180.『神招きの庭 7』(奥乃桜子/集英社オレンジ文庫)

集英社オレンジ文庫

鞭展開度:★★★★★
知恵をしぼれ:★★★★★
諦めない:★★★★★

【あらすじ】
二藍を助けるため、そして兜坂国の存亡に関わる使命を帯び、綾芽たちは密かに八杷島へと向かった――。数多の困難に直面しながらも、歩を進める一行。同じ頃、都に残る二藍は『的』のさだめの真実を知り、それでもなお揺るがない己の心に静かに対峙していた。どんなに離れていても、共にある――ふたりを待ち受ける過酷な未来とは。古代和風幻想記、緊迫の第7巻。

覚悟していた以上に読み応えたっぷりの巻だったー……!!!

斎庭を飛び出し舞台は◯◯◯へ……その新鮮さとでもやはり外に出てなおこの世界そのものが『神招きの庭』なのだなとこの世界観に改めて惹かれ、緊張感の続く展開に手に汗止まりませんでした。そして本気で泣きました……。

 

以下ネタバレあり↓

 

 

 

 

 

最後の最後になって分かる表紙イラストの意味ね!!!!!!(汗)

正直7割ぐらい読んでも表紙イラストが全然しっくりこなくて「んん……?」てなってたら急に来た‼︎‼︎ 鬼か‼︎‼︎‼︎(※褒め言葉)

まぁこれはあまりにも核心の部分なのでまた後で改めて話すことにして。。。( ̄▽ ̄)

 

綾芽が斎庭を飛び出す展開になったもののさすがは『神招きの庭』、この世界自体が『神招きの庭』である以上、斎庭でなくても神を利用した知恵比べは続くのです……‼︎‼︎

斎庭の者達の覚悟や度胸、そして神をも利用する強かさに舌を巻きましたし、改めて彼女らの格好良さに惚れ直さずにはいられません。早岐峠に狼神を招くのから始まり本当に凄かった……‼︎‼︎

兜坂は無知な国と言われていますが、隠来も言っていたようにそうであっても愚かな国ではありません。斎庭のたくさんの人達の矜持と努力と覚悟でここまで積み上げてきた誇り高き国なのだと、改めて感じました。

 

そうしてこの八杷島に行くまでも着いてからもピンチ・ピンチ・ピンチ!!!!!!(汗)

そして何というか、敵と一緒に読者である私もこの兜坂側の策略に踊らされたというか……www だからこそずっとハラハラできて楽しかったです。

 

特に八杷島で稲縄様をお招きになるという展開がアツ過ぎる!!!

稲縄様怖いけど好きなんだよな〜(笑)。今回も怨霊らしく人外らしくかき乱してくれましたし、

「我が真なる願いは、あの子が苦しみ足掻く無様な姿をできるだけ長く、たっぷりと眺めることですよ」

があまりにもらし過ぎてwww 「あの子」って言い方に彼の捩れまくった愛情のようなものを感じずにはいられません。そもそも、招かれた時に「あの子と国を捨てたわけではないでしょうね」と訊いているのがもう。……もう‼︎‼︎(笑)

 

とはいえもちろん、そうやって侮っていい相手などではありません。綾芽が答えを誤れば容赦なく綾芽を見捨てたり雷で殺していたでしょう。

今回はたまたま、稲縄の望みを見出せぬまま綾芽の出した答えがハマっていた、そんな感じがします。そして稲縄は容赦なく隠来に雷を落としている……。

 

にしても隠来、最初の一発を咄嗟に刀を投げてそっちに雷を落とさせたのスゴ過ぎない!?!?www 敵ながらあっぱれ過ぎる……。

しかも鹿青に二重の心術をかけておくとか、自分が死ぬことも見越して綾芽に神毒を飲ませるとか、ものすごく慎重というか、用意周到というか。厄介過ぎてうんざりしちゃうんだけどww、正直この賢さにも舌を巻かずにはいられません。マジで神招きに登場するキャラ頭いい奴多過ぎる。

 

羅覇も先見の明がスゴイというか。

鹿青にかけられた心術を解く前に、「自分に綾芽を殺せと心術をかけてくる」と予期していたのとかスゴ過ぎる。いやそれだけ鹿青の変わりようを分かっていたからこそなんだろうな。だから「その時は私を殺しちゃって」って、そこまで覚悟決めて綾芽を八杷島へ連れて来たのがもうさ……😭

そんなことにならなくて本当に良かった。何故鹿青に会う前にわざわざ着替えたのかわからなかったけど(一刻を争う事態なんだから、きれいな格好でとか言ってる場合じゃなくないか……? って疑問に思ってた)、そういうことだったのね‼︎‼︎ 何も知恵を使うのは神を利用する時だけではない。いやマジで、知恵と勇気で戦っていくこの作品、大好き。

 

それでいて、羅覇に仕えている夕栄もまた頭がいい。

羅覇に心術がかけられている可能性をきちんと疑うの(伎人面をつけていないというちゃんとした根拠もある)、味方としては心強いよね。……それで綾芽と羅覇はちょいピンチに陥るんだけど……www

