187.『ふつつかな悪女ではございますが2 ~雛宮蝶鼠とりかえ伝~』(中村颯希/一迅社ノベルス)

一迅社ノベルス

鞭展開度:★☆☆☆☆
恨みの炎:★★★★☆
楽しかった:★★★★★

【あらすじ】
悪女と呼ばれる嫌われ者の雛女、朱 慧月と、身体を入れ替えられてしまった愛され雛女の黄 玲琳。しかし「あなた様が……玲琳様なのですね!?」ついにその正体に気づいた者が現れる。玲琳付きの女官、冬雪だった。そこから一気に慌ただしくなる玲琳の周囲。次第に尭明、辰宇たちも、自分たちが感じていた違和感の正体に気づきはじめ……。胸が躍る入れ替わりの生活も、そろそろ終わり。玲琳たちを陥れようとする金家の女官、その裏に見え隠れする”ある”人物。すべての真相を明らかにすべく、玲琳が動き出す――!WEB版から大幅加筆&新エピソード大量投入の第二巻!

前回気になるところで終わっての今回。アニメだとここまでやるのかな?

個人的には思いがけない2人が印象に残りました。こういうの大好きです(。-_-。)

 

以下ネタバレあり↓

 

 

 

 

 

個人的には絹秀と雅眉の関係性がかなり印象的でした。

今では距離があるものの、昔は皇后の座を競い合う立場にありながら仲が良く、絹秀の豪胆ぶりにツッコむ雅眉とそんな雅眉の本質をよく見抜いていた絹秀のやり取りは読んでいて心地良かったです。

それがまさか20年も経ってこんな大事件になってしまおうとは。。。

 

1巻で雅眉が怪しいとは思っていたものの、その動機や目的はまったく不明。何となく慧月に玲林を殺してもらってそしたら慧月も捨て駒として殺すって感じなのかな〜と思ってたらその大本命は皇后・絹秀であるという驚きの展開。

しかも玲林の体に入った慧月が何でこんな異常なほどに苦しんでいたかといえばそれも病ではなく呪詛によるもの、というこちらも驚きの展開。玲林が大弓を引き続けていたのが本当に意味があったということが判明しこれまた面白い。ファンタジー好きだから道術いっぱい出てきて2巻はそのあたりも楽しかったな〜☺️

 

あとは何故じゃあ絹秀の前に玲林を殺したがったかといえば、それは絹秀がかわいがっている姪だからとか、玲林が尭明の寵愛を独占しているからとかではなく……玲林が絹秀暗殺の邪魔をいつの間にかしていたからだという……!!! くぅ〜これは頭がいい(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾(作者さんの)

鍛錬やら薬草畑を設けるやらがそんなつもりなかったのに呪いを退けていたんですね。これは面白い。

 

そしてそんな彼女をまわりくどく、更には自分が手を汚さず殺せるよう手をまわしていく雅眉。確かに彼女の執念には恐れ入ります。

絹秀が「執念と根性の持ち主」「一見繊細優美だが、その実執念深く、一度決めたことは、なんとしてもやり通す苛烈な女だ」と称していたのがまさにその通りで、皮肉であり巧みでもあり。。。

 

そして雅眉が絹秀を殺そうとしたのは「彼女が自分を差し置いて皇后になったから」ではないんですよね。彼女は皇子を無事出産し、自分は皇子を死産したから。

……きっとこの時にもう心が壊れてしまっていたんでしょう。絹秀自身も言っていました、そっとしておくのではなく、彼女の恨みを受け入れるのではなく、抱きしめればよかったのだと。雅眉もまた、絹秀が自分の幸せを望んでいるのだという、その言葉を聞きたかっただけなのかもしれないと。

そもそも妊婦さんの心身へのダメージって計り知れないものですからね。。。私は妊娠したことないので経験はありませんが、妊娠や出産を経験した人の話を聞いていると本当に母親1人で抱え切れる負担ではないのだと痛感します。もちろんそれには個人差がありますが、基本的にはめちゃくちゃ重いという認識でいいと思っています。もし「私は軽かったよ」という人がいたら、その人はそれでよかったなと安堵するとして。

普通の妊娠・出産でも心身共に相当に削れるというのに、それが死産ともなれば身も心ももっと弱るのは想像に難くありません。そんな状態で、あの金 麗雅に無神経では済まないことを言われていて、更に本当は駆けつけてほしかった人に来てもらえなかったら……。それは壊れますよ。この時代観なら皇子を死産してしまったら他にも心ない扱いをする人間はいくらでもいそうだし。更に彼女は火の性を持つ女。その痛みや苦しみはなおのこと彼女を焼き尽くすのでしょう。

 

