鞭展開度:★★★★☆
職人度:★★★★★
もうおしまいだ度:★★★★★
【あらすじ】
騙されやすい宝石士ティアは、幸せを呼ぶ守護貴石を作る森の魔女と密かに噂されている。そんな彼女の店に、サファイアのように美しい青年ディアマン伯爵が訪れたのだけれど……。問答無用で連れ去られ、なぜか伯爵と結婚することに! そのうえ、王子のために魔女が戴冠式で授ける魔法の王冠を作れと脅されて!? 本物の魔女じゃないのにどうしたらいいの? でも、依頼されたからには、最高の王冠を作ります! 世間知らずな宝石士と怜悧な伯爵の契約結婚ラブファンタジー。
めちゃくちゃめちゃくちゃ面白かったーーーーー!!!!!!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
タイトルからして好みなのはもう分かってたんだけど想像以上に素敵なお話で言葉ひとつひとつが愛おしかったです。
この方の作品は『百花の守り主さま』全2巻、『いみちぇん!』『星にねがいを!』(この2作はまったくコンプリートに至っていないのですが( ̄▽ ̄;))を読んでいて、児童書から大人向けまで書けるとか神か!?!?!?
……と思っておりました(笑)
更に新たな作品が読めてうれしかったなぁ。そしてかわいらしいイラストとキラキラな設定に騙されたけどとにかく展開がハード(真顔)。
これから読まれる方は「コレもうおしまいじゃね!?!?!?」と手に汗握りながら楽しむこととなるでしょう。。。
以下ネタバレあり↓
まずもう設定や描写が素敵。一文目の「燃石ランタン」という単語でもうときめきが止まらなかったです。石の声っていうのもいいですよねぇ。。。人とはまるで違う理念で生きているのだと伝わってくるこの感じ。
宝石の説明が本当に素敵で「ぜ、全部実物見てぇ〜〜〜〜〜」て何度思ったことか(想像力のなさよ)。
それとティアがめっちゃ好きなタイプの主人公でした。
世間知らずだけど自分の頭で考えないワケではない。
無力だけれど自分ができることやれることに力を尽くす。
守られるだけでいるんじゃなくて相手の考えを先回りして自分で行動を起こす。
その、短所や弱点ばかりを描くワケでもなく、長所や強みばかりを際立たせるでもないバランスがすごく好きだなって思いました。
これはあくまで個人の好みなんですが、長所ばかり際立つ主人公、好かれてばかりいる主人公というのが、どうも自分の中ではあまり好きになれなくて。正確にはその人というより設定か。
人間誰しも、できることがあれば、できないこともある。
自分の長所を気に食わない人間もいれば、自分の短所を愛してくれる人間もいる。
そういう人間くささを描かれるとぐっと親近感が湧いて、自然と感情移入してしまう。
だから、ティアという主人公はとても好きな主人公でした。
ちょっとカタコトなのとかかわいいですよね(笑)
石と言葉を交わすところはさぞ神秘的なんだろうなぁ……(。-_-。)
職人としての面もすごくいい。
大魔女ゲアラハの子孫だからというだけじゃなく、祖母の厳しい修行を乗り越えてきたからこその実力と矜持があり。
でもそれを上手く周囲に伝えられないじれったさもあり。
他の宝石士にはない発想を持っているけれど、あくまで石との対話の中でしかデザインを定められない。
ただただ腕がいいんじゃなくて、努力の賜物でもあるし、接客は苦手だし、魔女らしい強みと弱点がある。
……あれコレ結局主人公像の話に戻ってるな?www まぁそれはさておき。
表紙や挿絵のイラストからは想像もつかんくらいのハード展開よ!!!!!!(汗)
王子の依頼だったり、王立工房が出てきたりする時点であーコレ王国の陰謀モノだなって思ってた自分をブン殴りたい。そんな単純な話じゃなかったー!!!(汗)
いや、確かにそういった面もあったし、ティアが身分差故に差別される面もあったけど。
まさかここまで大魔女ゲアラハの呪いが強いとは!!!!!!
ここでおとぎ話要素も強くなってくるのすごくワクワクしました。まさか石が一瞬で死んでしまうほどだなんて……!!!(泣)
これは何としてでもティアが王冠を作らねば!!!!でもコレ間に合うん!?!?!?
……とこっちは右往左往ですよwww
魔女の呪いは瞬く間に国中を覆うけれど(いやこっちもこっちで長い時間をかけてではあったか)職人は時間をかけて丁寧に作品を作っていくんだぞ!!!と(笑)
エスモンド達が駆けつけてくれて、王立工房の職人達と協力する展開なんて……!!!と胸アツになっていたというのに!!!!それすらもゲアラハは許してくれないなんて!!!!!
このあたりでもうヒィヒィでしたね(遠い目)
人間同士の醜い争いに巻き込まれるかと思いきやこの国はもっと圧倒的なものに呑まれようとしていたとは。。。
ビックリといえば、やはりディアマン伯爵ことギルバートの生い立ちでしょうか。
陛下を「父」と言ったこと、イアン殿下が「兄」と言ったことでおやとは思っていたのですが、あまりにも危機的展開の連続で飛んでしまっていました(笑)
まぁお陰でギルバートの生い立ちに素直にビックリできたので良しとする。。。
でも私、てっきり彼は国王陛下と愛妾の子とか、そんな感じかなーと思ってたんですよ。だから本人は身分を隠して国を継ぐのはイアンみたいな。
そしたらまさかの正統なる第一王子。
先代のディアマン伯爵が印象的でしたねぇ。。。だって自分が醜聞を被ってまで王子を守るだなんて普通はできない。
ギルバートと前伯爵のエピソードもいつか詳しく見たいなぁ。なんて思ったり。
王子といえば、イアンもすごく好きなキャラクターでした(笑)
てっきりもっと夢見がちなワガママ王子かと思っていたら、まったくそんなことはなく。
気さくだし身軽だし、でもちゃんと自分の立場も分かってる。……どころか、ギルバートが兄であることも気が付いていて父王を殺してしまって、その罪もしっかり自分の中に刻みつけている。
ティアが見たという「赤い光」が見えていて、だからワガママとも取れる命令を下したのかと。
このあたりのスッキリ具合が爽快でしたねー……!!!
