『水無月家の許嫁 十六歳の誕生日、本家の当主が迎えに来ました。』(友麻碧/講談社タイガ)

講談社タイガ

鞭展開度:★★★☆☆
許嫁からの恋の可能性:★★★☆☆
死が2人を分かつまで:★★★★★

【あらすじ】
高校一年生の水無月六花は、最愛の父が死の間際に残したひと言によって生きる理由を見失う。
だが十六歳の誕生日、本家当主と名乗る青年が現れ、“許嫁”の六花を迎えに来たと告げた。
「僕はこんな血の因縁でがんじがらめの婚姻であっても、恋はできると思っています」。
彼の言葉に六花はかすかな希望を見出すーー。
天女の末裔・水無月家。特殊な一族の宿命を背負い、二人は本当の恋を始める。

面白かったー!!!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾

美麗イラストとタイトルに無性に惹かれて購入してみたのですが大満足でした!!!

私があまり好んで読まないジャンルだったのですが(決してそれが嫌いということではなく)、視野がさらに広がるような新鮮さがありめちゃくちゃ楽しめました。

手ぇ出してよかったなぁ~(言い方)。

 

以下ネタバレあり↓

 

 

 

基本的に私が好んで読む作品が

〇完全架空異世界が舞台。

〇恋愛模様は無関係の初対面から始まるモノ。

〇人外がいて、どっちかというとそれが敵サイド

……という感じなんです。まぁ最後のは少女小説だとまれなのかなと思いますが( ̄▽ ̄)

 

ってなると、『水無月家』はむしろ正反対になるんですよね(笑)。舞台は現代だし、許嫁から始まる恋だし、月鞠河童は立派な社畜だし(真顔)。……そういえば現代ファンタジーあんまり持ってないな!?!?

まぁしかしそういったものを嫌悪しているワケでは別になく普通に楽しんで読みます。しかし最近遠ざかっていたのもあり、ひとつ視野を広げるつもりで読んでみようじゃないかとチャレンジしてみた感じです。

そしたらこれがまた本当に面白かった!!!www

 

私は割とクヨクヨする主人公が描かれてるのが大好きというか、臆病な人間くささのあるキャラクターが好きなので、水無月六花の在り方はものすごく好きでした。自分に自信がなくて。嫌われることに怯えて。突然の婚約話をありがたがってる自分が情けなくて。

もっと自分に自信があって、意志の強い女の子だったら突っぱねられるだろうに……と思ってしまうところが、何だかすごく印象的でした。それでいて、今時らしからぬ許嫁なんてものなのにリアルにも思えるというか。

頼る家族のいなくなった16歳の女の子が、そこに頼るしかないのも当たり前で。「もっと強い女の子だったら」と考えてしまうのも、それと同じようにはできないのも、すごく人間くさくて。

唯々諾々と従っているようで、まったくそんなことないのではとこの時の六花を思ったり。そして与えられた環境からでも自分にできることはあるものだなぁと何だか学んだような。

 

水無月家の在り方も浮世離れしているようで結構現実的にシビア。

現代で許嫁ってスゴイなぁ……とタジタジになっていたんだけど、神通力を持つ彼らが一般人に受け入れられないというのがなるほどなるほど。

確かに異類婚姻譚は幸せにはなれないんだよなぁ……とは『お狐様の異類婚姻譚』でつくづく学んだこと(笑)。

代を重ねるごとに薄れてもおかしくない天女の血が色濃く継承されているのはスゴ過ぎる。

どちらかというと何の関係もないところから友達や仲間として信頼関係を気付いて恋愛に至る、みたいなのが特に好きな私なのですが、

「僕はこんな、血の因縁でがんじがらめの婚姻であっても、恋はできると思っています」

……うーんまったく仰る通りで!!!www

許嫁から始まる恋の良さを改めて自分の中で肯定できたような気がしました。……いや別に否定してはいないんだけどもwww

 

それと私が読んだ中で新鮮だなぁ~と思ったのが、水無月家自体が人外に対峙するのではなくそうした人達のサポート役であること。あ、新しい……!!!(※あくまで個人的な感覚です)

月界の資源や生き物がめちゃくちゃ面白かったなぁ。……しかしやはり頭を離れないのが月鞠河童なのである……www

六花のお父さんのお葬式から始まるからしんみりしながら読んでたのに突然自称意識高い系河童が出てきた時の私の心境が分かるかこの野郎(真顔)。めちゃくちゃ面白くて笑ってしまったわ。

そういやこの作者さん『かくりよの宿飯』も書いてるんだったー……www

 

続けて登場卯美ちゃんもなかなかキャラ濃かったなー!!!(笑)

敢えて登場人物紹介見ないようにしてたんだけどキャラビジュ見たらめちゃくちゃかわいかったwwwww ……何かミニ埴輪みたいなのいるな? コレに襲われるのはフツーに怖い( ̄▽ ̄)

