177.『リーリエ国騎士団とシンデレラの弓音 ―竜王の人形―』(瑚池ことり/集英社オレンジ文庫)

集英社オレンジ文庫

鞭展開度:★★★★☆
騎士の流儀:★★★★★
戦の兆し:★★★★★

【あらすじ】
七月末、島をあげての戦闘競技会、「火の島杯」に参加するため、国家連合(リントヴルム)の本拠地に集まったニナたち。だが、異変に気づいた時には遅かった。多発する事故、増える怪我人。そして不思議な少女騎士<メル>との、衝撃的な再会……。三百年にわたり、平和的な紛争解決手段とされてきた戦闘競技会制度の「矛盾」を利用した大いなる陰謀が、ついにニナにも牙を向く……!

久々に読んだけど……めちゃくちゃ濃かった〜‼︎www

もう個人の問題では済まないところまで憎悪が焚べられ、戦火が渦巻いていたのです。群像劇めいてきてそれもまた面白い。

 

以下ネタバレあり↓

 

 

 

 

 

今回特に印象に残ったのは、なんとニナとイザークという組み合わせ。

正直ニナはまだまだ下っ端騎士といえばそうで、それが他国の騎士団長でありさらには破石王でもあるイザークとここまでガッツリ関わるとは、と意外な展開です。

兄がロルフだからとか、リヒトという玩具で遊ぶ為とかももちろんなくはないんだろうけどww、そしてゼンメルと裏で連携する為だったりもしたけれど、イザークはニナを“1人の騎士”として見ています。そういう意味でかわいがってるんだろうな(笑)。

それでいて、ニナもイザークを1人の騎士として尊敬し、彼から学ぼう、吸収しようとしているように思えました。

こういう普通なら交わらないだろう2人が交わる感じ、とてもいいですよね(`・ω・´)

 

それでいてさっきもチョロッと書いたように、決して主人公をただ特別扱いしてるってことではない。

ゼンメルと秘密裏にやり取りする為ってのが、何ともしたたかです。ゼンメル団長もね!www

そしてニナが副団長補佐としてあっちへこっちへ忙しく立ち働いていたのも〈連中〉と繋がっているであろうメルと接触する機会を与える為……いやマジで頭良!!!!!!(汗)

 

今回、そんな感じでイザークとゼンメルの裏工作(言い方悪いかな?www)にゾクゾクワクワクしながら読ませてもらってました。最初ニナ目線で普通に受け入れてたことが後から「あっ、アレもコレも……全部団長2人の“仕込み”だった!?!?」と分かった時の興奮たるや……‼︎

純粋無垢なニナに全ては知らせず、そして彼女がまっすぐに傷付くであろうことも分かっていながら、目的の為に動かしていたのです。何故ならニナもまた、“騎士”なのだから。

 

とはいえ、これでもゼンメルはかなり丸くなったようで、“制裁”に参加していた時はもっと容赦なくブッ飛んでたみたいですね。今ではリーリエ国騎士団の良心に違いない彼も、やっぱりリーリエ国騎士団の男だったというか……www

イザークはそんな彼を知っているみたいですね。そうして今も連携したり酒を酌み交わすほどの仲が続いている。

 

でも、ニナをある意味で利用することに抵抗を覚えていたヴェルナーも私は好きだな、と思いました。父性であり仲間としての絆であり。それでも最後は飲み込んだ。

 

今回、そんなリーリエ国騎士団がニナを彼らなりに愛していたんだなぁと分かる描写がたくさんあって、それもまたほっこりでした。前からあったはあったんだけど、この作品読むの久々なのもあってかな、よりほっこりしたのかもしれない(笑)。

特にヴェルナーがニナの部屋行ったらニナがいなくて窓ガラスも割れてて真っ先に「あいつとうとうやりやがった‼︎‼︎‼︎」てリヒトの部屋に突撃するのが良過ぎたわwwwwww やっぱ騎士団内でもリヒトって信用ないんだなwwwwww

正直、リヒトって犯罪的発言多いしすぐベタベタするしメンドクセェしで(容赦のない評価)まっっっっったくニナを任せられないとは思っているんですがwww、ニナがしっかりしてるからまだ大丈夫、と思っています。でも、それだけじゃなくてこうして周りがリヒトの危険性を理解しててもしもの時はふん縛る、ぐらいでいてくれるからこその安全性はあるんだな〜、と思いました。……ニナちゃん君の周りには味方がいっぱいいるぞ……( ̄▽ ̄)

そして久々にリヒト浴びるとマジで激ヤバじゃねぇかコイツ(真顔)。

 