確かに王族としては常識外れなことをしているけれど(新聞記者ができる王族とか、優秀過ぎる……(笑))、現実がちゃんと見えている子だなぁと実際のイアンを見て思っていて。
ロマンチストだとか、魔女というものに対して盲信的とかって感じがまるでしなかったんですよね。
そしたら魔女の王冠をご所望の理由もきちんと地に足ついていたー……!!!
彼の治世が楽しみになりましたね(。-_-。)
さて、話は戻ってラストの展開。
今すぐ王冠を作らなくてはならない、さぁどうするティア!!!!!!
「……もしかしてこれは花冠でイケるのでは?」と思っていたんですが当たりましたドヤァ(※いらんドヤ)
……んだけど大事な腕輪の色石を外すことになるなんて!!!!聞いてないぞ!!!!!(泣)
もしかしたらこのシーンが1番好きかもしれません。
どうしたらいいのか目まぐるしく職人目線で頭を働かせる感じとか。
液体燃石の中に突っ込まれた石がどんどんダメになっていく時の痛々しい感じとか。
ティアが何度も何度も謝りながら、それでも「手元だけは狂わせてはいけない」と必死に踏みとどまるところとか。
本当に、ただギルバートに守られるだけでは終わらない。自分自身が今できることを必死にやって、繋いで、手を伸ばす。
何というか、「生きる」ってこういうことだよな、という瞬間を目にしたというか。……いや大袈裟過ぎ?www
とにかく、この緊迫感とワクワクが入り混じったシーンがとても印象的でした。
この章のタイトルもニクイですよねー!!!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
「誰が為のサファイア」。
この章に突入した時、「何でサファイア??ジェットじゃなくて???」と首をひねっていたのですが、なるほどそうきたかー✨……と。
表紙に描かれてるタイピン、綺麗ですよね……。これはイラストで見れてよかった(笑)
ティアが先にギルバートにタイピン作ってなかったらこの国終わってたんだと思うとガクブルですよ……_:(´ཀ`」 ∠):
最終章の冒頭がイアン目線なのが大好きです。新聞記者目線と王子目線とが見れる感じというか。何と新鮮なこと。
そして円満結婚を迎えた先のセイナー夫婦の話がほんの少し。
王都に行って得たことを活かすティア。しかしやっぱりまだまだ世間知らずで騙されやすいところがかわいい……(笑)
何というか、ティアの世間知らずさは見ていて不快感がまったくないんですよね。作家さんの素晴らしい手腕とセンスの為すものかと。いやエラそうでホントすまん(真顔)。
ギルバートは王となることはなく、ディアマン伯爵として。ティアはセイナー姓となったまま、やっぱりあのあたりの場所で宝石士として。
大きな困難を乗り越え、お互いに変化のあった2人だけど、結局2人ともブレないんだよなぁ、と思いました。結果としてこの2人は似ているのかも……(笑)
ラストで正式に夫婦となった2人。しかし大魔女ゲアラハの呪いがそこに在り続けていることは確かだし、これは更に続きイケるのでは!?!?!?
……と、勝手に楽しみにしております( ̄▽ ̄)
イアンの今後も見たいのだー。個人的には恋とか気になる(政略結婚の可能性大だけど)。ウヘヘ。
時系列ぐっちゃぐちゃになるのですが、もうちょっとだけ感想をば。
1番好きなセリフ。ティアの「あ、あたし、馬なんて乗った事ないよ」に対するギルバートの、
「ダンスと同じだ。男のエスコート次第」
カッッッッッコ良!!!!!!!!!!!(クソデカ声)
はぁ!?イケメンか!?!?いやイケメンだったな!?!?!?
皆の衆イケメンが……イケメンがここにおりました……!!!
個人的に少女小説とかって女性向け作品のヒーローは基本的に主人公を任せられない奴が多いと思っているのですが(※ド偏見)ここに!!主人公を任せられる男が!!!いましたよ!!!!
……と、そこら中叫びながら駆け回りたい心境でした。むしろ私が言ってみてぇ(※女)。
ティアにはいずれダンスを覚えてもらって、ギルバートと踊ってほしいですねぇ……(。-_-。)
その時は2人きりでも良いと思うの(笑)
そして大魔女ゲアラハの呪い。
これ、めちゃくちゃ人間側が悪いじゃん………………………………………………。
……ていうね。いやちょっとそれは滅ぼすでしょっていうね。
ここまで人間側が悪い、そりゃ呪うよなっていうのに同じ血筋であるティアが抗うのが面白かったです。身を切られるような選択でもあっただろうなぁ。
ティアやギルバート、イアンには今後同じ過ちが起きぬよう頑張ってほしいところですね。た、大変だぁ……_:(´ཀ`」 ∠):
ティアが完全恋愛初心者なので、正式な夫婦になったといってもまだまだ楽しめる要素が!!!!あると思うのです!!!!!
本当に続き求む〜〜〜〜〜(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
おまけ:
「ジュンケツ」のところ笑いました……www
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