その彼が本当の意味で味方となってくれたのは心強かったし、彼の目が開かれたのも本当に良かった。

 

そして賢く愛もあったのは太全もまた。

綾芽がどういう者であるか見抜いて、その上で秘密にしてくれて、羅覇への愛情があって。

……そんな彼が自刃してしまったのが本当に悔しかった……。彼は羅覇達を守る為に、心術で本当のことを吐かされまいとこの道を選んでくれた。最期羅覇のことを「姪」ではなく「わたしのかわいい姪っ子」と言っているところにこれまた愛を感じたよ……(泣)

 叫びだしかった。もう嫌だ、またこれか。こんなことばかりだ。なぜみなそうやって、なにかを守るために己の命を投げだしてゆく。

そんな悔しさを全力で抑え込んで太全を送り出す綾芽に、また心を揺さぶられずにはいられない。

 

そういうたくさんの人の尽力があって隠来を亡き者にし、鹿青を救えたけれど、この世界怨霊なんかもあり得るからな……。今度は怨霊になって隠来が出てこないかと警戒してしまう。

まぁただ、この世界観だから警戒してるというだけで、隠来が死してなお自分を服従させてきた玉央の為に動くかって言われると、そこまではしそうにない気も……。

綾芽はここで初めて「人を殺める選択」をしたんだよね。もちろんそうしないと自分も国も生き残れないほど追い詰められていたからなんだけど、それでも一線を越えてしまった空虚は一生付き纏うよな。。。

 

ただ、鹿青が本当にずっと苦しんできたのは伝わってくるから、彼女を一旦は救うことができて、本当によかった。

……すごいなほんと、斎庭のみんなも大好きだけど八杷島の人達も好きにならずにはいられないな……。祭王も良き為政者のようなので本当だったらお会いしたかった(笑)。

 

さて、そうして得られた一生に一度だけの、月夜の語らい。

……まず鹿青と十櫛が会えたのが本当によかった!!!(泣) と同時に、よその国に人質として追いやられて過ごしてきた十櫛の孤独も改めて考えずにはいられない。

それから、二藍と鹿青が同じ神ゆらぎ同士、でも人と人として友という関係を築いてきてたのもすごく良かった。この作品、「友」って言葉が本当に心地良く響くんだよなぁ。。。

 

にしてもこの邂逅を叶えてくれた『姿見せぬ神』、要するに光ってことなのかな?(笑) 確か光って1秒で地球を7周半するんだっけ。そんな感じの神な気がする。

……と、化学的に考えてみたものの、その神が2箇所にある砂嘴無の香どっちにも行きたくて延々往復してんのちょっと面白過ぎるなwww 何かネットでそんな感じの絵見たことあるぞwwww(※2人の魅力的な人物に挟まれて高速でどっちも見るやつ)

 

そんなことにジワジワきてたけど、ここでの二藍ナイス判断だったんだなって、今となっては思う。ここで神ゆらぎが人になる方法を知ってしまえば、まだ物申であった綾芽が自害する可能性も、なくはなかったワケで……。

 

そう、ではその話に移って参りましょう。

 

綾芽が神毒を飲まされて物申じゃなくなってしかも大量の神気を抱えて二藍を神にしかけて兜坂が滅びそうになってそれはギリ防げたけど二藍に白羽の矢が立つとかもうさぁ、もうさぁ!!!!!!(泣)

こんなに頑張ってきたのに、残りの1,2割でこんな展開来るなんて聞いてない。・゜・(ノД`)・゜・。(※ネタバレ見ないできたんだからそりゃそう)

そりゃ綾芽が絶望に突き落とされて二藍との離縁や自害を考えるよ……こんなの折れてしまうよ……(泣)。ここは本当に泣きながら読んでました。

 

けれどここで二藍の方が折れていないという展開に心底震えました。

そうなんです。今まであれだけ人として生きることを諦めていた二藍が、今度は折れないんです。諦めないんです。

「泣き暮らしたところでなにも変わらぬ。知恵をもって神と相対し、国を守ってきた我らが嘆きに身を任せるなど愚かに過ぎる。神毒を抜く策は、神ゆらぎの死と引き換えにする以外にはないと言いきれるのか? 人になる方法とて、心の臓を啜らずともよい術があるやもしれぬ。道が見当たらぬのなら、知恵をもって新たな道を切り拓くのが我らの責務ではないのか」

 あのやさしい娘の行く末を、このまま滅茶苦茶にされてなるものか。必ずさだめを撥ねのけてみせる。理が絶対だというのなら、それを利用してでも抗ってみせる。

これはもう……笑わずにはいられませんでした。

今度は二藍が綾芽を引っ張り上げる番。そして改めて感じずにはいられないこの『神招きの庭』という世界の知恵と矜持と覚悟の戦い。そうだ、まだ終わっていない。兜坂は滅びていないし、二藍は神になってはいない。綾芽も二藍も生きている。そして二藍はもう1人じゃないし、そのことをちゃんと分かっている。

