鞭展開度:★★★★☆
悍ましき恋:★★★★★
本当の恋:★★★★★
【あらすじ】
オルティナ王国王家の、第二子として誕生したオクタヴィア。
類まれな美しさと知性を兼ね備える彼女は、兄・レオニスに深く愛され、
将来兄が即位した際には、傍らで支えたいと願っていた。
しかしその望みは、思わぬ形で潰えてしまう。
レオニスの代わりに女王として立つこととなったオクタヴィアを支えたのは、
王の治世を補佐する「儀杖の陪臣」イーサンとオリバーだった。
堅実で折れない意思を持つイーサンと、軽薄そうだが熱い気持ちを持つオリバー。
ふたりの存在はオクタヴィアにとっても大切なものとなっていくが、
やがて両名には派閥の違いを理由に亀裂が入り――。
オルティナ王国を六十年にわたり統治し、
五百年の歴史で最大の繁栄をもたらした女王・オクタヴィアの、
為政者としての孤独と、恋の呪いへの苦悩。
そして唯一想いをささげた相手との関係を描く、圧巻の大河小説。
面白かったー……‼︎‼︎
「恋」というものが読む前と読み始めた頃ではまったく違う色に変わっており、そこからぞわぞわしながらも惹き込まれずにはいられませんでした。ほんとにすごい。
また1つ喜咲冬子ワールドを知れたことがうれしくてたまりません。この恋、まさに圧巻です。
以外ネタバレあり↓
作品は大好きな上でこれだけ先に言わせてね!☆
男がどいつもこいつもキショ過ぎるだろ!!!!!!!💢💢💢💢💢💢
……うん、喜咲冬子作品て結構そういう「それはもう愛じゃねぇよ💢💢💢」な身勝手さを女にぶつける男どもが描かれるのがあるあるなので覚悟はしていたさ、覚悟はしていたがまた新たなキショさを見せてくれましたねぇ……(遠い目)。
キショくないまともな男もいた、うん。誠実な男もちゃんといた、うん。でもその上で1回ロクでもない男どもにキレさせていただきました。登場人物達へのキレであって作品へのキレではないことを改めて書いておきます。この作品は本当に素晴らしい。
オクタヴィアとしては同情の余地も愛情もあったんだろうけど、個人的にはレオニスが本当にダメでしたねー……(遠い目)。
最初は仲のいい兄妹として微笑ましく(でも兄が亡くなるんだろうことは分かっていたのでハラハラもしつつ……)見ていたけれど、だんだん嫌な予感がしてくるというかね。そんでそれが当たっちゃうというね。
近親相姦の呪いのようでゾッともしたし、あの気色の悪い愛のぶつけ方で本当にダメでした。オクタヴィア、まだ10代前半だぞ。
実害がなかっただけまだマシと言えば聞こえはいいけれど、夜に寝室に忍び込んで勝手に愛してるんだ何だと言ってくる。オクタヴィアはレオニスより力も弱い権力も弱い。逆らう術がない。レオニスはオクタヴィアを好きにできる。
そんな状態でオクタヴィアが本音を言えるワケがない。あのレオニスの暴挙は愛の告白なんかじゃない、脅迫だ。
本人が自分の愛をきれいだ純情だと思っていそうなのがまた本当にダメでした。
あとアダムも激キショだったね!!!!!(汗)
でも私、コイツについてはオクタヴィアにちょっと非があると思ってて。……ちょっとだけねホント!!!
