『春夏秋冬代行者 黄昏の射手』(暁佳奈/電撃文庫)

電撃文庫

鞭展開度:★★★★☆
呪いを祓え:★★★★★
ずっと会いたかった:★★★★★

【あらすじ】
「夜を統べる者。その神名は――」
 世界に安らかな朝と夜を授ける為に三百六十五日空に矢を射る者。神の御業を託された『巫の射手』。
 大海原に浮かぶ大和と呼ばれる列島の国では、射手はこう呼ばれている。
 朝を齎す者、『暁の射手』。
 夜を齎す者、『黄昏の射手』と。
 黎明二十一年五月、黄昏の射手・巫覡輝矢は囚われていた。目覚めたとき、そこは自分の部屋ではなかった。春夏秋冬の代行者達と同様に神に力を与えられた彼が、なぜ見知らぬ地に? 加えてなぜ、彼を守る従者・慧剣は傍にいない?
「輝矢様」
 そして響く少女の声。それは現人神たちに降りかかる新たな苦難を告げるものだった――。

とうとうやってまいりました輝矢様メイン回。代行者周辺はいびつな大人が取り巻いているものですが彼は間違いなく“真っ当な大人”です。それは彼目線で見てもやはりそうで。でもそれは“神様”を押しつけられた幼い頃の自分がいるからで。

そうしてこの優しくない世界でやっぱり彼の優しさは確かなものだと改めて思うのでした。

 

以下ネタバレあり↓

 

 

 

 

 

一鶴と大河のこと最初は嫌いだったのに最後には「幸せになってほしい」って思っちゃったじゃんか~~~~~(泣)。

一鶴の輝矢を崇拝しているような態度は怖かったし民に害を及ぼしかねない大河のやり方も嫌悪感しか湧かなかった。せっかくの輝矢と慧剣の楽しみを奪ったのもとても嫌だった。

けれども輝矢だからこそ彼らの中に踏み込めて、その真意に近いところにまで辿り着けた。

そうしたら大人の期待を押しつけられ勝手に失望され壊れた子どもがいた。そんな子どもを死なないように必死に繋ぎ止める子どもがいた。子どもを壊した大人もかつて大人に傷付けられた子どもだった。

 

照幸と輝矢の対話が強烈に印象に残ったなぁ……。

輝矢が本当にすごい。一鶴を追い詰めてその自覚もない照幸を始めは糾弾するけれど、そんな彼にも寄り添って親のように接して。一鶴のことはこの巻でハイ解決しましためでたしめでたしではなく、まだまだこれから。でも、輝矢は本当の意味で一鶴の父親の心を洗い流した。ならきっと道がある。輝矢に諭されてから一鶴を怒鳴るのを耐えた照幸もえらい。

 

にしても閉鎖社会の恐ろしさが毎巻暴かれる(汗)(汗)(汗)

秋の舞は本当に悪魔の所業だったけど今回は今回で真綿で首を締めるってもんだ……本当に直接手は出さずに心をじわじわ殺していく……_:(´ཀ`) ∠):

 

秋の舞の流れから月燈さんの血筋関連で何か起こるかなーと思ってたけど違ったね。鎮守衆という新たな団体様。

今まで朝夜は賊に狙われ辛いみたいに聞いてたから油断したなぁ。何よりほぼ少年少女たった2人だけでやり遂げているのが怖い。それだけ追い詰められていたということなんだけど。

 

そして何だろう、輝矢が夜の神様になってだんだんと家族と疎遠になっていった話が考えさせられたなぁ……。

家族相手なら分からないけれど、学校の友達と学校卒業してからだんだん疎遠になっていく感じなら、覚えはあるから。

それでいて孤独な少年神――大人になっても孤独だ――の寂しさも余すことなく描かれていて、輝矢がどれだけいい人であるかも知っているからこそ胸が痛い。

それと彼が神様になってしまったところの紙の演出がスゴ過ぎた(真顔)。多分電子だとないよね?

 

輝矢と一緒に山を登ってくれたという少年のことも正直気がかり。

彼の家庭環境、どうにも真葛さんと被るんだよなぁ……。孤独な神様でいるのとどっちがマシかなんて測れるものじゃないけれど、“自分が面倒を見続けなければならない”というのは、やっぱりしんどい部分はあると思う。

実は大人になった彼が怪盗王子シマエナガの作者だったりして……とか考えてみたけどそんなことはなかったwwwww

 

ていうか怪盗王子シマエナガ思いの外出てきたなwwww スオウ先生描きおろしで出されるワケだwwwww

鹿がめっちゃリアルでギョッとしたんだけどそういやシマエナガもまんまでした( ̄▽ ̄) シマエナガってほんとファンタジーな見た目してるよな……(笑)。あのまんまの姿でポケモンに混ざってても違和感ないと思うww

 

そして毎巻思うんだけど、私は『春夏秋冬代行者』の感想書くのが本当に苦手……!!!(泣)

何て言うかなぁ!?!? 読み終わると胸がいっぱいになって言葉が全然出て来なくなるんだよ(泣)(泣)(泣)。本当に大好きな作品でこんな風になることもあるんだなぁ……かゆいところに手が届いてない感想になってる……でも大好きな作品だから少しでも応援になればと思いこうして書いております……。

 

今回は花矢も散々な目に。

ていうか未成年の女の子に怖い思いさせる男マジ許せん!!!! 狼星マジよくやった!!!!!

