『魔女に首輪は付けられない』(夢見夕利/電撃文庫)

電撃文庫

鞭展開度:★★★★☆
裏切りは蜜の味:★★★★★
魔女に首輪は。。。:★★★★★

【あらすじ】
☆☆☆応募総数4467作品の頂点! 第30回電撃小説大賞《大賞》受賞作!☆☆☆

 貴族階級が独占していた魔術が大衆化するとともに、犯罪率が急増。対策として皇国には魔術犯罪捜査局が設立された。
 捜査官であるローグは上司ヴェラドンナの策略により〈第六分署〉へと転属。そこは、かつて皇国に災いをもたらした魔女と共に魔術事件を捜査する曰くつきの部署だった。
 厄災をもたらすまでの力を有するが故に囚われ、〈首輪〉によって魔力を制限された魔女たち。だが、〈人形鬼〉ミゼリアをはじめ、魔女たちはお構いなしにローグを振り回し――!?

「どうする、ローグ君? 手段を選ばない方向で検討してみるかい?」

魅力的な相棒(魔女)に翻弄されるファンタジーアクション!

タイトルが印象深く、また魔法絡みの事件!! 人外女子!!! ……と、大喜びで食いついて読ませてもらいました(笑)。

いいですよね、こういう善性の刑事と大犯罪者とのタッグ……!!! そしてタイトルの文言を何度も噛みしめることになりました。

 

以下ネタバレあり↓

 

 

 

 

 

私は普段女性向けの小説を読んでたり乙女ゲームをプレイしてたりするので、そういった視点も交えてお話しますね。そういった観点込みでですが……、

めちゃくちゃ面白かった!!!(笑)

 

私、人と同じような姿をした人外がやっぱり人間とは異なる思想を持っている怖さ的なのがかなり好きでして。それが女性向けですとやはり主人公の女の子が人間で人外は男性、というシチュエーションに出くわすことが多いです。

なので、人外女子をどう描くんだろう……!!! と大いに興味をそそられて読んだ次第です。そしたらちゃんと魔女、ちゃんと人外でめちゃくちゃ満足度高かったです。

魔女というと魔女狩りで迫害された罪なき賢き女性達というイメージですが、この本だとちゃんと大罪人(笑)。しかもミゼリアは首輪でいろいろ制御されているにもかかわらず捜査官を殺している……‼‼ 見た目がかわいらしいだけになおさらギャップで恐ろしいというものです。……いや、でもやっぱり表情がただの少女のものではないんだよなぁ。

 

飄々とした女の子、というのも新鮮でローグとのやり取りがめちゃくちゃ楽しかったです(笑)。ローグはアレですかね、完全な巻き込まれ型ですかね。。。( ̄▽ ̄) 口の悪いツッコミ役が大好きなのでこれもまたいい(`・ω・´)

 

まぁでも今回はやっぱ、ミゼリアについては怖いばかりじゃないんだ、って思えなくもなかった。少なくともローグに対しては。彼の頭を撫でるシーンが印象的でした。意外で、思いの外あたたかく思えて、心が緩みそうになる。ローグの人間くささがまたグッときますよね。

 

その一方で狂った一面を見せたのが〈聖女〉カトリーヌ………………………………。

さすがに大好きな人を裏切ってその罪悪感で満たされる、は予想できんわー!!!www ミゼリアが彼女に冷たい言葉を投げかけていた理由もここで分かり「うわぁ……うわー!!!」しか出てこない(笑)。

泣いているのに笑っている、笑っているのに泣いている、あの文章とイラストの表現どちらにもゾッとさせられ、魅入られもして。この世界における“魔女”というものを1番思い知ったシーンでした。

しかもヤバイのがアレですね……普段は裏切りたいのを“我慢している”という……_:(´ཀ`) ∠): 三大欲求に並ぶほど衝動的な欲求なんですよね、彼女にとっての裏切りとは。

 

そしてローグの善性が格好いい。

綺麗事を並べたてずに拳で語るタイプ(笑)。他人の為に怒ることができる、というか自然とそうなる人で、魔女達はイジりがいがあるから彼を認めたみたいに言ってたけどww、心のどこかであの善性を気に入ったところもあったんじゃないのかなと思わなくもないのです。……いやでも気を付けなくちゃいけないのは確かwww

魔女達に対して敵わないのは理解しつつ、言い返したり罵倒したりできるのはすごいことだとも思います。そこも魔女達的には“イイ”んじゃないでしょーか?( ̄▽ ̄)

 

それでいて、彼女らに頼り過ぎない。

捜査官として経験も積んできていて、基本的には自分の頭で考えて、きちんと答えを出している。そしてそれが的を射ている。

何だかそれもまたいいですよね。決してありとあらゆる方向にブッ飛んでいる彼女らを引き立てる役ではない。……ていうかなんなら、彼もブッ飛んでいることを後半対クロノス戦で気付き出す……www 魔女達に気に入られているのもブッ飛んでいる証な気がしてきたぞ(真顔)。

 

体縮んでるのに成人男性フルボッコでしたからねwww こういうの、多分日本だったら問題になるのかもだけど“実力主義”のココならアリ……なのかも……⁉⁉(笑)

たくさんの罪のない犠牲者を生み出しておいて自分には崇高な目的があるだとか宣いのうのうと生きているのだから、まぁ「ブン殴る‼‼」にそりゃあなる。シンプルisベストなのです(`・ω・´)

 

にしても、ここでミゼリアがちっとも過保護じゃないのがまたいいですよね。いかにも魔女っぽいし(笑)、ローグの相棒って感じもしてきている。

この2人、ほとんどはミゼリアが言い合いに勝利しているけれどローグもだんだんと負かせるようになってくるし、内心「ざまあみろ」ってなってるのが容赦なくて更にいいね!www

女性向けだとなかなか見られない男女コンビです。それもまた新鮮で楽しかったです。

……にしてもミゼリア……画伯なんか……www

 

そんなミゼリアがまさかの死亡、でもよみがえりました☆

……なのがいかにも魔女らしくブッ飛んでて、それがまたいい‼www ローグをからかう以外の理由が上手いこと思い浮かばなかったのですが(でも何かあるだろうなーとはさすがに思ったww)、あ、なるほどね……首輪を外してトンズラこく為と……www

これにはローグ共々脱力。しかしてもう彼女に以前のような嫌悪や恐怖だけを抱いていた頃には戻れないローグは見逃してやると。……本当に、カトリーヌの裏切りをヴェラドンナに報告しなかったことといい、やっぱりローグはお人好しというか何というか。もちろん彼だって、誰にでもそうというワケではないけれど。

 

キスシーンどっちの表情も最高でしたね‼www

そうしてラストこのタイトルに辿り着くというのがまたスッキリ。怖い面でもあり、甘い面でもあり。タイトルの文言が何度も心に湧き上がるストーリーなのでした(。-_-。)

 

さて、そんなワケでカトリーヌのまさかの裏切り癖(ヘキ)にミゼリアの逃亡。これホント次からどうなんの……⁉⁉ という感じ。

まさか1巻で魔女が首輪を外して逃亡とは思わなんだ‼ せめてもっと先にそういう展開がありそうと思ってました。ミゼリア抜きの第六分署、しかも2巻はいつ裏切ってもおかしくないカトリーヌが相棒のようだし。。。

のんびりペースになりますが、いつか続きを読みたいと思っております。

 

余談。
リコ・ライナ最強説……www

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