202.『刺繍の魔法は奪えない』(片山絢森/電撃の新文芸)

電撃の新文芸

鞭展開度:★★★☆☆
努力・研鑽:★★★★★
備えあれば憂いなし:★★★★★

【あらすじ】
やがて少女は、王国最強の付与魔法師になる――
刺繍には、魔力を宿すことができる。それによって作り上げられた刺繍を「付与刺繍」という――。

小さな村の騎士団で毎日仕事に追われている少女・レイリ。彼女の仕事は、魔力を付与した刺繍を施すこと。だがある日、レイリは友人のララに手柄を奪われ、騎士団の人々に責められる。彼らに糾弾される中、レイリの前に現れたのは、王立騎士団の青年だった。彼との出会いが、レイリの運命を変えていく――!?

「あなたは一体……何者ですか……?」
「私は――付与師です!」

火、水、魔力強化、精霊の祝福――虐げられていた少女は、針と糸で王国を救う。これは、類まれなる刺繍の魔法で、やがて王国最強の付与師となる少女のはじまりの物語。

刺繍によって魔法を起こすという設定に惹かれ買わせてもらいました✨

そして知れば知るほど奥深い刺繍の魔法に魅了され、個性豊かなキャラクターに惹き込まれ、気付けばあっという間に読み終えていました! これは続き出てほしいですね(`・ω・´)

 

以下ネタバレあり↓

 

 

 

 

 

いや〜序盤のストレス値がすんごい(笑)。

それは作品に、ではなくとある登場人物に。いや〜本当に自分の短絡的な得だけを欲して長期的に見ることができない奴っているんですよね……😅 あまりにも実在するだけにゾッとする描写でした。

でも創作ってこういうストレスあってこそ面白いっていうか……!!!www そういう意味ではナイス活躍でしたね( ̄▽ ̄) 今思うと最後の最後まで足掻いてていっそ尊敬するなぁ🤔 いやその労力、フツーに他に使ってほしいんだけどね。

 

そしてこの騎士団の騎士達もすんごい(もちろん褒めてない)。

騎士団といえば治安維持に尽力する仕事であり、しかも自分達の職場のトラブルであるならなおさらララ1人の証言を全部信じるんじゃなくて裏を取るべきだったと思います。(まぁ、この世界の騎士ってこっちで言う警察的な役割というよりは魔獣退治に特化してる印象だけど)

結局彼らもまた、自分にとって都合のいい女だけを信じて自分の頭で考えられなかっただけの人達です。これもまたファンタジーとは言い切れないのでゾッとする。多分あの団長もララに言いくるめられてたんだろうなぁ……あのララなら「レイリがこんな風に“嘘”ついてくると思うんです~(うるうる)」とか言ってそう……うん、あり得る。

何より、ララの話が嘘で自分達をずっと刺繍を通して守ってくれていたのがレイリだったと知って、まず謝罪の言葉が出ないのがサイアクです。言い訳がましかったですよね。せめてまず潔く謝るべきだった。

 

そんな彼らに今まで誰1人死んでほしくないからお礼を言われなくとも刺繍を頑張ってきたレイリが、王都から来たイケメン騎士に助けられて……ではなく、自分の意志で彼女らとの決別を決めるのがいい展開だな、と思いました。ララのように男に枝垂れかかるのではなく、自分の足で立って決断している。

よそ者であるルークは本当にたまたま刺繍を頼みたくてあの場に来ただけのように見えました。その後レイリを王都に勧誘はしていますが、それがなくても手に職があり気持ち的に自立のできているレイリなら自分の力を活かせる職場を見つけられたんじゃないでしょうか。今回「辞めます」宣言できたことで、また良くない職場に当たったとしても出ていく選択肢はできたでしょうし。あと、この嫌な職場のせいで刺繍を嫌いにならなかったのも本当に良かった。。。

にしてもレイリ、心と体がブッ壊れる前にあのどクズ騎士団から逃げられて、本当に良かった……_:(´ཀ`」 ∠): 「ルークがいなくても」とは書きましたが、スムーズにあの騎士団を抜けられたのはルークが牽制になったことは間違いありません。

 

村人だけでなく、自分に感謝のひとつもしない騎士達にも死んでほしくないと願っていたレイリ。そんなレイリがララに利用、搾取されていたことを知り、騎士達が自分を頭から信じない態度に見切りをつけたワケですが、実はあの騎士団を出て行けたのはそれだけが理由じゃないんですよね。

次の付与師が見つかるまでの間の刺繍は残して来ているんです。

この聡明さにハ〜ッと息を吐きました。さすがにレイリの悪事を知ったら今までの思いやりもそりゃ吹き飛ぶよなと思っていましたが、更にレイリ退職に納得のいく根拠が並べられるとは。

 

そしてこのレイリ、もちろん刺繍や魔法に優れていることもスゴイんですが、“事前準備”に余念がないところが更にスゴイと思いました。

↑の時間稼ぎできる間の刺繍だって、前から用意していたもの。だから今回、すぐに騎士団を飛び出せているんです。

まさかの魔獣退治2度目の参戦の折もwww、何かあったらいけないと自分の羽織るマントに刺繍の魔法を施したものを選び、魔法を付与した布も持って来ているんです。

実力もそうですがそれに至った努力や試行錯誤も素晴らしく、事前準備にもしもの備えも忘れない。その慎重さ聡明さには脱帽です。騎士団が命のやり取りをしていることを、よぉく心得ているからこそできることだと思います。その真摯さにも、騎士なら惚れずにはいられないことでしょう(笑)。もちろんこれは、恋愛ではなく。