冬主従が待ち構えて暁主従を助けてくれたのマジ胸アツだったなぁ……「あ、これ冬だ」って分かった瞬間の鳥肌と高揚といったらない……‼‼/////

にしても弓弦が花矢様にチョロ過ぎるwwww どうかマグカップはお揃い(?)で使ってくれ、そしてレジには2人で並ぼうな( ̄▽ ̄;)

 

こうなってくると朝夜も今後更に警戒を強めないといけなくなりそう。それで安全が保たれるならいいけど、息苦しいよなぁ……賊に狙われていなくともこんなに息苦しいのに……。

 

そして互いに想い合っているだけでは叶わない恋を持て余す代行者もみんな苦しい。

狼星がひなとの恋をまったく楽観視できていないのが、きっとそうだろうと思っていたけれど彼の口から初めて聞いてより一層重くのしかかってきたというか。……しかも恋が成就しない理由が結局閉鎖社会のクソ大人どものせいなの改めてムカつくぅぅぅ……‼‼

巫覡が輝矢や慧剣にしたことも今回改めてドン引きしたよね。うわぁ……て。

 

にしても狼星と撫子というあまりにも珍しい組み合わせ。そしてそうだった、狼星ってば雛菊にはベタ甘でさくらにも割と優しいけどそれ以外にはそうでもないんだった……www いや優しいところもあるんだけど撫子相手に結構容赦なくて私がビクビクした( ̄▽ ̄;)

そして狼星のアンサーがめっちゃ戦略的だったというwww まぁその撫子を子ども扱いしてテキトーに流す感じじゃないのが撫子にとってはよかったんだけど。

前々から思ってたんだけど撫子見てると『図書館戦争』の鞠江ちゃん思い出すんだよね。私は年の差恋愛ってちっとも要領を得ないんだけど、鞠江ちゃんのエピソードで「そうか、そういうこともあるのか」とひとつ理解ができたというか。だから狼星の言ってたこともあながち間違いじゃなく、撫子も希望を持っていいんじゃないかと。

……つうか何で撫子の気持ちに気付いてないんだよ竜胆……www あとは狼星が撫子抱っこというのがほっこりでした(。-_-。)

 

……そういえば雛菊と撫子という組み合わせにもニマニマ止まらなかったなぁ……ずっとそこでほっこり会話しててくれ……(。-_-。)

 

虎士郎はとりあえず裏切っていたワケなんじゃなくてよかった。それでも反省しなさいだけどwww まぁそこは虎士郎母と慧剣がこってり絞っていそうなので後は本人次第ですね( ̄▽ ̄)

 

それとそーだった、慧剣ってば実はブレーキのない子なんだったー……!!!(汗) て今回頭抱えました( ̄▽ ̄;)

唯一のストッパーが輝矢様で、でも輝矢様の為に犯罪や他者を傷付けることに躊躇のない子です。今回もやらかしてて顔面蒼白です。

 

でも、「そんなに死にたきゃ死ねばいい」はある意味効果的だとも思ったんだよなー。。。

いや絶対あそこまでやんなくてよかったんだけど( ̄▽ ̄;)、特に生存本能自体をブッ壊されてる一鶴には死の痛みやら恐怖やらをあくまで幻として体感させるのは、ブッ壊れてる生存本能を無理矢理叩き起こしてくれたんじゃないだろうかと。……いや絶対やり過ぎだけどね!?!?(汗)

とはいえ、そんな慧剣でも輝矢は結局はかわいいし、乞うて求めるほど愛おしい子なんだよな。。。

 

後は一鶴を養子にして一緒に暮らすことに対する慧剣のご意見が真っ当過ぎるwwwwww

いやでも違うんだよ!!! 輝矢様はあまりにも真っ当な大人だからこそ!!!! 一鶴をちゃんと庇護対象として見ているからこそ!!!!! そういうことをすんなりできるワケで。

どうか10代の女の子を下世話な目で見るクソ野郎じゃないということだけは分かってほしい……‼

 

あとはめっちゃ話飛ぶんですがさくらが狼星に「お前は雛菊様だけ称える機械になれ!」が暴言過ぎるwwww そしてそれを全肯定する狼星wwwww

 

そんなワケで、今回も楽しく時にうるうるしながら読ませてもらいました。

次はきっと『冬の舞』……だと思うんだけど、まさかそれで最終巻!?!?(泣) ……などといろいろ考えてしまいます💦 どっちにせよ冬メインともなれば相当な試練が待ち構えていることは間違いないです。

一鶴と大河のその後が気がかりだし、秋の舞でお会いした方々のその後も気になる……まさか冬の舞からの今度橋国編に移るとかある……⁉⁉ などなど、妄想が止まりません(笑)。

彼らの冬を、覚悟して待ちたいと思います。。

 

余談。
慧剣の「愛でます」がオタクの模範解答wwwwww

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