言ってしまえば障がい者を無意識の内に軽く見てたから微睡の小宮に通い、自分の胸の内を吐露していたんじゃないかと。この人になら何を言っても大丈夫、他の人に漏らすこともないしこちらが何を言っているかも分かっていないだろう、と。もちろんそれは、家族を失った彼女が──ある意味家族愛をもらったことがないということになるのでは──よりどころを求めて、数少ない家族の1人であるアダムを頼りにした、というだけのことだとは思うんだけど。
残念ながら“世間から見てかわいそうな人”と“善人”はイコールとは限らない。そこが抜けていて、無防備な真似をしてしまっていたのは悪手だったのかなと思っています。……うん、でも情報を盾に気色悪い要求してきたアダムがほぼ悪いんだけどね!!!!!!💢
……あと、このアダムの件書いてて思ったけどこんなに(表向きは)無害なアダムをレオニスがあんなに毛嫌いしてたの、アダムがオクタヴィアを物欲しそうな目で見ていたことに気付いていたからなんじゃないか?🤔
まぁとにかく話は戻して、正直私はレオニスが殺されてホッとしてしまったー……‼︎‼︎(泣)
近親相姦が続いたこの家系で、父王は実姉だけを愛していて実姉との間に子どもまでできている。そんな歴史が身近にあればレオニスもいつオクタヴィアに同じ手を使うか分かったもんじゃなかったから。
けれどもオクタヴィアにはレオニスからの呪いがかかっている。
──お前の恋は、誰のもの? と。
いやオクタヴィアもオクタヴィアの心も物じゃねぇ💢💢💢💢💢
さて、そんなオクタヴィアの恋はどこにあるのか? を追う旅路。突然女王になってしまった彼女の治世を追う旅路。
そばに仕えるは、兄の友人であり兄が王になった際は仕えると決めていたイーサンとオリバー。
……なんだけど、オリバーさぁ……途中まで信頼関係築けていたし正直オクタヴィアの心が揺れている相手ってオリバーなのかなって思っていたのよ。そこに来て「一時だけでもいいから」はねぇべよ……_:(´ཀ`」 ∠):
正直、オクタヴィアの本当に好きだった相手はイーサンかオリバーで、でもそのどちらであるかは読者には分からぬまま幕が閉じる可能性も考えてたのよ……そしたらこんな裏切りってないよ……(頭抱え)。
……と、思いつつも読者としてはこの展開は面白い。
忠義を誓った相手だからって、主人公を愛しているからって、裏切らないとは限らない。だってまるで違う人間なのだから。
それでいてオリバーに抱き寄せられてそれを拒絶して嘔吐するオクタヴィアもまた生々しい。キラキラした悲劇のヒロインではない、深いトラウマを抱えた生きている人間なのだ。……いいぞオクタヴィア、全力で吐け!!!! クソ兄貴の分まで全部ゲロってスッキリしておけ!!!!!←
そしてオリバーの裏切りはそれだけに留まらなかった。
……ここからがもっとショックな話。何ならこの抱擁で1回裏切りが発生しているから、より衝撃が走ったというか。
……まぁ、喜咲冬子作品履修してきてる身としてはオリバーもイーサンも容疑者リストに入れておいてはいたんだけど……( ̄▽ ̄;)
でもイゾルテとの逢瀬はかなりの衝撃だった。
それでいて「触れ得ない女の扱いなど分からなかった」は、彼らしかった。
けれど許されることじゃなかった。
こんな決別になるとは思っていなかった。老いてなおオクタヴィアを支えているのだと信じていた。こんなところで処刑される男なんかじゃ、なかったハズだった。愛がこんなに人をおかしくするんだろうか。
オクタヴィアは言った。
「非の打ちどころのない王子は私のために、塔を登ったりしないわ! わからないの? 会ったこともない素晴らしい王子より、どれだけ私が、貴方を頼りにしていたか!」
男女の愛じゃなくとも、触れられなくても、オクタヴィアはこんなにオリバーを愛していたのに。オリバーは、確かに間違えた。
そして正直イゾルテについてはそりゃそうなるよなと思わなくもないというか……だから正直疑ってたもん( ̄▽ ̄;)
夫が実の妹に本気で恋してて自分と子どものことは知らんぷり。こんなん気持ち悪くないワケがない。
でもその怒り、せめて夫にだけ向いてくれればよかったのになー……。オクタヴィアは兄をそういう目で見てないし必死にイゾルテ達を守ってきてたのに。挙げ句の果てに関係のない人達まで殺す流れにして。
