『図書館戦争 図書館戦争シリーズ(1)』(有川浩/角川文庫)

角川文庫

鞭展開度:★★★★☆
本を守れ:★★★★★
追いつきたい:★★★★★

【あらすじ】
2019年。公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる『メディア良化法』の成立から30年。日本はメディア良化委員会と図書隊が抗争を繰り広げていた。笠原郁は、図書特殊部隊に配属されるが……。

とうとう読み返しました図書館戦争!!!

初めて読んだのは高校生の頃。当時はメディア良化法や図書隊制度などが難しく、コミカライズを読んで(私の場合は弓きいろ先生のでした)ようやくザックリと法律や事件のことが分かり……という感じでした。

今回読んでみてようやくいろいろ理解できたように思います。そしてやっぱり面白い!!!

 

以下ネタバレあり↓

 

 

 

 

 

読める……読めるぞ……!!!!!!

……と、ム〇カ気分で良化法や図書隊制度、日野の悪夢などを読み解きました(笑)。といっても声に出して読んでみて自分の中で噛み砕いてという感じなので、〇スカのようにスラスラともいきませんでしたが……ww

でもようやく本当の意味で分かったんじゃないかと思います、言論統制がいかに深刻な事態かまで含めて。

 

ちょうど今大河ドラマ『べらぼう』でもそんな話になってきていて、図書館戦争を読み返していたのもあってなおさら「あぁ……」となりました。

本を焼く国はいずれ人を焼く。それもまたその通りです。

この言葉を自分なりに何故なのか考えてみたのですが(心底納得するものの理由を全然説明できないな、と思ったので)、“言葉”というのは人にとって最も身近な自由であり尊厳なんじゃないかと思いました。それを奪うということは、もうそれは人としての扱いを放棄しているし、これからもっとエスカレートするのが目に見えている。心が枯れていき、生活もどんどん豊かさを失う。

そうしてやがて命までもを軽んじるどころじゃ済まないところまでいくのかな……と思いました。正直図書館戦争のこの世界観は全然絵空事じゃない。戦時中に言論統制じみたことはあったワケで、お国に歯向かったと見なされた言葉ひとつで暴力をふるわれたり過剰な罪とされたことはあったんじゃないだろうか。国民の思想をも支配せんとした国がかつての日本で全然他人事じゃないし、また起きないとは言い切れない。他の国でも同じようなことはあったんだろう。

……う~ん、これが合っているのかは分かんないんだけど( ̄▽ ̄;)、今んところはそんな風に思ったのでした。今後また私の中でも答えは変化していくのかも。

 

そして今回初めて涙したのが『日野の悪夢』。

 すまない、重いだろう。すぐどこう。

もうこのあたりから嗚咽すら漏れるほどでした。愛する妻に、まだかすかだけれど息のある妻に声すらかけられず意識を失い、気が付いた時にはとっくに妻は喪われていた。考えるだけでもこんなに辛い。

そしてそんな痛みを背負いながら歩き続けてきた稲嶺司令に、そりゃ郁はじめ図書隊員たちがどれだけの想いで彼を尊敬し支えたいと思ったかうなずかずにはいられない。彼を誘拐したことは間違いなく図書隊の逆鱗に触れた。

 

稲嶺司令を誘拐した犯人たちの、車椅子に載っている人への配慮のなさ、想像力の欠如にもゾッとしたなぁ……。

ちょうど先日、友達と想像力って大事だよね、だからこそ本を読むべきだよね、と熱く語り合ったのを思い出しました(笑)。

 

高校生の時は、日野の悪夢が重いのは分かっていたけど、もっと深部まで分かっていなかったんだなぁ……と。……そうです、当時の私は郁が言うところの“キャラ読み”をしておりました……www 今の私は堂上派です、「こんなに深い話をキャラ読み……だと……?」ですね( ̄▽ ̄)

当時はほら……笑えるところだとか郁と堂上の恋模様目当てに読んでたので……(小声)。

にしても本を守るってストーリーで主人公が本は好きだけど難しいのはすっ飛ばしてキャラ読みです☆ にするの面白いなって今思ったww 本好きの多様性の肯定でしょうか⁉(笑)

 

それからそれから、全然分かっていなくて今回ようやっと分かった『情報歴史資料館』。

……理事長の野辺山宗八が本当にスゴイ。いや、このストーリーこんな風にすごい人たくさんなんだけど、良化法への抗いを体現していて感嘆せずにはいられない。亡くなってしまったのが本当に残念。

もちろん、どんな人間かは分からないし、本に対するまっすぐな思いや良化法への義憤的な何かでやっているとは限らない。もしかしたら何か打算があったのかも。

それでも、ここまで資料を集め、しかもその資料たちが無事でい続けられたことは本当にスゴイ。図書基地への譲渡まで決めていたのもスゴイ。終活しっかりやっておられる……!!!

