182.『神招きの庭 9 ものを申して花は咲く』(奥乃桜子/集英社オレンジ文庫)

集英社オレンジ文庫

鞭展開度:★★★★☆
集大成:★★★★★
意志は強く:★★★★★

【あらすじ】
二藍は消え、降り立った記神は滅国は避けられないと告げた。しかし鮎名は、兜坂国は滅びないと言い切る。降り立つのは本来、ひとつ前の号令神である夢現神だったはずなのだ。だが現れたのは記神。二藍が消える直前、夢現神を招いていたからだ。二藍は滅国を避ける策を遺していた。あとは物申の娘・綾芽の手に託された――! 古代和風ファンタジー、堂々完結!

ついに完結しました、私の『神招きの庭』が✨

ここに至るまでの2冊怒涛の展開でしたが(笑)、その甲斐あっての集大成で激アツの展開でした。

最後まで読めて本当に良かった。

 

以下ネタバレあり↓

 

 

 

 

 

これぞまさに集大成、斎庭も外庭も力を合わせてこの災厄に臨み、それでいてやはりこの作品らしく“神招き”で立ち向かっていく。そういう“ラストだからこそのアツい展開”と“この作品ならではの初志貫徹”が見れて大変面白かったです。

作品によっては長編シリーズになるとだんだんと初期にやっていたことから離れていくのはよくあることだし(例えば最初はバケモノ退治の話だったけれど後半敵が人間になっていく、みたいな)、そういう展開も結構好きなんですが、この物語はずっと『神招きの庭』らしさを追究してくれていたように思います。短編集でもそう思いましたからね!www

 

二藍は人としての自分を、夢現神を招くことで人としての自己を“夢のうち”に閉じ込めることに成功。約束の半年後、その不完全な神の二藍が滅国を言い渡すのを綾芽が物申として阻止。であれば荒れ神が斎庭に押し寄せる……。

その押し寄せてくる荒れ神をもてなし鎮めるのが斎庭の女達、いや、舎人や衛士を含めた全員の役目です。

これはもう震えました。だってこれは斎庭も外庭も関係なく国を、民を守る為一致団結して戦うというもの。今まで外庭は斎庭とはやや相容れないものを感じていたからこそ、余計に震えました。

そして誰もが国の為だけではなく、二藍を取り戻す為にも力を尽くそうとしてくれている。二藍は本当に、1人なんかじゃない。ここまた涙腺緩みまくりでした(笑)。

 

そうして綾芽だけではない、斎庭・外庭全員による滅国阻止の為の準備が始まりました。

……この準備期間もガッツリ描いてくれてんのマジたまらん〜✨ こういう努力や事前の試行錯誤なくしてまず成功はないからね‼︎

本当に、妃宮から女丁まで、更に衛士や右の中将・左の中将と、斎庭・外庭の人間が隅々まで奮起していて胸がいっぱいになりました。

 

そして綾芽は物申の力が“芽吹く”のを待つ時。

二藍のお陰で物申の力は戻ったハズなのにまだ使えません。そういうリアルに上手くいくんじゃない感じが正直好き(笑)。物申だからといって、簡単に扱えるワケじゃない。1巻で痛感していたことと再び向き合う展開になるのが面白く、そしてまた感慨深い。

そしてそんな綾芽に周りは誰も急かしたりしないし、本心から焦ったりしていない。「綾芽なら必ず物申の力を使える」と信じているんです。……いや、知っているんです。

それはもちろん今まで築き上げてきた絆あってのことでもあるし、あとはやっぱり斎庭の人間は肝が据わってるなぁ〜……‼︎‼︎ と改めて実感するところでもあり(笑)。

 

にしても鮎名が自分の役目から逃げ出したい時期があったなんてびっくり!!!

綾芽と同じ気持ちで鮎名の話を聞いていました(笑)。今の鮎名からは想像もできません。

 

そして真白生きてたんだね〜〜〜〜〜!!!!!!(泣)(泣)(泣)

正直真白の安否についてしばらくまったく書かれなかったからヤキモキしていたぞ!! 綾芽、それは早く確認を取りなさい!!!www

……とはいえ、これは真白の方も綾芽に自分が生きていることを教えたくなかったようですね。大罪人の自分が生きていては、姉の綾芽に迷惑がかかると。綾芽の方も、真白が死んだと突きつけられるのが怖くて仕方なかったんでしょう。

 

