【再掲】『椅子職人ヴィクトール&杏の怪奇録2 カンパネルラの恋路の果てに』(糸森環/ウイングス文庫)

ウィングス文庫

鞭展開度:★★★★☆
どこがふんわりじゃい:★★★★★
恋は幸い:★★★★★

【あらすじ】
霊感体質の女子高生・杏はアンティーク椅子工房「TSUKURA」でバイトを続けている。極悪人顔揃いの職人たちは相変わらずみんな優しくて親切だし、死にたがりで人類嫌いで変人美貌のヴィクトールからは人類扱いされず、時に楽しく椅子談義が弾んだりもする。アレさえ出なければ本当に良い職場なのだ。ところが、ある二つの椅子が工房へ持ち込まれて以来、杏はたびたび恐ろしい目に遭うようになってしまい……?バイト継続の危機勃発、ふんわりオカルティック・ラブ第二幕♡

またしても糸森環作品となります(笑)。もう次のを読み始めているんですが勘のいい読者さんは今何を読んでるか気付くかもです( ̄▽ ̄)

ぶっちゃけ現時点で本編が1番コワかった話……!!!

……なのでちょっと読むのを逡巡したんですが(笑)この作品でしか味わえない魅力に抗えず読み返すことができました。こんなにコワイし恋ひとつ取っても美しいとは言い切れないのに、やっぱり恋は幸いなものだと思わせられるのです。

 

以下ネタバレあり↓

 

 

 

 

 

この作品生きてる人間が引き起こす事件の怖さも生々しく見せつけてくる!!!!!!(泣)(泣)(泣)

……と、いうのを痛感した2巻でございました( ̄▽ ̄;) 今ではそういうのを覚悟して読めるんですが初めて読む段階でそこまで予測できるだろうか。

 

今回杏はとうとう生きている人間が犯した犯罪の被害者という立場になってしまったワケですが、実際やられたことといえば腕を掴まれ、椅子にガムテープで縛りつけられただけ。殺されたり怪我をさせられたり、女性的な意味で暴行を加えられたワケではありません。

けれど他者に自由を奪われることがどれほどの恐怖であるか。

それがすごく真に迫ってきましたし、例えばただ盗むだけのつもりだったとしても店に人が入ってくるってそれだけでものすごく怖い。しかも今回はアニメキャラクターのお面をつけた男がという………………………………。

 

ここ、本当に初めて読んだ時怖くて夜眠れなくなりました……_:(´ཀ`」 ∠):

まさか成人してからそんな目に遭うとは思わなんだ(遠い目)。

 

しかもヴィクトールもそうした犯罪に巻き込まれたことがあったという………………………………。

杏ちゃんの感じた恐怖にも胸が苦しくなるけれど、過去の自分のような目に遭っている杏ちゃんを目にした時のヴィクトールの心境も考えるだけで辛いものがある。

ヴィクトールが杏ちゃんを抱きしめたのが何かこれまたすごく痛みを覚える。普段そんなことをするような人じゃない、それだけ心を荒らされたんだと。

 

そっちの事件もものすごく怖かったし、日下部晶もめちゃくちゃ怖かった……_:(´ཀ`」 ∠):

霊も怖過ぎぃぃぃ!!!!(汗) 彼なりの恋した人への報復だったんだけど、あの……そこに杏ちゃんや雪路君を巻き込むのはどうなのかと……や、何でも。そういう文句を言わないでおくのが霊に対する処世術。。。(遠い目)

とはいえ死体を見つけてほしい、は切実で切なくもなる。

 

しかも晶は裏切られた恋を後悔してないんですよね。

決していい結末とは言えない終わり方だったのにそれでもそんな風に言い切れるのは、すごいなと。。。すごいのは晶なんでしょうか、それとも恋なんでしょうか。

「なにもかもが幸いだった。恋は幸いなものだ。そうだろう? ああハレルヤ。あんたもがんばれよ」

すごい好きなセリフだなぁ。。。

 

……帯に「○○探しの旅だ」ってヴィクトールのセリフが抜粋されてて「……死体?」て思ってたら本当にその通りだった時には遠い目になりましたけれども(ボソリ)。

 

そしてラストの短編、『彼と彼女のおいしい時間』。

……生々しいって!!!!!!(汗)(汗)(汗)

タイトルも読んでからふり返ると生々しいの何のって( ̄▽ ̄;) あんまり純真な女子高生に聞かせたくない案件過ぎる。。。

 

しかしこれは不倫という道ならぬ恋を描いているというよりは、弥生の皐への愛のように思えました。……その結果皐を少しずつ殺しながら自分も少しずつ殺していくという……(死んだ目)。

多分店にいた弥生は実際ここにはいないんだろうなーとは思っていましたがそれ以外はまったく予想できずめちゃくちゃギョッとさせられた記憶。。。ヴィクトールすご過ぎ。

 

妹を殺そうとする弥生さんに恐怖を感じましたが、履き違えちゃいけないのはそもそも一哉と皐の裏切りが発端だということ。こんなにも心を踏みにじられたら、おかしくもなるんじゃないかって。。。

殺人を肯定しているワケではないんだけれど、嫉妬に狂った弥生が悪い、で済ませてはいけない、人の心が深く絡んだ出来事だと個人的には思います。

 

平和な話をしますと、星川さんはかなりお気に入りキャラです(笑)。

ヴィクトールは嫉妬するポイントがおかしくて楽しいです。あのズレ具合が読んでて心地いいというか( ̄▽ ̄)

杏はどんどんヴィクトールに染まってていいぞってなってますww

 

そんなワケで読み返しましたヴィクトール第2巻、後は付け足したいプチ感想をば。

雪路君もかなり好きです。男子高生感溢れてて微笑ましい(。-_-。) あと彼の「杏」呼びが何か好きです。

ヴィクトールの言ってた『ラ・カンパネラ』聴いてみました!(笑) フジ子・ヘミングさんのと他の方々のと聴き比べてみて、確かにってなれました(。-_-。) アップル・ミュージックで普通に出てきたのでオススメします。

小椋さんの奥さん、最初はすごくやな人だなって思ったけど、理由が紐解けると切ない。……でもあとがきの裏話でぞわっと……_:(´ཀ`」 ∠):

糸森先生があとがきで話してたそれは心霊現象ですか!?!? ねぇ!?!?!?(汗) ただ事故ったのかどうかが分からん……‼

『カンパネルラの恋路の果てに』ってタイトル、好きです。カンパネルラって晶のことだったんだな。。。

 

またいつか、ぞわぞわしつつも感想を上げたいと思います。もうすぐ6巻も発売されますので(笑)。

 

余談。
物語でふたごの片割れが行方不明もしくは亡くなってる時大体今いる方が入れ替わってる説(ボソリ)。

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