カレー始め六花ちゃんの料理が美味そうだからあの登場は仕方あるまい。。。

個人的に卯美ちゃんはcv.悠木碧さんのイメージになりました(`・ω・´)

 

きっとしがらみが多いんだろう水無月家にはどんどん興味が湧くばかり。神通力が同じ血筋でもそれぞれ違うのとか面白いなー!!! 水無月家の新キャラ出てくる度に能力が楽しみになってしまう(。-_-。)

扇子の使い道もかなり興味深かったなぁ。そっか、雅だから持ってるだけじゃないんだな……(笑)。

千鳥さんめちゃくちゃ好きです。着物の着こなし、カッコイイ!!! 是非花邑先生の美麗イラストでも拝んでみたいところ(。-_-。) サングラス合わせるのいい女過ぎる。

水無月信長は分家の人間らしく嫌な人間なのかと思いきや――いや、その線を捨ててはいないんだけど――何だろうな、何かガキっぽくてまだホッとできた( ̄▽ ̄)

 

お父さんが亡くなって、頼る身内のいなくなったところから始まる16歳の少女の物語。

ダイレクトアタック且つ心から守ろうとしてくれる文也さんや、気さくで親切な葉君にめっちゃ個人的には親近感の湧く卯美ちゃん。愉快過ぎる月鞠河童に生徒会の皆々様、千鳥さん、などなど。

血のしがらみに縛られた歪な一族であるのは確かなんだけど、その世界で確かな温かさがあってホッとしたのも束の間、お母さんと六美の登場が結構心を抉ってきたわ……_:(´ཀ`」 ∠):

 

六花がお母さんというものを手放さなくちゃいけないのは薄々思っていたことだけど、お父さんまでもを手放すことになるとは思っていなかったなぁ。。。16歳でまだお父さんを亡くして時間が経っていないのにそれができた六花に切なさを覚えるような。

このあたりすごく印象的だったなぁ。どうしても六花への思い入れが強くなってしまって、お父さんはお母さんを好きじゃなくなったんだと勝手に思ってたんだけどそんなことはなかった。「帰りたい」「会いたい」が天女の血が言わせたものだったとしても、お父さんは最後までお母さんを愛していた。お母さんもまた、六花に同じ女として嫉妬するぐらいお父さんを愛していた。今も愛している。

六花への態度は許せないし六花に「お母さん」と呼ばれたら激しく嫌悪するクセに自分で自分のこと「お母さん」て呼ぶの卑怯にも程があるだろ「ほんと無理」って言葉で抉るんじゃねぇなどなど思うことはたくさんあるんですけれども(※口悪)根底にあるのは愛している六蔵さんへの悲しさなんだったなぁと。

まだ六花の不幸をあきらめていないようでまだまだ油断できないけれど、「嫌い」だとか「嫌な奴」以外の印象も持てなくはなかった。うん。

 

何なら六美の方が怖かったかなぁ~~~~~私的には(汗)(汗)(汗)。

お母さんが六花のことを大嫌いだからそれに感化されて嫌いなのか、彼女なりに六花に情があったりするのか。

そしたらマジで自分がなくて本当に怖かった………………………………………_:(´ཀ`」 ∠):

いつか理解できる日が来るのかもしれないけど、1巻である今現在ではまったくもって得体が知れんかった。。。何だか文也さんに興味を持ち始めてるのも気になる。

あとこんな騒ぎを起こしておいて(正確にはお母さんがだけど)「遊びに来ていい?」って訊くのもワケ分からんかったし六花もあっさり「ええ勿論」て言うのマジですかーーーーーいwwwwww

家族の情を信じたい私だけど六美には警戒レベル高いですね。。。

 

今回はどちらかというと六花が水無月本家の皆々様に支えられて1歩踏み出せたかな、という印象。……正直水無月家より片瀬母娘が怖かったかな……www

文也さん始め3兄弟それぞれに抱えてるものがありそうだったので六花もまた彼らを支えられますように。特に葉君の「贄子」とかいうのが気になったな。。。

それと文也さんが六花と連絡先交換してないのは普通に私もおバカだと思うぞ!!!www 2人なりのペースでゆっくり距離が縮まっていくのが読んでて心地良いんだけどね。文也さんまたズレ倒したことやりそうだよなーwww そのあたりも期待( ̄▽ ̄)

それと六花はかなり面白い子だと思っております。特技がガクブルなの笑ったし京都で人外に遭遇した時のリアクションが意外とデカイし意外と心の中でそっとツッコんでたりするしwww ゲーム上手いのはまさか……水無月の血が……!?!?(真顔)

水無月家のえげつない面も見れるとするならばそれはそれで楽しみ。かかってこいやー!!!www

次巻もコミカライズも楽しみにしております(。-_-。)

 

余談。
とりあえず土御門父が面白い人であることはよーく分かった(真顔)。

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