でも、やっぱり真白が生きてくれててうれしかったし、半年後の荒れ神鎮めに駆り出されることもうれしかった。彼女が努力家で、神招きに向いている人材であることはもう分かっていたので、それを“正しく”活かす機会があることがうれしかった。……二藍のお母さんのように誰かを教え導く立場になることがうれしかった。真白が思い描いていた形とは違くても、その努力が活かされるとだから。

 

彼女との思いがけない再会、そして那緒──尚ではなく親友の那緒──の墓参りを経て、綾芽の中の物申の力は芽吹くのです。

そこまでの間にたくさんの人との対話が描かれていて、綾芽の軌跡があって、それをじっくり辿って芽吹いていく、という流れなのが大変良かった。

 

あと、二藍が前回ラストで綾芽に下した神命「お前のすべては、お前だけのものだ」って、私はこれはこれで素敵だなと思っているんだけど(笑)、二藍は綾芽が「否」とすること前提にそう命じていた。

──綾芽は綾芽自身のものであり、国と民のものでもある。春宮妃であるから。

──そして綾芽は二藍のものだ。彼の妻であり、友なのだから。

「一度全部返してくれてありがとう。おかげでわたしは、あなたがいなくても生きていけるってわかった。あなたがくれたものがわたしを生かしてくれる。あなたが繋いでくれた人々と、心を交わしてゆける」

何かこのあたりがもう好きだったなぁ〜……!!!✨😭✨ もう「あなたがいないと生きていけない」、んじゃないんですよ。二藍と出会って、絆を育んで、その絆が広がって新たな繋がりをたくさん作ってくれた。だからこその、「あなたがいなくても生きていける」。

 

あと二藍に「お前のすべてはお前のものだ」って心術をかけられたからお互いがお互いのものであるという証である笄子が触れなくなるってオシャレ過ぎん?(真顔)

 

……あと二藍、人としての自分を夢のうちに閉じ込めたのはいいとして、あの夢のうちで半年間孤独に待つのしんど過ぎん!?!?(泣)

しかも孤独とは言ったけど夢現神と2人きりみたいなもんよ……何それもっと気が狂いそうになるじゃん……マジで二藍心身ボロボロで読んでるこっちもツライよ……😭

 

そんな二藍を、国を救う為の“半年後”がやって来ます。

 

ここで印象的だったのが、まず大君らはこの大舞台から避難するということ。

それは斎庭の者らや民を見捨てて自分達だけおめおめと逃げるということではなく。もしこの斎庭での戦いが敗北で終わった時、それでも国が本当に滅びるその日まで、理に抗って、最期まで、民を導く為。

本当にこの兜坂の中心にいる誰もが、矜持と覚悟をもって国を導いているのです。

 

そして斎庭はというと、これはもうまさに……最終回に相応しいみんなでの戦い、全面対決!!!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾

それでいてこれまでの戦いをなぞっていくような部分もありあまりにも感慨深くジンときてしまった……‼‼

まずみんなでまた夢のうちに入るなんて思いも寄らなかったし!ww、疫鬼とか海蛇の神とか……いやもう懐かし過ぎる……✨😭✨

 

それでいて稲縄に桃夏に尚も!!!

……あと、彼らも荒れ神になるハズなのに怨霊ズは夢のうちの斎庭の皆の幻の死体見て何か一周まわって落ち着いちゃってて、尚は幻とはいえたくさん血が流れてんの見れて満足しちゃってんのホント笑った……www 皆々様ブレなさ過ぎるwww

 

あと、私がこの作品読むのを再開したのが『庭のつねづね』からだったからか、そこで出てきた神々も出てきてくれて余計にうれしかったな〜……‼︎

そしてその蝶の神を鎮めんと舞っているのが真白なんです……そんな真白を信じているからこそ綾芽は声をかけずにこの場を去るのです……✨😭✨

 

それからまさか鹿青様ご本人も来てくださっていたとは!!!

