『恋した人は、妹の代わりに死んでくれと言った。2 ー妹と結婚した片思い相手がなぜ今さら私のもとに?と思ったらー』(永野水貴/TOブックス)

TOブックス

鞭展開度:★★★★☆
ヒーロー覚醒度:★★★☆☆
鞘の脱げ度:★★☆☆☆

【あらすじ】
義理の妹の身代わりに異界の番人となったウィステリアは動揺していた。師弟関係を結んだ青年ロイドとの共同生活には全く慣れない。しかも、ウィステリアの相棒の聖剣【サルティス】を奪おうとする彼は、初恋の人と義妹の間に生まれた息子。この師弟関係はあくまで一時的なものなのに……共に過ごすほどに弟子以上の大切な想いが大きくなる。いずれ来る別れの予感に苦しむ彼女に、ロイドは禁断の疑問を投げかける。「あなたは、かつて誰かに恋をしていたのか?」出会うはずのなかった師弟が予想外の急接近! 孤独な非戦闘系元令嬢×天才肌の傲慢系貴公子の師弟恋愛ファンタジー第2巻! 書き下ろし番外編3本収録!

1巻感想はこちら↓

『恋した人は、妹の代わりに死んでくれと言った。 妹と結婚した片思い相手がなぜ今さら私のもとに?と思ったら』(永野水貴/TOブックス)
鞭展開度:★★★★☆忘れられない初恋度:★★★★★鞘の脱げ度:★★☆☆☆【あらすじ】妹の代わりに、毒に満ちた異界の番人となった元令嬢・ウィステリア。ある日、空から初恋の人に瓜二つの男が現れる。名はロイド。なんと彼女の初恋の人の息子だった! ...

よっ、待ってましたー!!!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ な『恋した人は』第2巻✨ ……いやぁ、今回も面白かったぁ……(。-_-。)

家に届いてすぐ嬉々として読み始めてその日の内に読み終わりましたとも(`・ω・´) いろんなエピソード盛りだくさんで贅沢な仕様でした。

ものすごい急展開があったというよりは、特にウィステリアの深部に踏み込みつつロイドを取り巻く人物たちをたくさん覗き見できた感じ!(笑)

深く抉り込む部分はしっかり抉りつつ(※褒め言葉)、笑いもあったりふとした甘い胸の疼きがあったり。脇役にもしっかりスポットライトが当たるのでそれもまたジャンルの違う小説を読んでるような新鮮な楽しさがありました。

そして第3巻を書籍化してほしい私はせっせことその勢いのままブログ記事を打ち込むのです……_φ(・_・

 

 

以下ネタバレあり↓

 

今回は比較的鞭展開少なめだったな。とか思うのは私の感覚が鈍り果てている為か(真顔)。

しかし今回は異界でのウィステリアとロイド、そしてサルティスの出来事を中心に他のキャラクター目線で「あの人は今……」とか「あの人はあの時……」を追うスタイル。異界では他に悪意で阻んでくる人間がいないだけマシと、言えなくもない……のか?( ̄▽ ̄;)

しかしそう言いつつも鞭展開度は★4としております。……いやぁ永野先生、今回も心臓をあらゆる方面から鞭でシバいていただき大変ありが(以下略

 

前回でウィステリアに恋をした(らしき)ロイド、果たしてどんな変化が起きる!?!?……とワクワクしながら2巻のページをめくっていたワケですが。

 

いやもう大満足(。-_-。)

 

初心過ぎずしかし初めての恋ではあるのだと分かる不器用さもあり。

ウィステリアの照れ方がめちゃくちゃにかわいくもあり。

私の最推しサルティスが水を刺しまくり。

……もうこのやり取り、延々見ていたい(真顔)。

 

個人的に1番ウィステリアのリアクションが面白かったのはこちら↓

 

「様になる、とはよく言われる」
「うわっ! うわ……っ! サルト、今の聞いたか⁉︎」
『知らん! 聞こえんわ! 耳が汚れる! お前もいちいち、その程度の稚拙で露骨な悪ふざけに反応するな!』
「聞こえてるじゃないか‼︎」

 

……いや「うわ」ってwww

何かこう、現実でない物語らしい典型的なリアクションというものが存在すると思ってるんだけどこの「うわ」はあまりにもリアルガチな反応でめっちゃ笑ってしまったわwwwww 溢れ出る「何このイケメンコワッ」っていうドン引き感wwwwww

そしてサルティスやっぱり聞いてるでねぇのwwww

だんだんロイドとサルティスの言い合いも聞けるようになってきて大変楽しいです。……サルティスに触れる分ウィステリアの方が反撃に分があるけどもwww

ウィステリアは面白かわいいなと再認識できた2巻でした( ̄▽ ̄)

 

アイリーン目線の話はめちゃくちゃ興味深かったなぁー!!!

