『薬屋のひとりごと』(日向夏/ヒーロー文庫)

ヒーロー文庫

鞭展開度:★★★★☆
華やかなり、女の園:★★★★★
麗しきなり、女の毒:★★★★★

【あらすじ】
大陸の中央に位置する、とある大国。その皇帝のおひざ元に一人の娘がいた。 名前は、猫猫(マオマオ)。 花街で薬師をやっていたが現在とある事情にて後宮で下働き中である。 そばかすだらけで、けして美人とはいえぬその娘は、分相応に何事もなく年季があけるのを待っていた。 まかり間違っても帝が自分を“御手付き”にしない自信があったからだ。 そんな中、帝の御子たちが皆短命であることを知る。今現在いる二人の御子もともに病で次第に弱っている話を聞いた猫猫は、興味本位でその原因を調べ始める。呪いなどあるわけないと言わんばかりに。 美形の宦官・壬氏(ジンシ)は、猫猫を帝の寵妃の毒見役にする。 人間には興味がないが、毒と薬の執着は異常、そんな花街育ちの薬師が巻き込まれる噂や事件。きれいな薔薇にはとげがある、女の園は毒だらけ、噂と陰謀事欠かず。 壬氏からどんどん面倒事を押し付けられながらも、仕事をこなしていく猫猫。 稀代の毒好き娘が今日も後宮内を駆け回る。

現在めでたくアニメ放送中の超人気作(※このストック書いてた当時)。実は随分前に1巻は読んでいたのですが、細かい内容を忘れていましてアニメを新鮮な気持ちで楽しめたという(笑)。それで改めて読み返してみたのですが、これまた改めて面白いですね!!!www

地の文も最高なのでまだアニメやマンガでしか楽しめてないよ~という人は小説もオススメです。めっちゃくちゃ読みやすい(笑)。

 

以下ネタバレあり↓

 

 

 

 

 

『薬屋のひとりごと』を読んでまず思ったことが淡々と生々しい(笑)。

主人公の猫猫は薬師だし(つまりは医療関係者)花街育ちだし今いる場所は皇帝と子を成す為の女が揃う後宮という場。宮の中ではもちろん血なまぐさい事件とて起こるワケで。

そうしたすべてを、割と淡々と描いてくれているので生々しいにもかかわらず不快感なくスイスイ読める。

 

猫猫は、親父にマッドサイエンティストとまで言われるほどに毒が好き。自分で試しまくる。普通の女の子という枠には不在で(笑)、任氏のキラキラしい笑顔にドン引きし昇格や帝に見初められるということにも無論興味はない。

毒以外のことにはこれまた淡々としてるように見える猫猫、何だかまさしく医療関係者っぽさ……www 無論人にも寄るんでしょうが、私の中でそうした人達って患者に感情移入するというよりは今必要なことを淡々と見極め患者にとってツライことでもキッパリと告げる。そんなイメージがあります。

 

でも情がないワケではないんですよね。そしてそれは猫猫もそうであり。

あからさまに悲しんだり怖がったりはしないけれど、おしろいの毒で死ぬかもしれなかった赤子が元気になっていてほっとしていたり(この描写はアニメがより顕著でしたね)、梨花妃に毒のおしろいを塗っていた宮女に激怒したり、お堀で水死していた宮女の遺体に「冷たかっただろうな……」と心の中でつぶやいたり。

淡々としていて、時に怖い面も見せたりするけれど(笑)、根幹には確かに人の命を救うという確固たる芯がある。猫猫という人物像がとてもしっかり描かれていて、いやこんなん好きにならずにいられる⁉⁉ ……という感じ(笑)。

アニメで声かなり低いのもまた好きー( ̄▽ ̄)

 

玉葉妃もかなり好きなんですよねー(笑)。何だか笑い上戸のようで玉葉妃が楽しそうなら何よりですという感じwww いい宮女をゲットできましたね、玉葉妃……( ̄▽ ̄)

しかしその一方で聡明で用心深いという点まで含めて好きです。ただ見目のうるわしさだけで妃を務めている女じゃあない(`・ω・´)

 

個人的に、“後宮”を舞台にした話はどちらかというと苦手です。全然ワクワクしない。これはもう完全に好みの問題です。絢爛豪華な狭い閉じられた世界の中での女同士の諍いに不快感が強まってしまう。どうせ争うならもっと派手に剣とか術とか使って血で血を洗おうぜ☆ となるタイプです。← ……あれコレ私が異常なだけ……?

 

しかしながら、『薬屋のひとりごと』はものすっごく楽しい……!!! 猫猫が帝の寵愛を競うリングには上がってないからですかね(笑)。事件性も盛りだくさん。“清濁併せ吞む”とは言いますがまさしくそれ。その濁――毒を見つめる物語。

毒もこれまたいろいろあって面白い。……え、チョコって媚薬なんだ?www 猫猫の媚薬製作過程がどう見てもお菓子作りでお菓子作り大好きな私はウズウズしておりました( ̄▽ ̄) 紅娘は翡翠宮のツッコミ役ですねwww

 

けれどただ後宮や花街を恐ろしい場所とするばかりでなく、もちろん女であれ子どもであれ恐ろしい時は恐ろしいけれど、そうやって面白い人がいたり(やぶ医者はヒロインなのかな?www)何か絆が芽生えたりと捨てたもんじゃないんですよね。

アニメだと妓女の姉ちゃん達が猫猫をかわいがってる描写が増えてて微笑ましかったです(。-_-。) 猫猫のポジションをうらやましがる男は星の数ほどいるだろう。。。( ̄▽ ̄)

 

個人的に鳥肌が立ったのは、親父ですね。

1巻を読んで数年たってからアニメを観る。この時点で、細かい記憶は飛んでいます(オイ)。それでアニメで親父を見た時、最初おばあさんだと思いました。

……で、今はまだ親父の秘密についてはアニメでは放映されていない時点。そこで原作を読み返す。

ちゃんと親父が宦官だった部分がアニメでも反映されていたんですね。。。あと親父の歩き方がびっこひいてるような……え、膝の骨を抜かれるって何……ひえぇ……_:(´ཀ`) ∠):

 

何だか親父のことはまだ片鱗しか分かっていないんじゃないかって勘ぐってしまうし、猫猫の出自も気になるし、任氏宦官じゃなさそうに見えるんだが?www

とりあえず1巻感想はここまで。淡々と情が深い、そして酒と毒が大好きな猫猫、サイコー!!!www

 

余談。
あわれ、李白……www

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