けれど彼女は「橙の蛙」は嫌だったし、オクタヴィアが自分を選ばなければと憎み続けた。
オリバーの裏切りも、イゾルテの憎悪も、オクタヴィアにとっては、辛い別れだった。
……ヘリオスの件も残念だったなぁ……。でも、ここまでの流れや、今までの喜咲作品の感じから、正直ヘリオスが産まれた時から覚悟はしていた。
ドミニクはアレ、オクタヴィアに恋をしていたってことなんだろうな。でもオクタヴィアは今度こそ間違えなかった。きっぱりと拒んだ。だからドミニクもまたその後間違えなかった。これだけでも、まだ救いで。
そんなオクタヴィアの恋がイーサンに在ったこともまた分かってくるのだけど、イーサンはオクタヴィアに1度たりとも間違いを犯さなかったんだよなぁ。。。それは肉体的にでもあるけれど、それ以上に選択をというか。
もちろんそれはオクタヴィアがイーサンに恋をしていたから、イーサンに嫌だと思わなかったのだろう、というのもあるけれど(拒絶反応が起きていた時は兄の声が聞こえてきたからだし)。
多分、イーサンもオクタヴィア同様異性に恐怖でしかない愛を──加害者側はいつだってそれを愛と思い込む──向けられていた経験があるから、オクタヴィアの恐怖心を理解できていたのは大きいのかな、と思う。だから無理強いみたいなことはしていない。……うん、キショイ女もいたもんだ(真顔)。
オクタヴィアとイーサンのやり取り、ちょっと不器用な感じがまた愛おしくて。
……本当は、あの夜平和に会えていたらな、と思わずにはいられない。決定的な何かがあれば、なんて大きな期待をしていたワケじゃない。でも、少しでも素敵な思い出ができればなって。もちろん、仕事の話で2人は会おうとしてたようなものなんだけどね(笑)。でも時間は戻らない。
それで私はこの2人の最後のシーンもまたホント大好きで……‼︎‼︎‼︎✨😭✨
──お前の恋は、誰のもの?
兄の声は、聞こえていた。
けれど、遠い。遠く、そして消えていった。
どうして自分の心のあり様まで、兄に委ねなければならないのか。急に、わからなくなった。
すると、伸ばされた手に抱きしめられることが、怖くはなくなる。
この身体は自分のもので、この心も自分のものだ。
オクタヴィアがやっと気付けたよぉぉぉぉぉ。・゜・(ノД`)・゜・。
ここまで来るのに本当に時間がかかった、今まで怖かったよね……たくさん傷付いたよね……😭
それでいて、何て清々しい気持ち。ようやく閉め切られていた窓が開け放たれて、ざぁっと風が吹き抜けていくような。
「神官のまま死んで」は、酷な命令なのかもしれない。でもオクタヴィアにとっては最大級の愛の言葉で、イーサンもそれを違わず受け取れる人なのだ。
そうして幕を閉じる、聖女王オクタヴィアの半生。その恋。
けれども不幸に底はなく、大事だった人に時に裏切られ、時に先立たれ。途方もない孤独を、ギエモンは聞き届ける。
……すっかりギエモンのこと忘れていたあたりで出てきて「あーギエモン!!!!!」てなったよね‼︎www 序盤の語り手がまさかここで登場とは。面白い。
それでいて、奴隷の身に落ちてもなお学びを捨てない賢き人だった。
そんな彼もまた、オクタヴィアに恋をしていたんだね。
それをオクタヴィアには明かさず、押しつけず、それにイーサンの名誉も守って(笑)、満たされている。彼もまたいい恋をしていたのだ。友人であっても、触れ合えずとも、良き恋を。
タイトルを読んだ時に感じたのは、悲しくも気高く美しい恋の予感。けれどページをめくり続ける内に、「恋」は悍ましい色に変わっていく。
それでもやっぱり、それだけではなかったのだ。読み終えてこんなにも清々しい気持ちになれるとは思っていなかった。
オクタヴィアの恋が、イーサンの恋が、ギエモンの恋が、悍ましいばかりであった色を塗り替えていく。そうだった、恋とは本来、こういうものなのだと。
そうして彼女達に出会えて本当によかったと、この秘密を大切に胸にしまって。
余談。パリス宰相も結構お気に入りキャラですwww


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