176.『烏衣の華』(白川紺子/角川文庫)

角川文庫

鞭展開度:★★★★☆
劣等感:★★★★★
焦がれる:★★★★★

【あらすじ】
霄(しょう)の京師(みやこ)には、稀代の巫術師(ふじゅつし)がいる。そう噂される董月季(とうげっき)は、幽鬼を祓い王朝を守護する巫術師の名門・董家の娘だ。しかし彼女の顧客は市井の人々。ある日、名家・鼓方(こほう)家からの依頼を受け、彼女は楊柳島(ようりゅうとう)へ行くことに。お目付役として、幼馴染みで許婚の封霊耀(ほうれいよう)を伴い、鼓方家に現れる女の幽鬼の調査を始める。しかしその矢先、依頼人が死亡する事件が起きて……。秘密を抱えた美貌の巫術師×堅物若君の中華退魔ファンタジー!

以前から気になってはいたもののなかなか手がまわらずにいましたが、ようやっと手にすることができましたっ✨

確か去年のつぎラノ候補作品にノミネートされてましたよね? 挿絵ナシのライト文芸がつぎラノこのラノに入ることは珍しい印象だったので(毎年頑張って投票してるんだけど……!(笑))、ノミネートされててうれしかった思い出があります。まだ読めてなかったけど、気になっていた作品だったのでwww

そんなワケで今回ようやっと手にできました! では早速!!

 

以下ネタバレあり↓

 

 

 

 

幼なじみ(になるのかな?)の婚約者に複雑な劣等感を抱いている男×そんな男への初恋を抱えているけれど男の劣等感に気付いてもいるので踏み出せない天才少女 の組み合わせ……最高かよ……🙏

女の子が好きな人に一途に一生懸命なのが大好きなので月季目当てで読み始めたと言っても過言ではありません(笑)。男側が主人公のことを簡単には好きにならないのも大好きなのでそのあたりもたまらんでした(。-_-。)

 

さていざ読んでみると、意外にも月季というより霊耀視点メイン。

これ、あくまで個人的な考えなんですが、主人公のスゴさを魅せる時ってやっぱり他の人目線の方が効果的なんですよね。なのでプロローグあたりで他の人目線から主人公のずば抜けた何かを魅せてから、主人公の目線を開始する。本人目線だと普通のことやってるだけくらいの感覚だったりするので(笑)、そうすると客観的なスゴさが読者には伝わり切らないところもあるからだと思ってます。

……ので、霊耀目線は始めだけなのかな〜と思っていたら大半が霊耀目線でしたね‼︎www だからこそ貴重な月季目線にテンション上がったりもします(笑)。

 

さて、その霊耀目線で見る月季は、確かに神秘的で超然とした存在。それは彼女の類稀なる能力や美しい容姿からもそうですが、本人のどこか飄々とした雰囲気にも由来するのかと。何考えてるか読めないんですよね。

でも、霊耀のこと好きなんだなっていうのは、言動の端々から伝わってくる。決して露骨でも芝居がかったものでもなく、「好きだけど相手からも好意が返ってくるとは期待していない(望んではいるけれど)」ものとして。

……うん、霊耀はアレだ、朴念仁だ( ̄▽ ̄)

 

そんな霊耀ですが、かなり好感の持てるキャラクターでした。

朴念仁なところもいいと思うしww、月季の才能に嫉妬してしまうのも人間くさくていい。更にその劣等感で月季に強く当たるまいとしていて、時々そういうのがこぼれてしまうと自己嫌悪でひどく落ち込む。何と言うんでしょうか、“善性の人間くささ”という感じがします。

本人は自分の中身についても自己評価低そうですが、人として格好いいと私は思います。そんな霊耀だから月季も惹かれるんでしょうね。

 

月季の方はといえば、おじい様が恋敵というまさかの展開(笑)。

彼、どうやらこの作者さんの別作品にも出ていそうですね🤔 そんな匂わせも面白かったです(言い方)。

月季とおじい様の仲が良くて本当にほっこりでした。月季は今の家に来てから幸せそうでよかった。

 

けれど月季には誰にも言えない恐怖がこびりついているワケで……。

いやあの化け物烏衣なんじゃね?

