195.『ヤエブキ機関 千万丈塔踏破録1』(安里アサト/電撃文庫)

電撃文庫

鞭展開度:★★★★☆
和洋折衷:★★★★★
虚実:★★★★★

【あらすじ】
 滅びの宿命から世界を救う大儀式・千万丈塔踏破。夜ごと顕現する霊術と歯車が織りなす巨塔の攻略に挑むのは皇家直属の特務機関〈八重山吹〉……通称ヤエブキ機関。双子の術師・天茜(あかね)と碧燈(あおひ)は邪教集団によるテロを防ぐため、帝都警備役の精鋭衛士・祭花(まつりか)と組むことになる。相対すは、千万丈塔攻略を妨害する悪竜・七堕とその信者。管理社会に怨嗟する臣民。そして、全ての糸を引く滅びの姫君。凄絶な戦いの中で花開く少年たちと少女の絆は、やがて彼ら自身を傷つける刃ともなって――
“消えゆく世界で抗い、咲き果てる花こそ美しい。”堪能せよ、戦場と青春の作家・安里アサトが贈る最新の平安×霊術×サイバーパンク!

私にしては読むのにめーーーーーっちゃくちゃ時間かかった‼︎‼︎ でもそれだけ内容が濃くて読み応えあって面白かったってことなのよ〜www

和風サイバーパンクという新しいジャンル(だよね?www)。でも和風ファンタジー好きとしてはたまらんポイントがたくさんあったし、ボーイ“ズ”ミーツガールっていうのも新鮮で良かった‼︎

 

↓以下ネタバレあり

 

 

 

 

 

あとがきの後にまさかの衝撃展開入れるの入れるのやめてくれない!?!?!?www

……いややっていいんだけど‼︎ 新鮮で面白かったんだけど‼︎‼︎ 私のこの外れたアゴをどうしてくれる!!!!!!wwwww

 

先に挿絵をパラパラ見ちゃうタイプなので最後がまさかのシーンなのはもちろん分かってたんだけど、読んでる内にだんだんきれいに収まってる感があって「あれ、もしかしてあの物騒な挿絵は今回の話じゃなくて次回予告だったりしたのかな〜、あっそうだよねもうあとがきだもんなぁ……」からの衝撃が!!!! エグイ!!!!!(汗)

ここまで丁寧に天茜や祭花の内面に触れてきただけに急ーーーーーにどっちのことも!!!! 分からなくなっちゃったよ!!!!!(泣)

いや〜コレは面白い……‼︎‼︎‼︎

 

ここまで順調過ぎるくらい順調に惹かれ合っていた……ように見えたこの2人が、この時切り替えがエグくてそれがまたイイ。もちろんそれで葛藤するようなのも大好きなんだけど、この『ヤエブキ機関』という作品においては2人のこの感じが“正”だと感じます。

天茜に至っては、まるで祭花にそうされることを予期していたかのよう。何なら祭花にこうさせる為にこの状況を整えたかのような……。

祭花の方は、黒龍御前に人質に取られた時に何かを吹き込まれたのか元々黒龍御前と通じていてあの時に何かを通達されたのか、……いや正直この線は個人的には薄いと思ってるかなぁ……。どっちかというと七堕について個人的にか秘密裡の組織内でか調べてたって方があり得そう。あと、ここまでこんだけ“ヤエブキ機関”という組織のデカさとそんだけデカくないとこの国の平和(例え表層的なものだったとしてもね)を保てないってのを見た後だと、祭花個人ってよりは組織で調べてるって方が納得いくかなぁ。。。何より、「山裾の邸で主君が言った通り」と書かれてますからね。2巻でそのあたり分かるかな?

あと、甘くて物騒な男女もしくは甘かったハズなのに物騒な男女という組み合わせは大好きなので「これはこれで……💕」になってます(正直)。

それでいて、ヤエブキ機関の本当の姿とは何なのか。

 

さて、では話はその今回最も鋭利だと言えた↑のシーンより前のアレやコレやに移りましょう。

 

和風ファンタジー好きにはたまらん描写がたっぷりだった〜……‼︎‼︎✨

設定ひとつひとつも面白くうんうんと頷きながら、みたいな気持ちで読み進めつつ(笑)、そうそう和風ファンタジーにはコレを求めてるの……‼︎‼︎‼︎ な美しく雅やかな数々の描写に惚れ惚れせずにはいられません。

 花鈿(かざし)代わりに山百合の大輪を挿し、そして彼女自身がまるで咲き誇る山百合だ。青葉匂(あおばにおい)の五衣(いつつぎぬ)に白く領布を重ね、やはり領布を纏った巫覡の男女が水晶飾りの玉翳(さしは)をさしかける。

