『水無月家の許嫁3 天女降臨の地』(友麻碧/講談社タイガ)

講談社タイガ

鞭展開度:★★★★☆
水無月家の“濁”:★★★★☆
輝夜姫の“清” :★★★★☆

【あらすじ】
明らかになった水無月家の闇。百年に一度生まれる“不老不死”の神通力を持つ葉は、一族の掟で余呉湖の龍に贄子として喰われる運命にあるという。敵陣に攫われた六花は無力感に苛まれるも、輝夜姫なら龍との盟約を書き換えて葉を救えると知る。「私はもう大切な家族を失いたくない」嵐山で過ごした大切な日々を胸に決意を固めた六花は、ついに輝夜姫としての力を覚醒させる――!

前回気になるところで終わってからの今回。水無月家の闇が具体的に見えてきて戦いの時がやって来ました。2巻までの嵐の前の静けさが見事に回収されておりました。。。

清濁併せ吞む話が大好きな身としては水無月家の“濁”と六花ちゃんや文也さんの“清”の対比というか混ざり具合(完全に混ざり合ったというよりはマーブル的な)がたまらんかったです。

あと表紙イラストそういうことかー!!! てなって鳥肌立った……!!!

 

以下ネタバレあり↓

 

 

 

 

 

表紙イラストで六花ちゃんの右目が見えないってそういうこと!?!?!?

鳥肌立った部分そこなんだけど違ったらマジごめんなさいとか言いようのない事態。←

 

ミクマリ様、何で生贄なんか欲するのかと怖かったのですが読んでみると結構かわいそうだった。。。そんなにも飢えているのに「食べないで」と言われるのは酷に思えました。もちろん六花ちゃん達としてはそれでも譲れない。

結果として六花ちゃんの右の瞳を代償に生贄を100年先延ばしという盟約の書き換えに成功。そりゃあんな土地神レベルの生き物と取引するんだから右目だけで済んだだけまだ安く済んだ方だと思わんとだよなぁ。。。( ̄▽ ̄;)

六花ちゃんが痛みを感じなかっただけ、そしてまた右目が見えるようになっただけまだ救いがあるけれど(てっきりオッドアイになったのかと思ってたけどどうやら見た目には同じらしい)、六花ちゃんの輝夜姫としての“価値”がより一層高まったようで結構心配。。。何だか文也さんも目のことについては楽観視できていないようだし(もちろん自分達の為に右目を失ったというのもあるだろうけれど)。

生贄の儀式を取り消すことはできず、この100年の猶予の間にどうにかする方向かと思いきや、葉君は100年生きられて、そこで命を終わらせられることを幸福に感じているようで、あぁ、それもそうかぁ……と。不老不死の苦痛はいろんな物語で見てきてるから、確かに納得もできるような。

 

にしても水無月道長の恐ろしさたるや。

……何か……もうアレ初恋拗らせたってのがかわいく思えるほど歪みまくってない!?!?!?(汗) まさか六花をお前が娶るつもりじゃねぇだろうなと思っていたらマジでそうだし_:(´ཀ`) ∠):

神通力も唾棄すべき力でしたね。ここまで見てきた水無月家の能力って、どれも他の物語でも似たようなものがあって馴染み深い感じだったけど“眷属”とは恐れ入る。初めてですよこんなおぞましい力。。。

 

それに対する天也さんが本当にカッコ良く。

本当に、天也さんを殺した道長は許すまじですが、あれは……天也さんは試合に負けて勝負に勝ったという気がします。殺されたけれど、彼は確かに、負けていなかった。

 

今回信長のこと大好きになったわ―――――(笑)。

ずっと文也と根深い不仲なのかと思えば、それこそが彼らの結託の証と言いますか。兄弟姉妹を守ろうとする気持ちや、今回の割と序盤から葉君を犠牲にすることに愉悦を感じているワケではなさそうな感じがすごくいいなぁと思いました。あと彼は味方になるとめちゃくちゃ心強いねぇww あの減らず口に救われる日が来るとは。。。

あのクソ親父を心底憎み、復讐する日を待ち望んでいた信長。彼が父親のようになるとは思えないけれど、何だかまだ油断できない気がするのでこれからの幸を祈るばかりです。

無事琵琶湖に沈められるといいなぁ。。。(※これだけ見るとすんごい感想) でも本当に相応の報いを受けるべきクソ親父なんですよね。

 

4巻から新章突入! かと思うのですが、この3巻までをふり返ると、実は文也と信長の復讐の集大成だったんだなぁと。確かに輝夜姫がいなければ達成できないことだったけれど、そこに至るまでの彼らの血を吐くような努力や葛藤や我慢に思いを馳せずにはいられません。

それと今回は六花ちゃんと葉君、というこの2人の感じがさらに大好きになりました。本当に、本当に家族なんだなぁと。。。お父さんを喪っているからこそ、家族に亀裂が入って母親に拒絶されてきているからこそ、これほど強い力に繋がったんだなぁと思います。彼女の生まれ持ってのものだけじゃない、辿って来た過酷な境遇に起因するものでもあるというこの感じも大好きです。

 

さてそれでは恋について(笑)。

他の水無月家を“濁”、六花ちゃんや文也さんを“清”と表現してきましたが、六花ちゃん達、そればかりではありません。

 

そうやって、私たちの幼く純粋な恋心が、少しずつ歪み方を覚えていく。

 

何だかこの文章がたまらなかったなぁ。。。それは普通の人間であっても当たり前の変化と受け取っていいのか、それとも水無月家特有の良くないものと受け取るべきなのか。

美しく惹き込まれる、けれど同時に怖さを伴ったこの一文は今回1番印象に残ったと言っても過言ではなく。「自分の女心が怖い」とも言っていて、何かこの、主人公を純真無垢なまま終わらせない感じにまた惹き込まれて。

 

ラストは久々に月鞠河童が出てきてめちゃくちゃ安堵した~~~~~(泣)。……まさかこんなに河童を恋しく思う時が来ようとは……www

輝夜姫としての力を周囲に知らしめた六花。これからどんな困難がやって来るのか、それに六花達はどんな風に立ち向かっていくのか。もう楽しみで仕方ありません。

弥生はわざわざキャラデザ出たくらいだから今後も出てくるんだろうなぁ……こ、怖かった、あの子……_:(´ཀ`) ∠): 神奈さん、そりゃ結婚なんかしたくないよな( ̄▽ ̄;) 卯美ちゃんは、信長といい関係を築けていけますように。照子さんはこれで目覚めて……くれるのかな? そして葉君のこれからの人生に心から幸あれ。

水無月家の許嫁、読んでみてよかったと改めて。それでは、また次巻感想で!

 

余談。
地理弱いんで聖地巡礼とか全然興味なかったんだけど、余呉湖は行ってみたくなりました(笑)。

コメント

タイトルとURLをコピーしました