読んでいるこちらまで鼓舞されるようで、こんなの胸が熱くならずにはいられません。二藍、本当に格好良くなった。

 

そして共に覚悟を決めてくれたのが羅覇でしたね。

そもそも、八杷島でお別れだと思っていたら綾芽と一緒に兜坂に戻ってくれるの、正直うれしかった……‼︎‼︎(笑) だって綾芽と羅覇はもう友なんだから。

でももちろん、鹿青と共にいたい気持ちが何より。絶対いつか、八杷島に帰れますように。

 

そんな彼女が二藍に白羽の矢が立ってしまった展開に本気で涙していてこちらまで苦しかった……_:(´ཀ`」 ∠):

いやむしろ羅覇は本当によくやってくれたんだよ。あそこで兜坂が終わるかと思ったホント。彼女がいなかったら兜坂はあの時点で終わってたよ。

……なんだけど、やっぱり今まで兜坂にやってきた酷いことがあるし、そこに綾芽を五体満足で兜坂に帰すと約束していたのに国としても綾芽個人の望みとしても致命的な喪失を許してしまったことに責任を感じずにはいられない……。

けれども二藍が鼓舞してくれ、綾芽の為にも覚悟を決めてくれました。二藍の赤い目を見てなお怯まぬ眼差しに希望が見えたように思います。

 

そしてやっぱり今回も鮎名に惚れ直さずにはいられない……!!!

二藍の神気を払う為喉や胸を切り裂く役目を自ら果たしてくれました。本当に、やっぱり覚悟や度胸が違う。

絶望に突き落とされた綾芽を鼓舞してくれるのも彼女らしい。自死も春宮妃を降りることも許さぬと。彼女だからこそできる激励だと私は思います。

「お前が去ろうものならそれこそあの男、絶望してすぐさま神と化すぞ。あまりいじめてやってくれるな」

このあたりのセリフ全部好きなのですが、この言い回しがシビれました(笑)。

 

綾芽が、まだ二藍に会う勇気が出ないのは、それはそうです。自分のせいであんなに痛く苦しい思いをさせてしまった、白羽の矢まで立ってしまった、国が滅ぶところだった。今まで二藍の為兜坂の為神招きに努めてきた彼女なのですから、自責の念に駆られて当然です。読んでいるこっちまで泣いてしまうほどでした。

正直、そういう気持ちを抜きにしても触れれば二藍に神気が注ぎ込まれてしまうリスクがある以上、会わないぐらいでいた方が安全なんじゃないかと思います。でも二藍も鮎名も、そこまで離れている必要はないと思っているようですね。

ただ、今は距離を置いて、斎庭の勤めに集中して、落ち込む暇もないぐらい忙しくしてていいんじゃないかな、と思います。

 

……と、そんな感じで畳もうと思ってたんですが、ラストまさかの綾芽の義妹・真白の登場……‼︎‼︎ ていうかお前斎庭にいたんかいwwwww

そして今まで覚悟の決まった女達を見てきただけに、真白は典型的な“ミーハーな女の子”って感じで一周まわって新鮮でした……www あーなるほどね、この世界じゃ神招きって花形なんだな。

そしてまんまと二藍のニセモノとしか思えない人物に載せられて……とここでちょっとゾッとしました。

前にそんな感じで利用されて神に焼き殺された子いたよね……え、コレ時系列戻ってて実はその焼き殺されたのが真白……?(震)

いや、多分違うとは思うんだけど……真白は現在進行形だと思うんだけど……それは次回を読んで分かることですね……。

 

そしてこの真白が初めて斎庭に来た時に門前払いにしたのが二藍その人だったんだろうなぁ。。。

あと綾芽が下働き的なことやることになりそうだから、真白がもし生きていたらエンカウントする可能性大だな……( ̄▽ ̄;)

 

そういえば今回初めて思ったんですが、二藍は弟に、綾芽は義妹に、ちょっと苦手意識と依存みたいなものを抱えていたんだなぁと。思わぬ共通点でした。……いやマジで有常も要警戒なんだよな……。

 

後はタイミングを逃して書けなかったことをザザッと。

◯まさかの二藍のお母さん……!!! 二藍とは会えなかったけれど、綾芽と会えて、そして安らかに逝けて本当に良かった。

◯羅覇に心術かけてたの十櫛だったのね∑(゚Д゚) いやマジで、十櫛も頭良ー……!!!

◯海が舞台の作品増えてくれって思ってるので今回めっちゃ海で楽しかった(。-_-。) 海の男、格好いいです。

〇鹿青様のキャラビジュも見たかったー……!!!(笑)

 

それとどうしても玉央を敵と認識して警戒してしまうけれど、そもそもこの世界のシステムが残酷過ぎるんだよな……。必ずどこか一国が滅ぶ運命にあるなんてむご過ぎる。

そんな世界の秘密はまだまだありそうですし、どんどん追い詰められてる中でどうやって希望を掴むのか、本当に楽しみです。

そんなワケで、今年中には完結まで読めそう‼︎ 楽しみ‼︎‼︎

 

余談。
賊を喰い殺した狼神、尚かと思って焦った……。

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