あとはリーリエ国騎士団一の実力〈隻眼の狼〉ことロルフがいるのも心強いし(今回もいっぱい助けてもらったね……www)、トフェルも何かすごい勘違いしてたけどまぁそう思っちゃうのも正直無理ないよなぁというか……( ̄▽ ̄) リヒトに拳骨食らわせてくれるお姉ちゃんベアトリスがいるのも素晴らしい👏

そんなリーリエ国騎士団でお送りしていますという感じですね‼︎(今回の緊張感を台無しにする言い方)

 

まぁそのシリアスな方に話を戻しますと、何とも不穏な空気の火の島杯。

1巻の時点で既に描かれてはいましたが、騎士の誠心といういわば性善説を前提にしたようなルールの危うさが改めて浮き彫りに。

けれどそうした歪みに恨みつらみを向けるのではなく、本当の意味で“騎士”ではない相手にこちらは“騎士”として勝利をもぎ取ってみせる、というのがリーリエ国もキントハイト国も本当に格好いい。こういうのがあるからこの作品はやめられないんだよな……‼︎‼︎

 

そしてこれはニナがメルに本当の意味で向き合う戦いでもあり。

やっぱりニナはあのリヒトのヤバさに気付き切れてないくらい本当に純度100%だからさ💦 メルに突然冷たくされたり、騙されていたと知ったら素直に傷付くし涙だってこぼれ落ちるんだよ。それでもいろんな人の助言や優しさがあって、立ち上がれて、競技場に立てるのがニナなんだよ。

ガウェインの心の傷を知っていて、彼を無為に死なせたことを悔いることができるニナだから。同じようなことを、くり返してはいけないと立ち上がれるニナだから。

メルを止めることができる。

 

リヒトも言っていましたね、「あの子(メル)のことはニナが対峙すべき問題で、尊重して対等な団員として扱うなら、傷つくニナを受け入れなきゃいけない」と。

そしてニナがちゃんと競技場に立てばうれしくなるし、そんな自分がうれしくなる。このあたりリヒトと同じ気持ちでいたかも。そしてリヒトがこんな風に言えているの、2巻の時を思うとホント感慨深いなって……!!!

 

斯くしてニナとの戦いでメルの呪いは解けるワケだけど、いかにもその親玉っぽかったレミギウスもまた利用されててというか罠の内に入っていて殺されるし本当に優秀な“人形”は別にあったとかスゴ過ぎィ……!!!

確かにメルがニナに入れ込み過ぎてて手の内バラしちゃうの、こんなの味方にいたらたまったもんじゃないですよね‼‼(汗)

これ、キントハイト国と同じことやってたワケですね。本当に優秀な兵はチェスのキングの元に集ってたっていう。バルトラム国王ウィクトルこそがまさしく本当のキングで、甥のレミギウスはそれこそ、この“竜王”の“人形”だったと。

……と、さらに見せかけて黒髪の男のことも差していたという。

ずっと今回のサブタイトルはメルのことを言ってるんだと思ってたので、最後の最後で違うんだと分かるこの展開、あまりにも面白過ぎィィィ……!!!

 

それでいて、ウィクトルの“動機”を知るとそりゃ国家連合に報復したくもなるよな……と正直納得してしまう。ここまでの手腕もお見事と言わざるを得ない。それにしても、鉱山卿ルクルスも仲間だったとは。

元リーリエ国騎士団の副団長だったという(!)黒髪の男──メルの言う「先生」ですね──も油断ならないし、隠している硬化銀製武器の性能も既存のものより殺傷力が高くて恐ろしいところ。今のところニナは本物の“戦争”に加わってはいませんが、本当の命の取り合いがこれから始まっていきそうです。。。

 

それから、今回ニナの説得によってリヒトは父国王達を助けるに至りますが(リヒトは本当に助けたくなさそうだったし、正直分かる〜ってなった😅)、それが次回また波乱を生むようですね。。。ホント頭抱えちゃう( ̄▽ ̄;)

ニナの説得は間違いではなかったし、あんなに父国王を嫌っているリヒトに呼びかけられるの偉かったし、最終的に“騎士として”救出に向かったリヒトも「よく頑張った‼︎」て感じなんだけどね……!!!💦

そんなワケで次回もニナは思い悩むことになるようです。ひとつの才能に特化していても決して完璧ではないしそれによって才能を上手く使いこなせないこともある。そんなきちんと人間くさいこのストーリーが改めて大好きです。

 

そして、4巻まで読んで一旦遠ざかってたんだけどそのあたりでの中断はまだマシだったんだな~って思いました‼www この5巻読んだからにはまた何年も間空けるワケにはいかないぜ……!!!

それではまた会いましょう‼︎ 紙書籍の完結まで、あと2冊……!!!

 

余談。
トフェル甲虫大量に解き放とうとしてたの悪質過ぎる(真顔)。

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