1巻ではアイリーンの真意が何も分からなかったので。割と彼女も特異な人間に見えたかな。

しかしそれ以上にイライアスの意味深発言。。。

ロイドを見抜ける人間がロイドの生きる世界にいたことにビックリであります。……うーん、アイリーン以上に特異な人間。

 

今のところですが、アイリーンのことはそれほど嫌いではありません。……何でだろうね? 上手く言えないんだけれど。

自惚れても奢ってもいないエリート感???

ロイドといいアイリーンといい、こういう特異な人間にしか見えない景色があるんだなぁと改めて思って興味深いといいますか。……そういう考えこそがロイドを虚ろにさせるのかもしれないけれど、こればっかりは私の感覚なのでどうしようもないな( ̄▽ ̄)

 

さてさて、そんなロイドを前回引っ張り上げたのがウィステリアなら、今回途方もない絶望から彼女を掴み上げようとするのがロイドという展開。

……穏やかじゃない扉絵、そういうことかー!!!!!!www

展開といい扉絵といい対になっているようで感激致しました。と同時に、ロイドがウィステリアじゃないといけない理由が前回でハッキリした分、今回ウィステリアにはロイドがいた方がいい根拠もハッキリしたようでなるほどこれが1、2巻刊行……(恍惚)。

……いやぁ、ホント……まず2巻まで出してくれて本当にありがとう、TOブックスさん……永野先生……。

全出版社まずはどの作品も最低2巻までは出そう。なんて無責任なことを呼びかけてみつつ( ̄▽ ̄)

 

今回特に痛感したのは、ロイドってほんとカンフル剤なんだなと!!!!!! 読んでいて本当に気持ちがいい。

サルティスが止めるのも聞かずにウィステリア追いかけて行くんだもんなー……!!!

これは未熟さとか若さ故の強みなんじゃないのかなぁ、なんて思ったり。大人になるとこういうのそっとしておいた方がいい気がして、もしくは不用意に傷付けてしまうのを恐れて追いかけられないところな気がするのよね。

どっちの方がいいとか悪いとかじゃなくて、たまたまウィステリアに必要なのはロイドのこの未熟さだったのでは、なんて思ってみたり。何度でも沈み行きそうなウィステリアに手を伸ばす姿は格好いい。

 

あと完全に余談なんだけど今回挿絵でウィステリアが髪下ろしてるのいっぱいあってめっちゃウハウハしてしまったー(。-_-。)

髪結んでるのも好きなんだけど下ろしてるのもまた良いですね、あの溢れ出る無防備感たまんなゲフンゲフン。

 

「この地に来る前――あなたは、誰かに恋をしていたのか」

禁断とも言える質問をしてしまったロイドなワケなんだけど、これぞまさにカンフル剤。ウィステリアにとっては痛くて仕方ない問いかけなんだけど、読者としては、「いいぞロイド!!!」なんて思ってたり。……ごめんなぁ、ウィス……(T ^ T)

でもウィステリアを引っ張り上げるのに必要なことなのではないかと思うのです、とても、とてもむごい問いかけだけれども。。。

 

今回は1巻前半のような予感があっての一気に突き落とす展開ではなく、もっと深い深い奈落の底を覗いてしまうような途方もない絶望を見させられたような。

ウィステリアの己の死を見つめる、遠いような感覚がこれまた胸にきたなぁ。。。

まったくもう!!!!バリエーション豊かに心臓に鞭打ってくるんだから永野先生ってば!!!!!(まな板の上の鯉になりながら)

 

サルティスのもたらした“救い”があまりにもむごい。今回特に、そういった人間でないモノだからこその突き放すような何かをまざまざと感じたなぁ。。。

『この異界で二十三年もの間、独りで生き続けて正気のままでいられるとでも思ったのか?』

……しかしこんなにも人を理解してもいる。

ウィステリアに憐憫を向けそこにいてはくれるものの、正式な主にはしてくれない。このあたりも複雑な思いにさせるよなぁ。。。

しかしそこに人外らしい傲慢さがあって私は結構好きなんですよね。

 

己の死を見つめるウィステリアに追いやられたただの女を見たロイド。

短いシーンなんだけど、ウィステリアに飲み物を淹れてやるシーンがすごく印象的で。

 

……あとコレ1巻の時から思ってることなんだが、ウィステリアを追いやった初恋の人が自分の親父殿だと知ったらロイドはどんな反応をするんだろうな( ̄▽ ̄)

親父にヘイトかますんやろかとか考えてワクワクしております👍←

めっちゃ楽しみなんでホント何卒3巻をば(何度だって言うぞ)。

 

あとロイドに情けない姿を見せてしまった翌朝のウィステリアがあまりにもげんなりしてて笑いましたwwwww

(……最悪だ)