 

……と、分かったからこそそれを知らない郁への「お前マジか」ねwwwwww 手塚が「こいつと同じ給料なの納得できない」もホントそれななんだよなwwwwwww

……と思う一方、私がこの世界に生きていて例えば図書館員に就職していたとしても私もボケーっと生きてるので知らない可能性大なんだわ……(小声)。全然他人事じゃねぇ( ̄▽ ̄;)

 

さて、手塚が出てきたのでやはりあのセリフについて。

「正論は正しい、だが正論を武器にする奴は正しくない。お前が使ってるのはどっちだ?」

……コレは高校生の頃に刺さったなぁ!!!!!!(笑)

当時最も印象に残ったセリフでした。キャラ読みしてたとはいえ人間同士のやり取りはじっくり読んでいたのですよこれでも。←

 

ただ、当時はこれを芯を食ってると思いながら、自分なりの言葉に置き換えられなかったので今の自分でまた考えてみました。1人夏休みの自由研究とでも思ってください( ̄▽ ̄)

……やっぱり他人を攻撃する為に正論を使っているからかな、と。

いや結局堂上教官の言ったことまんまなんだけど(笑)、正論である以上使う理由も正しくなくてはならない、いや、正しくあるのが普通、というか。攻撃の材料に使うと正論そのものが歪む、っていうのかな。それってめちゃくちゃ感情論になっちゃうけど、澄んだ泉にゴミを投げ込んでいるように思える。

 

今読み返しても手塚の正論攻撃は言い過ぎって思うし、けど郁の至らなさも確かにあってってそのバランスが絶妙なんだよなぁ……!!!(笑)

当時は郁と一緒に恥ずかしくなってもだもだしたし(私も絶対郁側(笑))、今は知っている上で読んでいるからまだ余裕はあるものの、このバランスすげぇよ有川先生……!!! と拍手せずにはいられなかった。

どっちかを完全な悪者にするんじゃなくて、お互いに反省すべきところはあるよね、って感じ。そして自主的に反省できたのが郁で自分1人じゃできなかったのが手塚なのか。

そして今も昔もこんなに犬猿の仲(というか手塚が一方的に嫌っていたんだけど)だったのにしっかり男女の友情になってる郁・手塚コンビがめっちゃ好きです(。-_-。) お互いに「コイツと恋愛? ありえねぇ~」な感じが最高ですwwwww

(※付き合うの付き合わないのの話はまぁ……手塚が生真面目バカだっただけなんで……アイツ好きでもねぇのに交際申し込んだだけなんで……)

 

そして大人になると分かる郁のブッ飛び具合(真顔)。

「コイツ要するに新入社員と同じ位置づけだよね?? それでこんなに噛みついてたワケ??? ありえねぇ~」状態よwwww 私の場合目上の人間には極力波風立てたくないので余計かもね。。。( ̄▽ ̄)

いやでも「死ね」とまで言ってたのはさすがにスゲェよなwwwwww ちなみに堂上から腕ひしぎ食らってた時ですね( ̄▽ ̄)

……こういう自衛隊みたいな組織ってなおさら上下関係厳しい気がしてたんだけど気のせいかな……いやでも図書特殊部隊のトップ玄田だしなぁ……とかいろいろ考えたのでしたww ……まぁ一応、郁があんなに噛みつくのは堂上限定だし。

 

そしてそんな“新入社員”的位置であるはずの柴崎や手塚スゴッッッッッて今になって思う(真顔)。

手塚はあの意固地な感じがある意味かわいげなのかもなぁと思うけど、柴崎特にスゴくない!?!?(汗) 何でそんなに情報通で何でもそつなくこなせて組織内の複雑さを理解した上での臨機応変な対応ができんの!?!?!?

正直この頃の柴崎よりも年上だけど今の自分がここまでできる気がせん( ̄▽ ̄;) もちろん柴崎だって努力してるに決まってるんだけどそれにしても何だろう、その努力の仕方も巧いんじゃないかって気がする。本当に尊敬する。柴崎からいろいろ教わりたいけど、そうなったら夜中にチョコレート食わされるもんなぁ……www

 

そうそう、玄田隊長による大人のケンカ殺法も今の方が「おぉ~」だったなぁ~(笑)。や~っと意味が分かったというか。

そして中学生ズが微笑ましい‼www 郁だけでなく堂上なんかも「痒い‼」って言ってたけど私は別にだったなぁ……現在進行形で痒い人間なのかもしれない……www

あのアンケートすごくよかったしちょっと偏りがあるのもかわいかったです(笑)。

 

あと、めっちゃ今更なんだけどこの本編最初が郁の親へのハガキ(ボツ案)で終わりが親へのハガキ(正書)で締めるの、めっちゃいいなって思った!www

多分物語が手紙で始まり手紙で終わるってアイディア自体はすごい新鮮なものではないと思うんだけど、同一の手紙なのは新鮮!! 面白い!!!

 

それとそうだなぁ、『ジュエル・ボックス』についてちょっとだけ。

最後に堂上が見た「見てはならない夢」が高校生当時は分からなかったんだよなぁ~ww 「よく分かんないけど郁が夢に出てきたんだ?」ぐらいにしか思わなかったんだけど、今は「あぁ……(察し)」です(笑)。私も少しは大人の機微が分かるようになったもんだ( ̄▽ ̄)(多分)

 

そんなワケで、今回はこのあたりで。

「えぇ⁉ 郁と堂上の恋愛にほとんど触れてないじゃん‼」て人によってはガッカリしてそうww

そのあたりは、どハマりした学生時代にそれはもうニヤニヤニマニマさせてもらっていて、好きなシーンを何回読み返したかわかりません。なのでそこでもう、充分満足したというか。

あくまで“読み返しての感想”なので、読み返してみての発見、今回初めて思ったことを中心に書いていきます。その為自然とキャラ読み部分が省かれていくと思います(笑)。それでもよろしければ、また図書館戦争シリーズの感想を覗きに来てください。続きも読み返して書くつもり満々です。

草々

 

余談。
私も人の顔覚えるのに時間かかるタイプなので王子様が堂上と分からない郁を笑えない、笑うけど。←

コメント

タイトルとURLをコピーしました