 

まぁルークは果たしていち騎士としてだけなのか⁉︎⁉︎ て話になるんですが(真顔)。

……うぅん、天然がスゴイというか……いやでも温泉でのアレはさすがにどうなんだというか……www レイリから微妙に視線を逸らしてる時があるんで「動揺し過ぎて一周まわっていつも通りになってしまった」なのかなと今のところは思っているけれど。……にしてもこの時のレイリ気の毒過ぎる……( ̄▽ ̄;) 団長に見つからなかっただけまだマシだけど。

ただ、確かに温泉は魅力的過ぎる……!!!(笑)

 

そしてそんな事態になってしまったことを心から謝るシドがめちゃくちゃ好印象ですwww

キャラデザ見た感じちょっと油断ならない雰囲気の人かなと思っていたんですが、多分この作品1の常識人・良識人ではないでしょうか。レイリの面倒もあれやこれや見てくれてます。……あのクソ騎士団を見てきた後なだけになおさら沁みる……✨😭✨ 見事にお気に入りキャラになりました(笑)。

ルークにふりまわされてる苦労人なところとか、アリスにお兄さんぶりを発揮してるところもいいですよね……☺️

 

そうそう、せっかく知識豊富で技術にも優れているレイリですが、付与師であることを言ってはならないまさかの環境(第六騎士団)でしたね💦 ……これもまた事情を聞くと「あっそれは言えねぇ」になるのがスゲェというか……www

前の付与師の方もとても優秀だったんでしょう。この人のことも、今後知っていけたらいいな。

 

また、この作品の面白いところの1つは騎士団にとって付与刺繍も武器のひとつ、生命線であることから、騎士達も刺繍については目が肥えている、ということ。これは本当に思いがけなくてワクワクしました(笑)。この世界ならではです。

 

あと刺繍を魔法として扱う子が主人公だから騎士団にいるとはいえこの子が戦地に立つことはないんだろうなと思っていたら、まさかのゴリゴリ立たされたという……‼︎‼︎‼︎www

これはもう笑っちゃいました!www でも、戦闘シーン大好きなんでそれが見れて大感謝です✨ 刺繍に施された魔法がどんな風に作用するのかも見れて楽しい楽しい(。-_-。)

もうすっかり、この刺繍と魔法が結びついたこの世界の虜になりました。

 

しかも1巻(今後も続き出てほしいのでそう書くぞ……!!!)なのに最終巻ですかぐらいの修羅場、修羅場、修羅場!!!!!www

まさかここまで読み応えたっぷりのお話になるなんて、買う前の私はまったく想像できていませんでした! 戦闘できないながらも刺繍の備えと頭を駆使して行動するレイリがこれまた格好いい✨

ただ、ルークに抱えられたまま魔獣に対峙したり魔獣から逃げたり……。このあたりはフツーに同情しましたよwww 私ならアリスみたいに失神してたかも……( ̄▽ ̄)

にしてもそんな規格外のルークに続いて団長、副団長のケタ違いの強さも目の当たりにすることになろうとは。この1冊で読み応えがすんごい(真顔)。

 

あと出てきたキャラクターとしてはアリスも好きですね!www ……前の職場でもっと醜悪な女を見てきた身としてはアリスがなおさらかわいく思える……(遠い目)。

根はいい子だし、どうやら面倒見がいい? 面倒見の良さのつぼみが見える? 子でしたし、騎士団を支えたい、守りたい、刺繍が好きなんだという思いはレイリと一緒。今回レイリにボロ負けしたことで成長できたようにも思います。この子もこれからが楽しみですね☺️

あとはこの子目線になることで刺繍に魔法を付与することがどれだけ難しいか、がんばり過ぎると体にも負担がかかることなのかが見えてきてこの魔法により実感が持てました。レイリがスゴイことやってるのも更に分かった……‼‼

 

さて、レイリは付与刺繍の実力を副団長に認められ、第六騎士団の付与師見習いとなることに。確かに、彼女独学でやってきてるっぽいんで一旦見習いという立場にするのは順当なように思います。

この物語、レイリが決してサクサクスムーズに実力を見出され、出世していくというものではなく、またレイリ自身の努力と研鑽に裏打ちされた実力であるところに、とても好きだなぁと思いました。どんなに冷たく扱われても、信じてもらえなくても、努力してきたことは裏切らない、この魔法は奪えないっていうのも素敵でした。『刺繍の魔法は奪えない』、まさにです。

そんなレイリ、刺繍をいろいろと知り過ぎてるようで第六騎士団の面々が首をひねっていたので、まだレイリには何か秘密がありそうです。実は故郷のこともあんまり語られてませんしね。

彼女の今後を見届けたいので、是非、続きを……!!!

 

余談。
新たな職場は女性陣も優しくて癒される~~~~~✨😭✨

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