちゃんと袖を通すメロウが何か好きです( ̄▽ ̄)(笑)
それでは補講仲間ズについて。
メロウは!!!! シャーディーにたくさん感謝してね!!!!!(汗)
メロウとエイディの関係が本当に好きだしメロウにはエイディ、エイディにはメロウしかありえないぐらいなんだけど、それとメロウの鈍感さが相まっていちいちシャーディーに残酷な仕打ちをしとるんよ……‼ 私は結構ナセルと一緒にあわあわしていたかもしれない……www
ただ、最後の1個の精霊樹の種をメロウにあげちゃったことについてはシャーディーはメロウに知られたくないんだよね。彼なりの格好つけというか。だからメロウが知らないのは当然なんだよなぁ。。。もちろんそれを分かってるからリーリやヴェルクも余計なお節介までは焼かない。
それに、あの時に彼なりにすっぱりあきらめられたというか、友達としてはどこまでもまっすぐに想ってくれているメロウへの恋のお別れの儀式になったのかな、という気がします。キツかったろうなぁ。。。本当によくがんばった、シャーディー。それでいてリーリが保険になってくれていてよかったね⁉www
そんなリーリについて。
この子もいろいろ板挟みで気まずかったろうな~と💦 メロウがシャーディーのいるところでエイディへの無意識の「好き」を吐露する度に、シャーディーを気遣わしげに見ていたように思います。自分なりに恋を経験しているリーリはそういったことに敏感なんだろうね。その恋が苦い結末に終わってるから、余計に。「いやメロウが気が付かなさ過ぎ」と言われればそれもそう(真顔)。
リーリが自分とシャーディーは友達とは言い難い、自分はメロウのおまけと捉えるのもよく分かる。。。しかしシャーディーはすんなり彼女を「ダチ」と言い、困った時は助けてくれます。メロウとペアが成立した時もリーリに仲間外れみたいにしてごめんと謝っている。
そんな、好きな子のことばっかり考えるんじゃないシャーディーだからこそ、リーリは助けたいと思ったし(彼女もメロウばっかしじゃなくてね)、最後の方ちょっと惹かれてたのかな、と思います。
にしても「シャーディーは絶対フラれるから(※とりあえずここは試験を受けるペアという意味だけということで……ww)その後ペアになれるようにレッスンを積んでおく」って姿勢、スゴ過ぎるwwwwww ある意味これもお金のこといろいろできるリーリならではなのかな~。。。担保っていうか( ̄▽ ̄)
リーリ・シャーディー組の精霊歌士試験での様子も見たかったなぁ……!!! 衣装もあのヴェルクが用意したものなので絶対素敵に決まってる(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
とりあえずリーリのことをそっと応援しておきます(。-_-。)
それから補講組は!!!! ヴェルク先生にもっと感謝してね!!!!!www
そりゃ2巻の時は感じ悪いところもあったけど(いやめっちゃ感じ悪かったな……www)、あんなに親身になってくれる大人なかなかいないよ⁉www めちゃくちゃ屋敷にも居座ってるけどあんなん1部屋1時間レンタルするだけでもいくらになるんだか……リーリはそれも分かってて居座ってる気がするなお得なのより分かってるから……www
もちろんそれだけに限らず、シャーディーの後見人になってくれたり女王のメロウへの仕打ちに対して怒ったりとこんなのもう保護者です。私は感動していたよ~✨T ^ T✨
まぁ多分、もっと大人になったら分かるんだろうなー。。。彼らの付き合いはこれからも続いていくんでしょう(笑)。
そうそう、今回はメロウのお店や歌のレッスンを補講組とエイディと4人でやっているのが新鮮であり微笑ましくもあり。
エイディもうれしそうだったもんなぁ~。……あとシャーディー、多分エイディのあの馴れ馴れしさは男友達できてうれしいってのもあると思うぞ……www
カーチス、エルダもかなり好きです。2人ともタイプは違えど、子どもを教え導く善き大人だと思います。カーチスはメロウの為に女王に怒ってくれたし、エルダは規則を曲げてメロウを母親に会わせてくれた。
「大人になろうと急ぐ必要はない。つまらないからな」
というエルダの言葉が、今回は好きでした。
あと、この2人も結構いろいろあったんだなぁと……!!! 彼らの学生時代の話ももっとくわしく知りたいぐらいです、もちろんクラウ兄ちゃんも交えて(笑)。
そうだなぁ、それから挿絵について。
最後の挿絵の構図たまりませんよね……!!!
メロウの「1年」が象徴されてて最高。待つんじゃない、バカにしないでって追いかける女の子は本当に格好いいです。なのに涙目なのがこれまた愛おしい。
エイディとの体格差や手の大きさの違いもたまりません。メロウは果たして、エイディにどう伝えたのか。それがエイディのみぞ知るなのもロマンです(。-_-。)
扉絵の
「エイディ。お願いがあるの――本気で、歌って」
「……俺、追いつかれたくないって言わなかったっけ」
が状況もイラストも本当に好きです。衣装も素敵(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
それから、エイディと女王が歌っていて(女王、若……!!!)それをメロウが荒んだ目で見つめているあの表情が印象的でした。どれだけ心をかき乱されたのか痛いほど訴えてくる。
そんなワケで、読ませてもらいましたメロウが夢を叶えるまでの物語――スタート地点に立つまでの物語。劣等生の、劣等感の強い女の子が負けるもんかと強がり、抗い努力する話が好きです。弱いところをさらけ出すハメになって、それでも周囲の助けを借りながら自分の力で前に踏み出す話が好きです。そんな愛おしいところをすべて詰め込んだこの物語に、改めて。感謝を。
正直ここから先の話も読みたいけどね……!!!(笑) 晴れて精霊歌士となったメロウがどんな精霊歌士になったのか、約束の“1年”をエイディのいない中どう果たしたのか(今の彼女なら七転八倒しながら叶えるのでしょう)、他のみんなはどんな風に日々戦っているのか……。そのくらいみんなのことが大好きになりました。
では、また他の感想で。
余談。
今回から再掲でもブログストップしていた間に書き溜めておいたストックでもない記事だ!! 何かやったー!!!(笑)

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