そして本当に体を張って綾芽をサポートしてくれてさ……ホントありがたいよ……✨😭✨ それを一の祭官として支える羅覇も格好いい。

 

彼ら彼女らの支えあって綾芽が二藍を見つけ出せたのがあの出会いの壱師門ってのもアツ過ぎる!!! ……九重媛もお久しぶりです……‼︎

めちゃくちゃ怖い神なのに、懐かしい気持ちが昂っちゃってしょうがないというwww

 

綾芽と二藍はせっかく再会できたものの、やるべきことがあるし、道中神鎮めにも参戦しまくっててあぁ〜『神招きの庭』浴びてる‼︎ って感じでした!www

『神招きの庭』はこうでなくっちゃね(`・ω・´)

 

あとここで余談なんだけど高子様の「疫鬼などにわたくしどもの大切な花将を喰わせる気などいっさいございませんし」がシビれた〜……‼︎‼︎

 

そうして神を鎮めながら夢現神のもとへと辿り着くんだけど、ここで二藍、祭主を物申の綾芽に交代し自分はどうなるか分からない現世へと戻らないといけないっていうね……😭

いやマジでこの世界はどんだけ二藍に過酷な試練を強いるの‼︎(泣) ……と、私ですら悔しいのだから綾芽の悔しさなんてもっとずっと。

……と思っていたら悔しくて悲しいのは二藍だってそうなんだよ!!!! そしてそれが表に表れているんだよ!!!!!

前回の時も鮎名に会議の中に入れられず悔しさを顔に出していましたからね(それでこそ信じることができると鮎名は言を翻してる)。。。そんな二藍が、今この時涙を流さないワケがなかった。

何かこれも本当に感慨深くてさぁ……!!!

 

それでいて、滅国を阻止してみんな戻って来たーってなった時に、二藍がみんなの前でも涙を流してるのがホント……みんなで乗り越えられたこと自体ももちろんめちゃくちゃうれしかったんだけど、それもうれしくって……!!!✨😭✨

 

何より犠牲者が出ていないのが本当に良かった。……いや、もしかしたら綾芽や私の知らないところでは出ていたのかな。だとしたら、そっと手を合わせて。

でも、読んだ限りだと本当に無駄な犠牲など出さずにやり遂げた、という風に見えました。これまで、自分の命を犠牲にして道を繋げて来た人がたくさんいた。……彼らのそれを心から悔やみながら無駄にはせず、今回、これほど大きな戦いでも皆で力を合わせ、準備を整えて挑んできた。そういう、誰もの努力があってこの大団円があるように思います。

 

けれどそこから1年近く眠り続けることになる綾芽。……「眠ってる」とは言うけど、呼吸してるワケではないんだよね。でも肉体は死んでない。でもジワジワと死に向かっていく。

綾芽と二藍、こんなにもお互い想い合っているし周囲も祝福してくれてるのにあまりにも運命がロミオとジュリエット過ぎる😭

でも目覚めた綾芽は最初こそ斎庭での記憶がごっそり抜け落ちてたけど、二藍を目にすればすぐによみがえるんだよね。そんなのもう、今までこんなにも二藍のこと大好きだって証明し続けてる子なんだから、神を相手取ったダメージなんて何のそのなんだよ(笑)。

菖蒲が咲き誇る庭での再会なのがとても美しい終わり方なのでした。

 

 

それではその後日談的な部分について少々。

 

……綾芽、みんなから愛されている……!!!(笑)

元々昏睡状態の時からみんなお見舞いには来てくれてたんだけど、綾芽が目を覚ましてからすごいことになったみたい(笑)。そんだけ愛されてるんだなぁって伝わってきてうれしい。綾芽がたくさんがんばってきたからこそだよね(。-_-。)

 

鮎名がご懐妊なのもうれしかったなぁ……!!!

多分、決戦前の大君との別れ際このことを話してたんじゃないかな。

 

綾芽の二藍への、

「わたしが身も心もどちらも心底元気だって、あなたが誰よりよく知ってるじゃないか」

くぅ〜〜〜〜〜この殺し文句!!!!!!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾

こういうの女の子から来るのがたまりません(。-_-。) そして二藍も照れておられた(笑)。

何せ口づけもできなかったし、綾芽が神毒を呑んでしまってからは触れることはおろかひと部屋隔てたような距離ですら二藍の体にものすごい負担がかかっていたからなぁ。。。それだけに本当に、よかったよかった。

 

そんなワケで国と民の為、そして愛する者の為神と知恵で戦う人々の物語、これにて完結です。いや〜駆け抜けた!!!(笑)

玉盤神がこれ以上増える酷な定めはなくなったものの、兜坂に神はおわすし、玉盤神もまた理を以て世界に理不尽を強いてきます。だから彼女達の戦いは、いいえ生きる道は、これからも続いていくのです。

これからも、彼女達の神招きが多くの幸を招かんことを願って。この感想を、締めさせて頂きたいと思います。

 

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