そんな雅眉と絹秀の、ひょっとしたら最後になるかもしれないやり取りが本当に好きでした。

もう昔のようには戻れないところまで来てしまったけれど、それでも絹秀は彼女らしい情を見せるんですよね。

「……妾はなあ。恨みの炎は、猛々しい、朱色をしていると思っていたよ。邪道だろうが、それで暖を取り、生き延びられるなら、結構なことだと、そう思っていた」

「だが、違うのだなあ。恨みの炎は、きっと、青白いのだ。どれだけ猛々しかろうと、恨みの炎を燃やす心は、氷獄のように、寒々しいのだろう」

「軟弱者のおまえに、そんな寒さを堪えられるはずがなかったのだ。妾はあのとき、恨みの炎で暖を取らせようとするのではなく……こうして」

「おまえを抱きしめに行けば、よかったのだなあ」

そうして渡すのがあの弓なのが印象深く、

「心に刻め。今後、誰もおまえのために弓は引かぬ。おまえを救うのは、おまえだけだ」

この突き放すようでもありながら、どこまでも情が深いセリフや結論が本当に好きでした。罰は与えるけれど(それも本来の罰からしたら相当優しくしています)、でも切り捨ててはいないんです。彼女が1人で立って歩けるように、1度抱きしめたら、もう離して奮い立たせるのです。恨みはお前を支えないから妾を恨むなと言うのです。

そうしてあの大弓だけを置いて絹秀は去り、雅眉は1人、弦を鳴らす……。水の力を宿したあの弓は、火の性を持つ朱家の雅眉には辛いことでしょう。それでも、自分の力で。例え弱い音しか出なくとも。

この思いがけない自立が、私は好きだなと思いました。扉絵の2人もすごく好きです。

 

いや〜、この2巻で絹秀めちゃくちゃ好きになりましたね……(。-_-。)

たくましい女性ってカッコいいですしそんな人が皇后なのも頼もしさしかない💪 陛下の人を見る目が確かというか……!!!

その決め手になったエピソードもすごく格好良かったです。陛下(当時は殿下か)の無聊を慰めるなんてよく言うけど、正直そんなことより伝染病かもしれない未来の夫の看病に務め、周りの人間にもうつらぬようきちんと休養を取れる時に取らせる、自分も休める時は休む、そして殿下を完治させ周りも自分も死なせない、ここまでできることの方が、よほど重要だなと思わせられます。雅眉もだから自分ではなく絹秀が皇后になったことに恨みはなかったんじゃないかな。

 

あと、絹秀は豪快と言っても良いぐらい気持ちの良い女性ですが、とはいえここは女の花園。そこには毒のある花もあります。

今回それを見せたのが金 麗雅なのですが、彼女の床自慢に更に下ネタ(?)で被せる絹秀がさすが過ぎる……www いやこの麗雅の品のなさには普通のお嬢さんの良識じゃ太刀打ちできんよな〜😅 それは太刀打ちできないお嬢さん方はまったく悪くありません。

清佳はこの叔母がお嫌いなようでそりゃそうなるわな、と納得というか、清佳のこと好きになっていたので麗雅のこと好きじゃなくて良かった〜というのも正直、ある(笑)。

 

それからこれはおまけエピソードでだったかな? 玲林と慧月の入れ替わりに気付いていたワケではなかったけれどそれを玲林から報告されて始めから知っていたような態度でいるのもオモロかったwww 玲林は素直にいいように捉えてるwwww まぁでも、皇后たるものそのくらいはできてナンボだよね( ̄▽ ̄)

あと芳春がかわいくてどんぐりをあげたい気持ちになってるのも好きwww 黄家は「愛されるより愛したい」だもんねそりゃウズウズするよねwwww

 

ただ、ここまで絹秀の好きなとこばっか書いてきたけど、ちょっと不穏なところもあるんだよなー。。。

てっきり雅眉に恨みの炎が必要だと思って敢えてそのままにしてきていたように、玲林を雛女に選んだのも使命を与えて彼女が生きる気力を持つように──つまりは相手の為を想って敢えて過酷な道を示しているんだと思っていたんだけど。

「あまり、生き生きとしてくれるな」とは、どういう意味なのか。その手が玲林の細い首に伸ばされたのは、何故なのか。

少しゾワゾワさせられる描写でしたね。彼女が玲林を愛しているのは、間違いないと思うんだけど……。そこには亡くなった妹・静秀が絡んでいるのでしょうか。気になります。

 

さて話は慧月に移りまして、やっぱこの子頭働くんだよなー……!!!

もしかしたら、1巻での「慧月が玲林の日記を盗んだ」と嘘を吐いたのは雅眉に吹き込まれた可能性もありますが、今回冬雪に入れ替わりを見破られて拷問されてもおかしくなかった中(いやマジで玲林の体にそんなことできないだろうと思っていたから私もビックリしたわ……)、入れ替わりを7日も見抜けずあまつさえ玲林本人を恫喝してしまった罪悪感をしっかり見抜いてそこを突いたのはお見事です。むしろこうした機転は妃候補として大事なことなのでは? と思います。

本人は自分の価値を低く見積もっていますが(今までの環境を思うとそうやってどんどん卑屈になっていっちゃうよなぁ……。特に母親の呪いが色濃い😭)、ここに教養と努力が合わされば今までに類を見ない優秀な妃が出来上がるのではないでしょうか?