 夏の夜の潤む月影、星辰の光。白い石畳の淡い反射。この時期だけの儚い螢。硝子質の花弁から柔らかな燭光を零す灯籠樹と、夜光虫の遺伝子を導入されて青く煌めく綺羅鯉の群。
 石橋の欄干で綱渡りに興じる碧燈の、水路の飛び石を渡る天茜の影を、人懐こい綺羅鯉は追いかけては漣淪(さざなみ)を立て、青い光をちりばめるから清流はなにか稀少な宝石のようだ。

……などなど。
景色も衣も霊力の顕現もその美しさを捉え、人も男、女問わずそれぞれから匂い立つ美しさを余すことなく雅やかに描き立てている。

「私が和風ファンタジーに求めているのはコレだ……‼︎‼︎」が、ギュッと見事に濃縮されていました✨ もちろんサイバーパンクでもあるので純和風ではないんですが、それがこういう描写において、まったく邪魔だと思えないんですよね。「夜光虫の遺伝子を導入されて〜」なんてめっちゃ近未来感あるのに(笑)、すぐにその情景の美しさに呑まれて酔いしれてしまう。

 

それから個人的には、名前も萌えどころでして……!!!

天茜、碧燈、祭花、瑠璃揚羽、綾水蓮……。

他にもちょっと出てきただけのキャラクターでも名前の意味と字面と音の響きから惚れ惚れせずにはいられない。薄刃椿、舞孔雀、甘雪、などなど。この方々も今後もっとガッツリ出てくれるんでしょうか? キャラビジュも見てみたいなー(。-_-。)

敵ではありますが直剣に銀木犀といった名前もめっちゃ好きです。

 

それでいてメカメカしい部分はめっちゃメカメカしいんですよね‼︎‼︎‼︎www

普段女性向けにいるとほとんど触れない情報量の大波に飲み込まれてしまうんです。……そう……何たらレールガンとかエクサスケルトン??? とか、何かそういうのに……‼︎‼︎www

正直このあたり理解し切れてないんだろうかって思います💦 でも、「うおぉぉぉぉ電撃文庫浴びてるぜぇぇぇぇぇぇぇ」て感じもする( ̄▽ ̄)

 

そう、このあたりの切り替えが抜群過ぎるんですよね。

雅やかに匂い立つような描写で和風ファンタジーを演出しつつ、バトル展開では銃火器が出まくるし描写1つ1つが細かく……というより鋭くとでも言うべきか。

緩急がエグイんですかね、要するに(笑)。これがまた読み応えがあって面白い。

 

個人的には祭花の戦闘シーンが特に好きでしたね‼︎ 女の子のバトルシーンなんてたまりません(。-_-。)

霊力がほとんどない一咲だからと侮るなかれ。まだ10代なのにもうプロです。男女の生まれもっての腕力、体格等の差も感じさせない鮮やかなお手並みでした✨ ピカ=ピカも大活躍、かわいい(笑)。

 

それから、ハイファンタジー好きなんですがこの作品で「ハイファンタジーだからこそのリアリティ」を見たように思います。

……天茜も碧燈も……めっちゃ体改造されてるぅぅぅ……!!!∑(゚Д゚)

そうだよね‼︎ こんだけ命懸けハードなミッション日常茶飯事でこなしてるんだからそりゃ改造しないと普通無理ですよね‼︎‼︎(汗) にしてもガッツリ人の手入ってて祭花と一緒に震えましたよ_:(´ཀ`」 ∠):

本人達はケロッとしてましたけどね……あ、じゃあ視力落ちたらメガネかけるように普通のこととして受け入れてるんだな、この人達にとってはそれもまた“普通”なんだな、と思っていたら……

 

天茜がむごい死を経験してるから死に魅入られてるなんて思わないじゃん(真顔)。

 

正確には、死んではいません。死にかけ。生死の境を彷徨った。……でも、アレは「1回死んだ」にカウントできちゃうと思うんだよな……。体ほとんど残ってないじゃん、普通の生き物ならもう死んでるんだよ………………………………。

もうあんな目に遭うのが耐えられないから、それならもっと楽な死に方でまたあんな目に遭うより先に死んでしまいたい。マジで16歳が抱えていい願いじゃない……_:(´ཀ`」 ∠):

 

そしてその中には、碧燈への思いが。碧燈もまた、天茜への思いが。

今まで、しょうもないケンカをしつつ(笑)仲のいい兄弟だな、と思っていたら、すれ違いの共依存を抱えていたなんて誰が思おう。お互い相手を想っているからこそ辛いな。。。

そんでそんな天茜の死に魅入られる呪いをほどいてやることが碧燈じゃできない、というのも納得。がんじがらめの共依存のようになっていたら(でも願うようになってしまっているのは死別)それはその2人以外の誰かじゃなきゃ無理だよな、と……。

