179.『傷モノの花嫁2』(友麻碧/講談社タイガ)

講談社タイガ

鞭展開度:★★★☆☆
任務危険度:★★★★☆
妻の覚悟:★★★★★

【あらすじ】
「猿臭い」と虐げられる日々から、夜行に救い出された菜々緒。皇都で夫婦としての生活が始まり、愛されることを少しずつ知り始めた菜々緒の耳に、夜行の元婚約者の噂が飛び込む。見目麗しく、世間も認める由緒正しき華族の令嬢、斎園寺しのぶ。しかも、まだ夜行に想いを寄せているらしい。それに比べて自分は――傷モノは、夜行の妻にふさわしいのか。思い悩む菜々緒に、暗い影が忍び寄る。

久々にこちらの世界にも戻って参りました✨

前回きれいな終わり方をしたかに見えましたが、心の傷は簡単に消えることなく、また妖印という傷も消えることなくそこに在り。

まだまだ問題が山積みどころか脅威さえ見え始めて、しかし作品としては世界が広がっていくので読者としてはワクワクが止まりませんでした……!(笑)

 

以下ネタバレあり↓

 

 

 

 

 

今回の「お前どうしようもねぇな」枠は斎園寺しのぶ。名前は好きです。

前回の若様や暁美姉さんとはまた違った身勝手さ、しかし彼らに並ぶ気色悪さで見事にかきまわしてくれました。……まぁ、それも紅椿夜一郎を筆頭とした陰陽寮の手の平の上なところもありましたが……www あ、武井の手の平の上でもありましたね👍(※全然良くない)

 

今回は何というか、夜行の仕事とはどういうものか、そんな紅椿家次期当主の妻になるとはどういうことなのかを考えさせられる回でしたね。

椿鬼の呪いを受ける夫に血を与え、霊力を込めた料理を拵える。家のことをたくさん手伝い、そして何より夜行と心が通じ合えている。

もうこの時点で立派に彼の妻として頑張れている菜々緒でしたが、更にもうひとつ階段を上ったのが今回という印象でした。

夜行達陰陽寮の隊員がどれだけ命懸けで帝都を守っているか、どれだけ華族の身勝手さにふりまわされ疲弊しているか。そんな彼らに、自分ができることは何だろう。

そんな風に考え行動できる菜々緒が好きだなと、改めて思ったのでした。

 

菜々緒は自分がたくさん傷付けられてきているから、他者の痛みにも敏感です。

夜行が自然治癒力が格段に高いとはいえ怪我をすれば痛いのだと泣ける子だし、夜行を平気で傷付ける朱鷺子に本気で怒れる子だし、しのぶとの結婚を匂わせる心ない新聞記事を読んでもその写真の夜行の顔色が悪いことが気にかかる。

友麻先生の作品は主人公の優しさや弱さのルーツをしっかり示してくれていて、「あぁ、本当にいい子だな、好きだな」「幸せになってほしいな」と心の底から思わずにはいられません。

 

さてもう1人の「お前どうしようもねぇな」枠紅椿朱鷺子。

……いやぁ、しのぶといい彼女といい本当に“生まれ育ちが違う”(苦笑)。

蝶よ花よと育てられ、最早感覚が全然違うと割と出てきてすぐに私は諦念を感じました。……そう考えると同じ白蓮寺なのにあんなに菜々緒を蔑み村八分にしてきたあの里のエグみも改めて浮かび上がってくるな。まぁそっちは藤堂マリア様にこってりしぼってもらうとして(笑)。

 

そんな中、夜行目線で結構考えさせられるところがありました。

苦痛を伴う吸血に自身の幸せを見出すしかなかった菜々緒に、どうしようもなく哀れみを感じてしまう。幸せに、何不自由なく過ごしてきた人間ほど、吸血行為を受け入れられないからだ。

すごいな、『傷モノの花嫁』ってタイトル回収何度でもしてくれるじゃん………………………………………………。

菜々緒が決して夜行からの吸血だけに幸せを見出しているとは思わないけれど、菜々緒はたくさん傷付けられてきていて、夜行に血を求められることに幸せを感じているのは間違いない。

夜行もまた、たくさん傷付けられてきているからこそそんな菜々緒に対して哀れみを感じている。

まさに1巻で夜一郎さんが言っていたような、傷を舐め合うような結婚。タイトルの言葉がずっと反響し続ける作品なんだな、きっとこれから先もそうなんだろうな、と思ったのでした。

 

さて、「お前どうしようもねぇな」枠ということで前回の2人のその後についても触れておきましょう。

 

まず、今なお菜々緒を求め狂い続けている若様。

まさかの菜々緒認識を歪めるような呪いを一族からかけ続けられていた影響、もしくは菜々緒が無意識の内に呪詛返しをやっていた可能性が示唆されていて震えました。

まぁでも菜々緒が猿面をつけられる前に最初に「猿臭い」と言ってますからねコイツ……。同情の余地はなしです。

そしてそんな若様に白蓮寺当主陣が苦しめられているのもまた因果応報です。ご隠居の間人だけまだまともかな? と思もわなくもない。。。分かりませんとんだ古狸の可能性も全然捨て切れません。ただ、1番頭働いてるのは間違いないかと。