と考えたのは私だけじゃないハズ。……いや違ってたらホントごめんな、烏衣……www 逆にその化け物から月季を守ってる可能性もあるもんね。

にしても燕を連れてる女巫術師とかあまりにもアガる設定なんですが(真顔)。

 

あと、「烏衣」ってのことを言うんですね。タイトル見て普通にカラスのこと言ってるのかと思ってました。

そしてそんな『烏衣の華』とはまぁ、月季のことだろうなと思っていたら、まさか月季と霊耀2人のことを差していたとは‼︎ タイトル回収お見事でした👏

そしてこれは、今後も2人でいろんな事件に向き合っていくってことなんだろうな。。。🤔

 

それから、霊耀の“答え”がとても印象的でしたね。

そもそもの問い──月季に何の才もなければ。

 いまならわかる。彼女が巫術の才を持たぬか弱い少女であったなら、霊耀は気遣い、労わるだろう。許嫁として大事にしただろう。だが、これほど心をかき乱され、憎らしいほど焦がれはしない。月季が巫術を使うところを見たくはないのに、見たくてたまらない。許嫁であることが苦しくてならない、だがそのためにいちばんそばで彼女を見ることができる。憎らしくて、いとおしい。

霊耀は「どろどろに淀んだ泥濘をかき混ぜている」とも表現しています。何だかとても腑に落ちたし、人間くさくていいなとも思います。

「いとおしい」と平仮名で書かれているのもこれまた味わい深いです。恐らく彼の中にある月季への感情は恋愛感情ではないのでしょう。それでも、何か無性に惹かれてもいる。

もしかしたら『烏衣の華』は、霊耀が月季の巫術以外の面も知っていって、「いとおしい」が「愛おしい」に移り変わっていく物語なのかもしれません。

 

そしてもう1つ、霊耀が月季に示した答え。月季に取り憑いているかもしれない、化け物に対して。

これを原因と結果を鑑みて「おまえは間違っていない」と結論づけるのが如何にも霊耀らしく、また冷静に論じていて下手な慰めなどではないのが元気をもらえます。

そんなのもう、月季はさらに惚れ直さずにはいられませんよね(笑)。

 

それから今回の新キャラ(いや1巻だから全員新キャラなんだけどww)、渓。

こちらも気持ちのいい男でしたね。これまた好きなキャラです。鼓方一族が祟り殺されるのをそりゃ望むよな、とも思います。。。

 

そしてまさかの月季にとっては渓も恋敵wwwww

女1人男2人ってなったら女を挟んだ三角関係(実際に恋愛感情でそうなこともあれば誤解されてそう見えるなんてことも)になるのが鉄板な気がしますが、ここは霊耀を挟むというね……www

渓は月季がそういう理由で敵視してるのにも気付いてる気がします、霊耀みたいに朴念仁ではなさそうなので( ̄▽ ̄) もちろん、渓は月季にも霊耀にもそういう気はないんですけど。

渓は今後も出てくるっぽいので、これはもうレギュラーメンバー確定かな?🤔 思ってたのと違う(笑)男女3人組での調査団、ワクワクします(`・ω・´)

 

 

……ということで、読んで参りました『烏衣の華』。

ちゃんと人外や幽鬼が出てきてワクワクしたし、実際死者も出て(!)かなりのハード展開でした(病弱な彼女が無事で本当によかった)。そしてその中で水底に身を沈めるように霊耀と月季、それぞれの思いに浸っていくのが心地良い作品だと思いました。

月季の難儀な恋路に、幸ありますように……!!!(笑)

 

余談。『烏衣の華』はコミカライズされてますが、そのコミカライズを担当されているのは『ユア・フォルマ』のコミカライズも担当された如月芳規先生。コミカライズとしてのアレンジが面白くって大好きだったので、こっちも読んでみたいな!

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