祭花が自分の父が死に魅入られていたからこそ天茜が父と同じ顔をしていて分かる、というのも納得過ぎて感嘆していました。この短い間で天茜と打ち解けてるだけじゃなく、そうした根深い面も見抜けてそれを止める為に無茶でも動ける祭花になら確かに天茜を託せる。

 

かくして碧燈・祭花による天茜救助作戦(⁉︎)が決行されたワケですが、……結構この2人のやり取りも好きだなー!!!www

どっちも暗い雰囲気を吹っ飛ばしてくれますよねwww 碧燈はさっきまでのシリアスがウソのようだし(抱えてるからこそ普段明るくお気楽に振る舞ってる面はあるかもですね)、祭花もめっちゃ無茶をする(笑)。2人して、天茜を死からベリっと引き剥がしてくれたように思います。

この3人(と、ピカ=ピカ(笑))いいチームだと思います。個人的には天茜と祭花がいい雰囲気だと隅っこでヒソヒソし出す碧燈とピカ=ピカのコンビが好きです……www

 

ちなみに天茜と碧燈だと碧燈派です(笑)。普段、クールな感じを好きになりやすいんだけど何かこの2人については碧燈でしたwww

天茜と祭花がいい雰囲気なので碧燈にもそういうのあるのいいな〜と勝手に期待しちゃいます(笑)。いや、もちろん恋愛だけが幸せじゃないんだけどさ。

綾水蓮とは仲がいいように見えましたが、さすがに今回の描写だけで恋愛と決めつけるのは違うかな〜というのが今現在。あと、気安く話してるとはいえ綾水蓮皇族だしその自覚も茶目っ気あるとはいえしっかりありそうにも見えるので想っていたとしても簡単に恋愛展開にはならなそう。

この綾水蓮も好きだな〜と思ったので(キャラビジュもおかわいらしい……✨)、今後さらに知れていけたらうれしいな(。-_-。)

 

あとは今回の敵であった直剣と銀木犀について。

正直、彼らの言い分っていうのかな、少なくとも原動力のようなところは、分からないではなかった。ひとまず頭では理解できた。

 

でも足りない。

 

拙い、と言った方がいいんでしょうか。

彼らも彼らなりにめちゃくちゃ頭良かったと思うんですが、ヤエブキ機関はそれを遥か上回る。伊達に堕竜講や七堕からこの国を守ってきてないんです。まだまだ覚悟も知恵も準備も実力も何もかもが圧倒的に足りない。

 

直剣の首が落とされた時はものすごくショックだったし、最期の言葉くらい言わせてあげてよ〜〜〜〜〜。・゜・(ノД`)・゜・。 となっていたんですが、彼らがやろうとしていたのは大量虐殺です。そんな奴らにくれてやる温情なんてもうないんです。意地汚く天茜だけでもと殺そうとまでしておいて。最期の言葉くらいなんて、そんな道理は通らない。

加えて、個人的には銀木犀がスサビヒナに対して使った「復讐“させてあげる”という言葉が酷く嫌いでした。

スサビヒナ達の為を謳っておきながら、銀木犀もまた彼らを下に見ている。彼らが復讐を望んだのならまだともかく、少なくともその場にいたスサビヒナ達は怯えるばかりで何かに怒りの矛先を向けてすらいなかった。そんな彼らを上から目線で彼らの意志も訊かずに彼らの命を使い捨てようとしたのが、とても嫌でした。

……まぁ結果として、直剣のお陰もあって銀木犀はそこは踏みとどまれたけど。それに、祭花が銀木犀をしっかり啓蒙している。自分のトラウマさえも奮い立たせて。そんな祭花が心底格好よかった。だからこの話は、このあたりで。

 

あと、先ほど直剣と銀木犀を「足りない」と言いましたが、結局彼らの言い分に筋が通っていたかはまた別問題。何故ならラストに衝撃の展開があったワケですからね………………………………。

でも、今のところは「直剣らが思ってたのとは違う真実があってヤエブキもココノエも虚実」なのかなって気がしてます。さぁどうなんでしょうね〜⁉︎www

あとは、ここの祭花な衝撃的なセリフと見開きの挿絵を組み合わせてるのがこれまた衝撃をより煽る演出で楽しかったです✨

 

 

そんなワケで、時に楽しく、時にヒィヒィ言いながら(笑)読んでまいりました『ヤエブキ機関』

一旦脳をリフレッシュさせる時間が必要なのでwww、時間を空けて覚悟ができたら、2巻に足を踏み入れたいと思います。

では!

 

余談。
最後の衝撃の展開、班牙が殺されてたのが1番ショックだったかもしれない……。

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