道術を我流・独学でここまでできるのもスゴイし(今回呪詛返しも彼女のやり方で成功しています)、呪詛の対策ができる雛女って、めちゃくちゃ心強いと思います。あと炎で会話するとかファンタジー好きとしてはアガります🔥

 

それに、今回の一連の事件の犯人が雅眉であることや、その雅眉の真の狙いが誰であるかにも自分の頭で行きついていてそこも本当に偉い。……え、私慧月贔屓し過ぎかな?www 慧月目当てで読み始めたからな〜……‼︎‼︎

とりあえず今のところは、慧月はW主人公の1人ではなく、サブキャラの1人っぽい印象ですね。呪詛返しを2人でやるぞなあの扉絵とそのシーンが好きなのですが、あの後結局玲林1人でムカデ踏み殺す展開だからな〜……www

とはいえ、慧月なりに反省というものをしていたし、ごめんなさい的なことも言えたし(笑)、「1度くらい、何か輝かしいことを、誇れることをしたい」と思い行動できたことは、ものすごい成長だと思います。……それに、今冬雪からみっちり指導を受けているとか?ww それなら命には大事ないし、ガッツリ罰を受けているし、何より今まで彼女に誰も与えてくれなかった教養を授けられているということです。これはかなりのいい結末なのでは?(笑)

ただ、事件が終わってからの彼女の奮闘がもっと見たかったし(これは続きを読めばいいのかな?(笑))、入れ替わりに気付かれていない間の彼女の描写ももっと見たかったので、そのあたりはアニメで期待することに致しましょう💪 玲林の見た目で中身慧月なのめっちゃツボかもしれなくてwww

 

それから、慧月の「無視されることが何より許せない」、そして玲林の「今までの自分は周りに興味がなかったのかもしれない」っていうの、すごくなるほどな~って思いました。

玲林からすれば毎日が命がけですから、正直周りに関心を持つ余裕がないのも理解できるんですよね。いや周りに関心がないにしても大分優しい方なんだとも思うんだけど(笑)。でも愛と関心を何より欲しがる慧月からすればそんな玲林のどこ吹く風(に、見える態度)が1番気に食わなかった。

この2人の絶妙な噛み合いっていうんですかね、それに正直、運命を感じずにはいられなかった~……‼‼ いいですねこういう女同士の恋愛ではない運命ってのも!!! これから先もこういう作品あったら読んでいきたいな……(。-_-。)

 

……恋愛については……もう莉莉と同じで「これ以上ややこしくしないでくれ」と頭抱えるしか……www

マジで殿下の妃候補なんだから他の男が手出していいワケねぇだろと思っていたら鷲官長には下位の妃を下賜できるとか(まぁ現代の感覚からしたら物扱いすんななんだけどww)そもそも玲林は尭明の妃候補を同じ一族の他の女に譲ることも全然できるとかさ……莉莉マジでどうするコレ……(頭抱え)。

玲林はどちらの好意も我関せずではあるんだけど、そのまま誰のものにもならないかというとそうでもなさそうだな……だってこの2人の熱に何も思わないワケではなさそうだったから。

オマケ読んだ感じだと短い期間で玲林をからかえるぐらいになれてる辰宇と長い付き合いで玲林の体調が読めて真意も汲み取れる尭明とでマジで互角という印象でした。もしかしたら玲林がどっちを好きになるか分からない終わり方する可能性もあるかな?

ただ今んとこの感覚としては「辰宇お前なに人妻(仮)に行こうとしてんじゃワレェ……」ですねwww 辰宇派ではあるんだけどwwww ただ、アイツ無自覚なんだよな今んとこ……( ̄▽ ̄;)

 

そんなワケで玲林、これは傾国ってやつでは⁉︎www

『ふつつかな悪女ではございますが』のタイトル回収をきれいにしてくれたように思います。なるほど、これもまた悪女かと(笑)

 

 

あと、あの入れ替わりってほうき星は関係なかったのね!?!? まさかその後も好きに入れ替わりしまくっていたとは……www ていうかそんなポンポン入れ替わり実行できる慧月やっぱりスゴない?(真顔)

そしてなんと12巻ぐらい続いてるんですよね、この作品。しかもこれからも続いていきそう。……ということは、これからも入れ替わりしまくりなんだろうな……と予感? いや、確信しつつ。

今回の感想はこのあたりで!

 

余談。
玲林、アブラムシ同士で蠱毒させてたのかと思ったわ(真顔)。

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