 

そして暁美姉さんは白蓮寺の罪を着せられるような形で追放。……いや、しっかり白蓮寺も悪いしちゃんと降格させられてるんだけどね……。

暁美姉さんにも同情の余地はありませんが、にしてもやっぱこの里って不都合になったら里の人間でもすぐに切り捨てるし誰も助けないんだな、と改めて思い知らされました。今思うと菜々緒のお父さんってまだマシだった方なんでしょうか(登場人物紹介で存命のはずなのに菜々緒の家族だけ紹介されてないのツライ)。

正直彼女はしっかりと裁きを受けるべきなのでこうした仕打ちを受けるのは望むところなんですが、やっぱ行方不明って1番怖い処遇なんですよね………………………………………………。

コレは絶対、今後また出てくるし菜々緒をしっかり逆恨みしてると思うので厄介なことしてくるのは間違いありません。今の内覚悟しとこーっと😅

 

それから、1巻の時から心配だった琴美さんの処遇。

……うんそうだよなお前らなら絶対そういう扱いすると思ってたわ💢💢💢💢💢

と、白蓮寺の差別社会ぶりにブチギレていたんですが、藤堂マリア様に引き取られたようなので大変安心しました。陰陽寮マジ、人の心がある👍

……たくましく育つんだよ、琴美……( ̄▽ ̄)

 

話を本筋に戻しまして、今回本当に死人が出かねない大きな事件に発展しましたね‼︎‼︎(汗)

帝都の中にあやかしを大量に呼び寄せたしのぶは間違いなく罪人だし、あの笛がそんな効果だったなんて知らなかったけれど菜々緒を“攫う”目的で吹いた行いは情状酌量の余地なしです。

 

このしのぶについて残念だったのは、彼女にはまだ彼女を叱ってくれる人達がいたのになぁ……ということ。そう、香代さんと真澄さんです。

白蓮寺はもう里全体でイカレてるので若様や暁美を本当の意味で叱ってくれる人はいなかったけれど、しのぶには少ないけれどいたのです。けれどそれを振り切って間違いに突進して行ったのが彼女です。

 

にしてもこの香代さん、本当に格好いいですね……‼︎‼︎

陰陽五家は華族界では高い地位とは言えません。その出身でありながら影響力のある人物として君臨している。そしてしのぶを“正しく”叱ることができる人。女傑という言葉が相応しい女性です。

しかも白蓮寺の出身でありながら(!)、菜々緒が「傷モノ」であることを知ってなお彼女を軽蔑する、なんてことはしません。むしろしのぶが菜々緒の過去を得意げにあげつらうのを聞いて本当に胸を痛めていました。

 

「あなたはただ自分が好きなだけ。英雄と結婚をして、注目を浴びて、自身の立場を良く見せたいだけ。優越感に浸りたいだけ。相手の事情なんてどうでもいい。思いやりも何もない。今のあなたは自己愛の塊──自己顕示欲の化け物です」

これほど正確にしのぶを言い当てる言葉はありません。

 

真澄さんも香代さんと一緒にしのぶを叱ってくれていましたね。彼の場合白蓮寺で育っておらず、また菜々緒の人となりを知っているからでしょう。

正直、真澄みたいな男性と菜々緒みたいな女性の組み合わせは個人的にクリティカルヒットなんだけど……‼︎‼︎www でも、あの白蓮寺から菜々緒を連れ出すことができたのは夜行ですからね。こればっかりは仕方ありません(笑)。

あと菜々緒をお茶会に誘おうとした香代さんを止めてくれたのマジでありがとう‼︎ こういう女の嫌な空気って男性は疎いこと多いからヤベェと思って止めてる真澄さんマジ優秀だよ‼︎‼︎(汗)

 

そして暴走するしのぶを啓蒙してくれたのは菜々緒もまた。

ていうかその前に穏やかな様子じゃないしのぶを心配して声かけるの優し過ぎる‼︎😭 でも夜行達陰陽寮の護衛対象でもあるからそんな人が1人でフラフラしてたら声かけるのが良心的な大人ってやつか……いやにしてもエラ……( ̄▽ ̄;)

 

まぁそんな菜々緒が怒るほどのことをしたのがしのぶ。

「わたくしのことを死んでも守って」はヒド過ぎた………………………………………………。

他者が自分の為に命を擲つのが当然だと思っているこの無知さが本気で恐ろしい。蝶よ花よと育てられたのならよりいろんなものに耐性がなく恐怖を覚えるはず。そこに目の前で罪のない人間が自分のせいで死ぬことは含まれないのか。

「あなただけは間違ってもない。たとえ私じゃなくても、あなたはないわ」

これが、本当は自分ではなくしのぶの方が夜行とお似合いなんじゃないか、本来ならしのぶが夜行の花嫁だったのにと悩んできた、菜々緒の出した答え。コレは震えました。夜行の妻であるということがどういうことかを考えさせられた回だからこそ出せた答えです。