先程書いた「うわっ」同様何てリアルなリアクションwwwwww こうやって正気に戻れてしまうのがある意味ウィステリアの強さなんじゃないのかなぁなんて思ったり( ̄▽ ̄)

 

そしてそして、ロイドは何度でも踏み込んで行く子ですねー!!!(笑)

ウィステリアはある種大人になり過ぎてしまっている部分があるので(サルティス曰く年増……ボソリ)ロイドのカンフル剤はめちゃくちゃ効くと思っています。もういいぞロイド、どんどんやってしまえ!!!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾

無論、問題は何も解決しておらず、今のロイドができることはあまりにもゼロに近い状態。しかしそうして無知であるからこそあきらめないし、もしかしたらそんな彼だからこその打開策が見つかるのかも。

なんて期待がとても高まった2巻でした。ロイドがヒーローたる所以が分かった巻だなというのが個人的な印象!!!

 

あとは戦闘シーン盛りだくさんなのたまんなかったなー……!!! 挿絵がまたすんごいの。躍動感エグイ(`・ω・´)

あとがきで永野先生が怒りのようなものを元に書いたのが『恋した人は』だと書いていて、もしかしたらだからこんなに“烈しい”物語が出来上がったりしたのかなー、なんて勝手に思ったりしていました。そしてそんな“烈しい”物語にとよた先生のイラストから感じる“烈しさ”がとても合っているなと。

ものすごく熱量を感じてそれにビシバシやられてる感じです、私の心が。←

 

『ある享楽家の追想』

……享楽家お前誰!?!?!?

……と思ってたらメインキャラの誰でもない人でした( ̄▽ ̄) メインキャラズの中から探し出そうとしていたのですがそりゃ見つからんワケだwww

 

そして書き下ろし本当に量がエグイな!!!!wwwww

その分没頭して読ませてもらいました。まったく違うジャンルの物語を読んでいるようで新鮮で面白く。

あとあんまりこういう人間の思考って分からないので覗けて興味深かったです。そしてウィステリア目線じゃないロイドが別人のようでめちゃくちゃビックリしましたね!!!!

 

『一瞬を切り取る』

挿絵万歳!!!!ありがとうございます!!!!!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾

ウィステリアが子どもっぽく見えてめちゃくちゃかわいかったなぁ〜(。-_-。)

上着をめぐる師弟の攻防戦が素晴らしかったです(`・ω・´)

 

『甘い理由』

ウィステリアとロザリーの姉妹のエピソードが見れてよかったぁぁぁ……_:(´ཀ`」 ∠): あんなことさえなければあの姉妹、めちゃくちゃ好きになれていたと思うので(T ^ T)

妹の身代わりにされたウィステリアにどーしても気持ちが寄っちゃうからロザリーに対する思いはぐっちゃぐちゃの複雑なんだけど、この頃はだぁれもそんな未来になるなんて思っていなかったし、だぁれもそんな嫌な思いは抱えずに済んでいたしで。。。

ロイドはだんだんウィステリア限定で単純になるというか、かわいく思えてきたなwww

じんとくるウィステリアにこちらまでじんときてしまいました。

 

今回もベンジャミンがちらっと出てきたけど、やっぱり彼の存在は私にとって救いだなぁ。。。ブライトの後ろ暗さを知っている感じだよね、アレ。

ブライトとロザリーの痴話喧嘩は見ていて本っっっっっ当に気持ちが冷めるな………………………………………………。

サルティスは自己肯定カンストしてて溢れ出る語彙力に毎度笑わされるwwwww

《大蛇》がウィステイリアの飼ってた魔物を”殺した”話、ゾッとしつつもその不可解な感じめちゃくちゃ好きだなと思いました。

今回のベストオブお気に入り挿絵はロイドが淹れてくれた飲み物を飲むウィステリアとそんな彼女を腕を組んで見つめるロイドのやつですかね。シーンもひっくるめて好き!!!それぞれの表情が雄弁に何かを語っているようで。

永野先生がツイッターで出してくれた2巻発売記念SSもよかったなぁ!!!期間限定公開とのことなのでネタバレできんけども、あぁいう人がいたこともまた私にとっては救いに思えた、かな。

TOブックス特典SSがサルティス関連とのことで今回そっちから買ったんだけど最高でした👍 やはりサルティスには乙女でいてもらいたい(どんな)。

 

ロイドはまだヒーローなのではなくヒーローになろうとしている……といった印象があった今回。……いやぁ、ホント面白かったなぁ!!!

ウィステリアを元の世界に戻す方法は分かっておらず、そもそも戻れたとしてもそれで何もかもが解決するワケでもなく。……人がいなかったらいなかったで、いたらいたで大いに問題が起きるよなぁ。神様って優しくない。

今後さらにどう物語が転がっていくのか本当に楽しみ!!!!ホントマジで心の底から3巻出ますように!!!!!

 

余談。
鞘の脱げ度って何。🤔←

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