 

そしてまた、夜行もしのぶに言うのです。

「たとえこの世に女がお前一人であっても、お前だけは絶対にない」

ここで同じ言い回しを使うのがこれまた夫婦だな、と思わされます。

「血を捧げてもいい」と上から目線で迫ってくるしのぶに、夜行が気色悪さを覚えるのも分かります。これはさすがに椿鬼の生存本能すらもへし折る激キショぶりだったんだろーな……😅

夜行様、陰陽寮の皆様、誠にお疲れ様でした。どうせ護衛するんだったら守り甲斐のある人がいいよな。

 

さて、今回の事件はそんなしょうもない人間だけによって引き起こされたものではなく。

ここに来て武井の存在は一周まわって新鮮でしたね! ……何だろうな、この作品初のいい敵役ぶりというか……www まぁ、そんな武井に夜行殺害を依頼する朱鷺子はどうしようもねぇんだが。。。

正直『傷モノの花嫁』公式X見てるだけで何故こんな騒動を起こしたのか察するものはあるので、彼についてはこれ以上書かない方がいいかなと。そのあたりの真相が小説でも明かされたらその時感想に書きましょう(笑)。

 

そしてこの武井の登場を皮切りに、事件は大きく、また菜々緒の交友関係も広がっていくようですね。正直バトルモノめっちゃ好きなのでアガります(。-_-。)

私個人はシンデレラストーリー自体は好みというワケではなくて(たまに読むぐらいでいいかなぁ、という感じ)、でも友麻先生の丁寧な描写が好きで読んでいたらまさかの好みどストライクな和風ファンタジー異能バトルが待っていました‼︎ という感じです。何てうれしいサプライズ。

菜々緒にどんな才があるかもめちゃくちゃ楽しみです。今のところ料理がスゴイのと若様に呪詛返ししたかもぐらいかな。。。?

にしても私も霊力のある体になって菜々緒のぼた餅食べたいです(。-_-。)

 

そういえば、今回の菜々緒とこの作品のスピンオフ作品『私が予言の子を生むまで 〜澪の結婚〜』を読んで思ったのですが、多分菜々緒の身に起こったこと──妖印だったり、差別だったり──って、恐らくこの世界では“ありふれた悲劇”なんでしょうね。

今回娘があやかしに攫われる事件がひとつやふたつじゃない数起きていることが普通に示唆されていたし、別作品の主人公・澪に対する里での虐めも酷いものでした。……あぁ、琴美もまだ小さいのに容赦のない扱いを受けていましたね。

それで今回、菜々緒が籠目玉に「娘達が自分みたいな目に遭わないで済む」と本気で喜んでいたのが、なおさら印象に残ったのでした。そりゃあ鷹夜も毒気を抜かれるだろうなぁ……www

 

正直、鷹夜もちょっとかわいそうでしたね。……あ、彼はどうしようもねぇな枠ではありません(笑)。

母親に執着され続けることにちゃんとしんどさを感じているように見えたし、多分本当は刀握ってみたかったんだろうなぁ。。。挑戦すらさせてもらえなくてあきらめざるを得なかったのキツ過ぎる。

一応しのぶの婚約者だったハズなんだけど、別にしのぶに懸想してる感じでもなかったし、むしろ今回婚約解消されてよかったまである気がします。いやある(真顔)。

あと、朱鷺子がいるとどうしても朱鷺子の味方になってしまうけど朱鷺子抜きなら割と普通に喋れる、が何かリアルだな〜‼💦

……彼についても公式X見てるだけでいろいろと分かっちゃうので、このあたりで黙っておきます(笑)。

 

ほっこり枠としましては、鮎に食いつく夜行とクリームソーダのしゅわしゅわにビックリの菜々緒でしょうか(笑)。夫婦そろって、おかわいらしい……(。-_-。)

あと今回も表紙イラストが好き過ぎる!! 菜々緒そのお着物よく似合ってる!!!

 

そんなワケで、登場人物も続々と増え(次回以降もドシドシ増えますよね!ww)、この世界のこともだんだん分かってきて、しかし脅威も見え始め、読者としては読み応えが増量しまくってて大変楽しく読ませていただきました!✨

菜々緒に妖印をつけたのが猩々ではなく……⁉︎ なのとかもめっちゃテンション上がりました。猩々って天狗の眷属なんだ∑(゚Д゚) こういうの楽し〜(。-_-。) でもこの過去もまだまだいろいろありそうなんだよな。。。

2巻急に読み始めたのは本当にそういう気分だったからなんだけど、7月に3巻が出るということでめっちゃタイミングいいじゃん∑(゚Д゚) とテンション上がっております(笑)。これからは発売されたらできる限りすぐ買っていくからね……💕

多分3巻で私の推し候補が出るハズなんです✨ ではでは!

 

余談。
栗宮の「浮気だーーーーー!!!!!!(クソデカ大声)」好きwwwwww

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